LLP制度と税制改正について

 

 

LLP制度とは何ですか?

 

 

LLPとは、Limited Liability Partnership の略で、「有限責任事業組合」という組織のことです。これは、「有限責任事業組合契約に関する法律」という新しい法律が制定されたことによって誕生したもので、これまで日本にはなかった組織です。このLLPのしくみは次のようなものです。

 

■有限責任性
出資者は、出資額の範囲でしか責任を負わないこととされています。しかし、債権者保護の必要もありますので、有限責任組合を登記して、財務データを債権者に開示することになっています。また、債務超過時の利益分配が禁止されるなどの手当がなされています。

 

■柔軟な損益や権限の分配
出資者間の損益や権限の分配は、出資者の提供する労務や知的財産、ノウハウなどを反映させて、出資比率と異なる配分を行なうことができることになっています。

 

■内部組織の柔軟性
LLPの経営者(業務執行者)に対する監視のあり方を、出資者間で柔軟に決めることができるので、取締役会や監査役会の設置等が義務付けられることもありません。

 

■共同事業性
LLPの意思決定は、原則として出資者全員で行なうこととされていますので、出資者全員が経営に参加するかたちになります。

 

 

税制面では、どうなっているのですか?

 

LLPは民法上の組合に似た組織ですので、税制面では、民法上の組合と同じように、パススルー課税がとられることになるものと思われます。要するに、LLP自体が法人として課税されるのではなくて、その構成員である出資者自身に課税されるということです。

 

もちろん、出資者が受ける利益の分配は、法人が出資していればその法人の益金となりますし、個人が出資していれば個人の収入になります。

 

スポンサーリンク

 

 

計算書の提出は

どうするのですか?

 

計算書提出制度が創設されましたので、LLPの業務を執行する組合員は、各組合員に生ずる利益または損失の額の計算書を、各計算期間ごとに作成して、各計算期間の終了の日の属する年の翌年1月31日までに、所轄税務署長に提出しなければなりません。

 

 

損失額に

規制があるそうですが…

 

LLPの構成員である個人や法人には、LLPの事業から生じた損失を所得税の計算で必要経費にしたり、法人税の計算で損金に算入したりすることに対して、規制があります。

 

■個人について
出資金額をもとにして計算された一定の金額をこえる損失額を、必要経費として控除することは認められません。

 

■法人について
出資金額をもとにして計算された一定の金額をこえる損失額(組合損失超過額)を損金に算入することは認められません。

 

ただし、前期以前から繰越された組合損失超過額(組合損失超過合計額)がある場合には、その期に同じLLPからの利益の分配があれば、その金額を限度として、組合損失超過合計額の損金算入が認められます。

 

スポンサーリンク