広大地評価の見直し!改正でこう変わる!

 

 

広大地評価見直し

改正でこう変わる!

 

 

今回は、広大地評価の見直しについて、かつての評価制度と税制改正後の評価制度について、どのように変わったのかをみていきたいと思います。

 

平成29年6月22日にパブリックコメントが公表されました。公表された資料に新旧の通達対照表が記載されていますので、これを踏まえて説明していきます。

 

 

現行の広大地評価の見直しは?

 

まずは現行の広大地評価について簡単に説明していきます。そもそも広大地というのはどういった土地なのかというと、次の要件に該当する土地のことを言います。

 

■その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地であること
■開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものであること
■大規模工場用地に該当するものでないこと及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものでないこと

 

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このように書かれても今一つピンとこないと思いますので、以上の3つの要件についてもう少しわかりやすく個別にみていきます。

 

 

著しく地積が広大とは?

 

まず「著しく地積が広大」であるかどうかの判断についてです。こちらについては、次のように判断されます。

 

市街化区域のうち三大都市圏においては500u以上、それ以外の地域においては1,000u以上です。また、非線引き都市計画区域及び準都市計画区域については3,000u以上です。これらが「著しく地積が広大」であると判断されます。

 

ただし、評価対象地域の地積が開発許可面積基準以上であっても、その地域の標準的な宅地の地積と同規模である場合には、広大地には該当しませんので注意が必要です。

 

 

公共公益的施設用地の負担とは?

 

次に公共公益的施設用地の負担の要否についてです。これは、経済的に最も合理的に戸建住宅の分譲を行った場合に、その開発区域内に道路の開設が必要なものかどうかで判断します。

 

これを簡単に言うと、戸建分譲用地として開発した場合に道路を開設する必要があるかどうかということです。

 

建築基準法において建物を建てる場合には、接道義務を果たす必要があります。現行法上は広大な宅地を戸建分譲用として開発する場合に、つぶれ地が生じなければ広大地評価の適用を受けることはできません。

 

例えば、間口が広く奥行きが標準的な土地については、複数に分けることで道を作る必要がなくなります。また、例えば周りが道路に囲まれている土地についても、複数に分けると道をつくる必要がなくなります。

 

このような場合には、広大地評価の適用を受けることはできません。

 

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中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものでないこととは?

 

最後に中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものでないことについてです。これは、その宅地の存する地域の標準的使用の状況を参考に判断します。

 

前述のとおり、広大地評価の適用を受けるには、その土地の再有効利用が戸建分譲用でなければならないこととなっています。

 

近隣が高層マンションだらけの土地であれば、戸建分譲用ではなくマンション用とするのが再有効利用であると判断される可能性があります。そうなってしまうと、広大地評価の適用を受けることはできません。

 

 

実際の広大地評価の評価方法は?

 

それでは、実際に広大地評価を適用した場合の評価方法についてみていきましょう。まずその広大地が路線価地域に所在する場合は次のように計算します。

 

■広大地評価額=広大地の面する路線の路線価×広大地補正率×地積

 

※広大地補正率=0.6−0.05×広大地の地積/1,000u(下限=0.35)

 

その広大地が倍率地域に所在する場合には、その広大地が標準的な間口距離および奥行距離を有する場合の1u当たりの価格(近隣類似の宅地の固定資産税評価額に倍率を乗じた価額)を路線価として、上記に準じて計算した金額が倍率地域の広大地評価額となります。

 

実際に電卓で計算していただくとわかりますが、評価額が半分程度になることは多々あります。

 

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広大地評価は改正されたの?

 

前述のとおり、広大地評価というのは相続税評価額を下げる非常に大きな手法になります。ただし、税制改正前は広大地評価における問題点もありました。

 

1つ目は、適用要件が相対的なものなので専門家の間でも判断に苦慮し、審査請求や訴訟となるケースが多発していたことです。

 

特に先ほど解説したつぶれ地基準や戸建分譲用再有効利用の判断は非常に難しいです。当初申告で広大地評価により計算した申告書が、税務調査で否認されるという判例も数多くあります。

 

2つ目は、個別の土地の形状等とは関係なく面積に応じて比例的に減額するものであるため、実際の取引価額と評価額とが大きく、乖離してしまっていることがあったことです。

 

例えば、2つの土地を比較したときに、明らかに形が綺麗な土地で取引価額もu単価が同じものであれば、こちらの方が高くなると考えられます。ところが、広大地評価を適用した場合には、相続税評価額は基本的に同じになるということが起こっていたのです。

 

こうした現状を踏まえて平成28年12月22日に、税制改正大綱において相続税等の財産評価の適正化として広大地評価について、それまでの面積に比例的に減額する方式から各土地の個性に応じて形状面積に基づき評価する方式に見直すことが閣議決定されました。

 

 

広大地評価の改正のポイントは?

 

広大地評価のの改正のポイントは、大きく分けると2つあります。1つ目は、適用要件が簡素化されたことです。2つ目は、評価方式が変更されたことです。

 

適用要件については、まず三大都市圏で500u以上、それ以外の地域においては1,000u以上の宅地が対象となります。

 

ただし、宅地分譲に係る開発行為ができない市街化調整区域、工業専用地域、容積率400%(東京23区は300%)以上の地域に該当するものは除きます。また、普通商業・併用住宅地区および普通住宅地区に所在するものも対象となります。

 

これらの要件に該当するものが地積級の大きな宅地の評価の適用対象となってきます。

 

それから、評価方式が変更されたことについては、土地の形状等の違いを反映させた評価方式になっています。

 

以上をまとめますと、今回の税制改正によって、従前から広大地に該当する土地については評価額が上がってしまう可能性があります。ただし、評価額が明確になり、かつ評価適用範囲が広がる可能性があります。

 

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