事実婚と非嫡出子(連れ子)の相続問題!子供の認知で相続分は?

 

 

事実婚非嫡出子(連れ子)の相続問題

子供認知で相続分はどうなる?

 

 

今回は、事実婚や非嫡出子の場合、相続が起きた時にどのような影響を受けるのか?というお話です。

 

事実婚というのは、内縁関係の夫婦、つまり、戸籍の提出をしていないだけで事実上の夫婦である関係のことを言います。最近ではよくある話ですよね。戸籍の提出をしていなくても、長年連れ添っていれば、戸籍を提出している夫婦と同じと考えたいところです。

 

ですが、実際に相続の話になりますと、事実婚状態の配偶者には一切相続権がありません。当然ですが、法定相続分もありません。

 

ただし、亡くなった人(被相続人)に戸籍上の相続人がいない場合は、家庭裁判所に“特別縁故者”として申し出れば、残された内縁の配偶者に相続権が移る場合もあります。

 

また、住んでいる家についても同じことが言えます。他の法定相続人に出ていってくれと言われたら、長年住んでいた家をも手放さなければなりません。

 

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非嫡出子はどうなるの?

 

これに付随して非嫡出子、つまり婚姻関係のない夫婦の間に生まれた子供の相続についてはどうなるのでしょうか?

 

かつては非嫡出子の法定相続分は嫡出子の1/2とされていましたが、平成25年12月5日の民法改正によって、嫡出子と同様の相続分が認められることになりました。

 

つまり、再婚により籍を入れずに結婚した夫婦の間に生まれた子供と、再婚前の子供の相続分が同等になるということです。また、お腹の中にいる子供、すなわち胎児にも法定相続分は認められます。相続権が認められるということですね。

 

ただし、その胎児が死産であった場合にはこの規定は適用されません。

 

 

未成年の場合はどうなるの?

 

未成年者が法定相続人の場合は、家庭裁判所において“特別代理人”を選任してもらう必要がありますので注意が必要です。ちなみに、内縁関係の配偶者には相続権がありませんから、非嫡出子の特別代理人になることはできます。

 

ただし、特別代理人は1人につき1人しか選任されませんので、子供が何人もいる場合には、1人の子供だけが親を特別代理人として選任できることになります。

 

 

嫡出子・非嫡出子とは?

 

続いて、嫡出子、すなわち婚姻関係のある夫婦の間に生まれた子供の相続についてのお話です。

 

「婚姻届けを提出していれば何も問題はないのでは?」と思われるかもしれません。ですが、実はこれが大きな相続トラブルに発展する可能性があるのです。

 

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嫡出子とは?

 

嫡出子は、推定される嫡出子と推定されない嫡出子に分けられます。

 

まず推定される嫡出子というのは、婚姻中に妻が妊娠した子供、また、婚姻届けを提出した日から200日経過した後に生まれた子供、さらに、婚姻を解消してから300日以内に生まれた子供のことをいいます。

 

要するに、婚姻後に妻が妊娠した場合には、その子供は夫の子供であると推定されるということです。

 

また、婚姻届けを提出した日から201日以上経過して子供が生まれた場合にも同じことが言えます。そして、離婚後300日以内に生まれた子供は前夫の子供と推定されるということになります。

 

 

推定されない嫡出子とは?

 

次に推定されない嫡出子というのは、前述の推定期間内に生まれた子供のことを言います。これは「できちゃった結婚」のケースでよく見られます。

 

要するに、婚姻関係のある夫婦の間に生まれた子供であっても、推定期間外に生まれた子供は、夫の子供であると推定されないということです。そのため、推定されない嫡出子という区分になってしまうわけです。

 

子供の母親は“妊娠して出産した”という事実によって親子関係が確定します。一方、推定期間外に生まれた子供を持つ父親は、嫡出認否の訴えを起こすことも可能です。

 

ただし、嫡出認否の訴えは、夫が子供の出生を知った時から1年以内に提起する必要がありますので注意して下さい。

 

 

推定されない嫡出子の相続トラブルとは?

 

推定されない嫡出子の父親に相続が発生した場合、当然その子供が相続人となると考えたいところです。

 

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ところが、共同相続人や次順位の相続人によって、「推定期間外に生まれた子供であるから」という理由により、父子関係を否定される訴えを起こされてしまう可能性があるのです。こうなりますと、どうにも反論できない状況に陥ってしまうのです。

 

「籍を入れたのだから何も問題ない」という考え方ですと、不測の事態には備えられませんので注意が必要です。

 

 

嫡出子と非嫡出子の相続の違いは?

 

さて、実は嫡出子と非嫡出子とではそれぞれ相続の進め方にも違いがあります。ここではその違いについて説明していきます。

 

まず嫡出子には、推定される嫡出子と推定されない嫡出があって、非嫡出子には、認知されている非嫡出子と認知されていない嫡出子があるというのは前述のとおりです。要するに、同じ子供であっても、相続の際には3つに分けられることになるのです。

 

 

推定される非嫡出子とは?

