不動産評価額の計算方法は?路線価・実勢価格と建物の売買価格は?

 

 

不動産評価額計算方法は?

路線価実勢価格と建物の売買価格は?

 

 

今回は、不動産評価額の計算方法についてのお話です。不動産の評価額の計算というと非常に難しいイメージがあると思います。ですが、実は簡単に求めることができるのです。

 

不動産価格には大きく4つの価格があります。これを「一物四価」と言います。この“四価”というのは、1.実勢価格、2.公示価格、3.路線価、4.固定資産評価額の4つです。これらの価格はそれぞれ微妙に違います。

 

 

具体的には・・・

 

まず1つ目の実勢価格というのは、実際の売買取引時に成立する市場価格のことを言います。

 

また2つ目の公示価格というのは、国土交通省が発表するその年の1月1日時点における全国の標準値価格のことで土地取引の指標となっています。

 

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3つ目の路線価というのは、国税庁が発表するその年の1月1日時点における価格で、相続税や贈与税の計算の際の評価額に使われます。ちなみに、実勢価格の80%が目安となります。

 

4つ目の固定資産評価額というのは、市区町村が算定する3年ごとの1月1日時点における価格のことを言います。固定資産税や不動産取得税の算定に使用され、実勢価格の70%が目安となります。

 

なお、一物五価と言われることもあります。この場合は上記の四価に「基準時価」という指標が加わることになります。この基準時価というのは、都道府県が毎年7月1日時点の土地を算定した価格のことで、公示価格を補完する意味合いの強い価格となっています。

 

このうち実際によく利用されるのは「実勢価格」と「路線価」の2つになります。ここでは、相続の観点から土地の評価額を求めていきますので、後者の路線価について詳しく解説していきます。

 

 

路線価とは?

 

あなたは現金をそのまま持っているよりも、その現金相当額の土地を持っている方が評価額が下がる、つまり相続税が安くなるということを聞いたことがあるかもしれません。そのカラクリはこういうことです・・・

 

相続税というのは、実勢価格や公示価格のような市場価格のまま計算するのではなく、路線価により計算されることから、その分土地の評価額が安くなるのです。前述のとおり、路線価というのは実勢価格の8割程度で計算されます。

 

例えば、1億円で市場価格が設定されている土地があったとしても、相続時あるいは贈与時には8,000万円程度で計算されることになります。

 

ただし、路線価は実勢価格をもとにして毎年1月1日に決められますが、市場価格は常に変動していますから、年の途中で実勢価格が下がると路線価の方が相続税が高くなってしまうということもあり得るのです。

 

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具体的な不動産価格の計算方法は?

 

先ほどは、土地や不動産の4つの価格の求め方や相続の際に使われる路線価についての概要についてでした。ここからは具体的な不動産価格の計算方法についてのお話です。

 

前述のとおり、相続税や贈与税の計算の際に使用する評価方法は路線価です。しかしながら、中には路線価が設定されていない土地もあります。そんなときには“倍率方式”という評価方法で計算していきます。

 

 

路線価による評価方法とは?

 

まず初めに路線価による評価方法について解説していきます。

 

路線価というのは、土地が面した道路に割り当てられている1u当たりの評価額のことを言います。これは土地の面積に応じて評価額を算出します。

 

また、路線価が記載された図面のことを路線価図と言います。これは国税庁のホームページより自由に閲覧することができます。

 

路線価図を見てみると、270Dや350Bといった数字とアルファベットの文字列があります。これらの数字は何かというと、1u当たりの土地の値段になります。

 

路線価図は千円単位で表示されていますから、例えば270Dでしたら1u当たり270,000円(270×1,000)と計算することができます。坪単位で見る場合には、1u=3.3坪なので、1坪当たりは270,000円×3.3=891,000円となります。

 

ただし、この計算はあくまでも土地が正方形で1つの道路に垂直に面している場合にのみ使うことができます。

 

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つまり、2つの道路に面していたり角地であったりすれば前述の評価額よりも上昇しますし、反対に歪んだ土地や間口の狭い土地なら評価額は下落することになります。

 

こうしたケースでは補正計算をして正確に評価額を求めていくことになります。補正率に関しても国税庁のホームページより自由に閲覧することができますので参考にしてみてください。

 

 

アルファベットの意味は?

 

一方、数字の横に書いてあるアルファベットは、土地の価格に占める借地権割合を意味しています。これは土地を借りている場合に用いられます。

 

例えば先ほどの270Dでしたら、借地権は路線価図に記してある60%を用います。つまり、891,000円×60%=534,600円となります。

 

ただし、この数値はあくまでも目安です。必ずしも市場価格と一致するとは限りませんので注意が必要です。路線価により土地の評価額が求められる場合には、これらのことをぜひ参考にしてみて下さい。

 

 

倍率方式とは?

 

続いて、路線価が設定されていない土地の評価額を求める場合に用いる倍率方式について解説していきます。倍率方式では、固定資産税評価額に評価倍率を掛けて評価額を求めることができます。

 

■倍率方式=固定資産税評価額×評価倍率

 

固定資産評価額というのは、毎年市区町村から送られてくる固定資産税の課税証明書に記載されています。固定資産税は3年に1度見直されますから、被相続人が亡くなった年に近い年度のものを参考にするとよいです。

 

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以上が土地の評価額の計算方法になります。

 

おおよその評価額を知りたいという場合には、これまで解説してきた方法によって計算すれば十分です。日本人の相続財産の中で多くの割合を占めるのが不動産です。せっかくですから、一度この機会に計算してみることをおすすめします。

 

 

建物の評価額の計算方法は?

 

ここからは建物部分についての評価額の計算方法についてのお話です。建物部分は、毎年市区町村から送られてくる“固定資産税課税明細書”に記載されている固定資産税評価額がそのまま評価額の対象となります。

 

前述のとおり、固定資産評価額は市場価格のおよそ7割程度に設定されています。しかしながら、固定資産評価額がそのまま建物の評価額としてみなされるのは、その建物が自分のものである場合です。つまり、貸している場合には評価額は異なるということです。

 

土地を貸している場合にその土地の評価額が借地権割合によって下がるように、建物も貸している場合にはその分評価額は下がります。

 

 

人に貸しているとなぜ評価額が下がるの?

 

土地や建物を人に貸しているとなぜ評価額が下がるのかというと・・・

 

自分の思いつき次第で勝手に買ったものを処分することができないからです。つまり、建物に住んでいる人にはそこに住む権利があるからです。この権利のことを“借家権”と言います。土地を借りている場合に用いられる借地権も同じです。

 

ですから、貸している建物は固定資産評価額から借家権の評価額を差し引いたものが評価額としてみなされるのです。

 

借家権の評価額は固定資産評価額の30%とされています。なので、貸している建物の評価額は固定資産評価額の70%となります。つまり、建物を貸している人の持ち分は7割、借りている人の持ち分は3割となります。

 

相続税対策で自分の土地にアパートやマンションを建てて人に貸すというのは、借地権や借家権によってより評価額を下げることができるからです。

 

空室リスクなど様々な懸念材料もありますが、更地の土地をそのまま放っておいて高い固定資産税を納めるよりはメリットがあるかもしれません。

 

土地に続いて建物の評価額の計算方法についての解説は以上になります。

 

相続対策においては、資産の大小にかかわらず財産目録を作成しておくことが非常に重要です。どれだけの財産があるのかを把握しておくと、この先何をすればいいのかがわかってくるからです。

 

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