事例で検討
サラリーマンですが、マンション8件を所有し、それを貸付けているので、青色申告により確定申告しています。
この度、相続で取得した土地を青空駐車場にして、30件ほど貸付けることにしました。これらの管理や集金、経理については妻が従事しています。
青色事業専従者として妻を届出た場合、青色事業専従者給与を必要経費にできるのでしょうか?また、正規の簿記の原則に従って記帳しているので、青色申告特別控除として65万円を差し引いてもよいのでしょうか?
アドバイス
青色事業専従者給与を必要経費にしたり、65万円の青色申告特別控除を受けられるかどうかは、不動産貸付けが、事業的な規模で行なわれているかどうかによります。
不動産貸付けが、
事業的規模かどうかの判定は?
建物の貸付けが事業的規模かどうかの判定は、社会通念上、事業と呼べる規模で行なわれているかどうかで判断すべきですが、次のどちらかにあてはまる場合には、事業として行なわれているものとされます。
■貸間、アパートなどは、貸すことができる独立した部屋数がおおむね10以上である。
■独立家屋の貸付は、おおむね5棟以上である。
※賃貸料収入・貸付資産の管理の状況などからみて上記に準ずる事情がある場合には、特に反証がなければ事業として行なわれているものとされています。
青空駐車場は
どう判定したらよいのですか?
ご質問の場合は、建物だけでなく、土地についても青空駐車場として貸付けていますが、このような事業的な規模を判定するのが難しい場合には、次のように判定してもよいとされています。
■貸室1室・貸地1件あたりのそれぞれの平均賃貸料の比
■貸室1室・貸地1件あたりの維持・管理・債権管理に要する役務の提供の程度
これらを考慮し、地域の事情や個々の実態等に応じて、1室の貸付けに相当する土地の貸付件数を「おおむね5」として判定します。
私の場合はどうなるのですか?
ご質問の場合ですと、土地の地域の実情等については検討する必要がありますが、上記のように判定した場合は、次のようになります。
↓↓↓
8室+(30件÷5)=14室
よって、14室相当の貸付をしていると判定されますので、事業的な規模で不動産貸付を行なっていると考えて差し支えないと思われます。
また、青色事業専従者給与については、届出の範囲内で、金額も相当であるなど、青色事業専従者給与の規定に該当するなら認められると思われます。青色申告特別控除についても、その他の要件に該当するのでしたら、適用されます。