 

推定される嫡出子というのは、婚姻後に妻が妊娠して出産した子供、婚姻後200日以上経過して生まれた子供のことを言います。そして、離婚後300日以内に生まれた子供は前夫の子供とみなされます。

 

一方、推定されない嫡出子というのは、先ほどの期間外に生まれた子供のことを言います。要するに、生まれた子供の戸籍に両親の名前が記載されていたとしても、子供が生まれた時期により、推定されるか推定されないかが変わってくることになるのです。

 

 

非嫡出子とは?

 

非嫡出子というのは、婚姻していない、すなわち内縁関係の男女の間に生まれた子供のことを言います。非嫡出子は、たとえ内縁関係の夫婦の間に生まれた子供であっても、子供の戸籍上に父親の名前が記載されることはありません。

 

つまり、認知をして初めて生まれた子供の父親として認定されることになります。要するに、認知というのは、生まれた子供の戸籍上、空白となっている父親の欄を埋めることを言うのですね。

 

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父親の相続の際はどうなるの?

 

それでは、推定される非嫡出子と推定されない嫡出子、認知されている嫡出子と認知されていない嫡出子は、それぞれ父親の相続の際にどのような影響を受けるのでしょうか?

 

まず確実に相続権が発生する子供は、推定される嫡出子と認知のある非嫡出子です。一方、相続権が一切発生しない子供は、認知のない非嫡出子です。ケースバイケースで、相続権が発生しない可能性があるのが推定されない嫡出子です。

 

推定される嫡出子と認知されている嫡出子は、確実に相続権が発生します。嫡出子と非嫡出子には同等の相続権が発生するというのは前述のとおりです。

 

これをさらに詳しく言うと、推定される嫡出子と認知を受けた非嫡出子が同等の相続権を持っているということです。

 

ちなみに、認知されていない嫡出子、すなわち婚姻していない夫婦の間に生まれ、父親に認知をされていない子供には一切相続権は発生しないということになります。

 

 

推定されない嫡出子について・・・

 

推定されない嫡出子は、戸籍上に父親の名前が記載されていますから、基本的に相続権は発生すると考えて問題ありません。

 

ただし、相続発生時に共同相続人や次順位の相続人から「嫡出子であっても推定されていないから相続権はない」という指摘を受けたりすると、場合によっては相続権を剥奪される可能性もあります。

 

つまり、入籍したのだから問題ないといった考えでいると不測の事態には対応できないのです。ということで、推定されない嫡出子がいる場合には、残された子供のことを考えた相続対策を講じておくことをおすすめします。

 

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非嫡出子の相続はどうなるの?

 

続いて、前述の推定される嫡出子と推定されない嫡出子の続編です。非嫡出子の相続についてのお話です。

 

先ほど、非嫡出子には嫡出子と同等の相続権が発生するとお話しました。実は非嫡出子には区分があって、認知のある嫡出子と認知のない嫡出子に分けられるのです。

 

認知のある嫡出子には嫡出子と同等の相続権が認められる一方、認知のない嫡出子には一切相続権が認められません。

 

 

認知とは?

 

まず子供の母親に関しては、妊娠して出産したという事実がありますから認知をする必要がありません。なので、「認知」というのは男性特有のものということになります。

 

嫡出子、すなわち婚姻関係のある夫婦の間に生まれた子供の場合は、当然戸籍に父母の名前が記載されます。

 

一方、非嫡出子、すなわち婚姻関係のない男女の間に生まれた子供の場合は、子供の戸籍には母親の名前しか記載されずに父親の欄は空白となります。要するに、父親が認知をしないと、戸籍上は父親がいないということになるのです。

 

つまり、認知とは、戸籍上の父親の欄の空欄を埋めることを言うのです。認知をするには、市役所で手続きを進める必要がありますが、それほど難しい申請ではありません。割と簡単に認知することができます。

 

 

非嫡出子と嫡出子の相続権は?

 

非嫡出子は父親からの認知を受けて初めて、嫡出子と同等の相続権が認められます。認知を受けていないと、非嫡出子には一切相続権が発生しませんので注意して下さい。

 

ちなみに、かつては非嫡出子の相続分は嫡出子の1/2とされていました。それが平成24年9月4日の最高裁判決によって違憲判決が下されました。

 

また、同じ子供でありながら平等に取り扱わないことが法の下の平等に反するという批判もあり、嫡出子と非嫡出子の相続分が同等となったわけです。つまり、この改正が行われるまでは相続分に差があったのです。

 

これはつい最近出された判決ですから、知らなかったかもしれませんね。

 

ということで、非嫡出子であっても、認知をしているかしていないかで相続の進め方は変わってきますので念のため頭に入れておいて下さい。

 

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