事例で検討
ビルを5棟所有しています。それらすべてを貸付けているので、相当多額の家賃収入があります。
このように大規模に不動産貸付をしている場合でも、事業所得ではなく、不動産所得でよいのでしょうか?
アドバイス
ご質問の場合は、不動産所得であり、また、ビルを5棟貸付けているということですので、事業として行われているものとして扱われます。
不動産所得とは
どのようなものをいうのですか?
不動産所得とは、不動産、不動産の上にある権利、船舶または航空機の貸付けによる所得のことをいいます。また、これらの貸付けには、地上権や永小作権の設定その他他人に不動産を使用させる行為も含まれます。
ここでの「不動産」とは、土地、建物、構築物、井戸、溝渠(こうきょ)等のことをいいます。
不動産の上にある
権利とは?
不動産の上にある権利とは、地上権、永小作権、地役権、借地権、その他不動産の上にある一切の権利が含まれます。
しかし、鉱業権、租鉱権、漁業権は、どれも不動産の上にある権利ではないので、その使用権の設定その他他人に使用させることによる権利は、不動産所得にはなりません。
船舶はどうですか?
船舶とは、船舶法の規定の適用を受けて登記登録等が必要な総トン数20トン以上の船舶をいいます。
ですから、総トン数20トン未満の船舶と端舟そのたろかいだけで運転したり、ろかいで運転する舟は、不動産所得の基因になる船舶には含まれないことになります。
よって、これらの舟等の貸付が、仮に継続して行なわれていて事業として認められるのであれば、事業所得になりますし、そうでない場合は、雑所得になります。
私の場合はどうなりますか?
上記から、不動産所得になる不動産、不動産の上にある権利、船舶または航空機の貸付けについては、これらの貸付けを事業として行なっていても、また、その貸付けの規模がいくら大きくても、そこから生じる所得は、事業所得ではなく、不動産所得になります。
よって、ご質問のビルの貸付けによる所得については、どんなに大規模に行われていたとしても事業所得ではなく、不動産所得になります。