遺産分割の流れと不動産の分け方
指定分割→協議分割→調停分割→審判分割
今回は遺産分割の流れについて簡単に説明していきます。人が亡くなった場合、相続が発生するわけですが、そのときに遺産分割はどのような感じになるのかということについてです。
その中身については、指定分割→協議分割→調停分割→審判分割といった形になります。
まず指定分割というのは、亡くなった人が遺言で子供に「長男にはこれ、次男にはこれ」というように、遺言状で指定して行うものになります。これが指定分割という方法です。
そして、もし遺言がなかった場合にはどうなるのかというと、相続人全員で協議をして財産を分割することになります。
このとき相続人全員が集まって「この財産は誰、この財産は誰」という書面を作成して、そこでまとまれば、全員の名前を書いて実印を押して作成完了となります。これを遺産分割協議書というのですが、これができると相続の登記などもできるようになります。
なお、この協議分割が遺産分割協議でできないと、不動産も共有のままとなってしまいます。
調停分割とは?
次に、この協議が上手くいかなかった場合は、今度は家庭裁判所で調停という手続きを踏むことになります。
ただ協議が上手くいかなかったからといって、突然裁判というのはできません。まずはこの調停というものを行って、もし調停でも決まらなかったら裁判で審判を受けるということになります。
ちなみに、調停というのは家庭裁判所に行って、そこで裁判官と調停委員を交えて話し合いをするものです。調停委員というのは、例えば弁護士さんや色々な方面で専門知識を持っている人です。例えば、建築関係の事件であれば建築士さんなどですね。
それから社会的な信用のある人など、そういう人、年齢は40歳以上70歳未満の人が選ばれています。そして、調停で上手くいけば、調停の内容どおりに遺産分割をすることになります。
審判分割とは?
ただ、調停でももめてしまったという場合は、仕方がありませんのでその次の審判の方に進むわけです。ここで下った審判についてはそれに従わなければなりません。よって、最後はそれに従って分割することになります。このような流れが遺産分割の流れになります。
遺産分割の流れ|まとめ
家の中の話がまとまらずに外部の力を借りるわけですから、調停分割や審判分割はちょっと恥ずかしいと感じる人もいるかもしれません。
一番良いのは、亡くなった人がきちんと遺言を書いておく、さらに、なぜそのような遺言にしたのかということを理由まで書いておくと、本当にもめにくくなります。なので、それを一番におすすめします。
どうしても遺言のない場合は、仕方がありませんから仲良く協議というのがよいと思いますが、もしダメな場合は調停分割や審判分割に進んでいくことになります。
なお、司法書士さんなどに遺産分割協議書を作成してもらう場合は、概ね費用は5〜10万円くらいを見積もっておけばよいと思います。
遺産分割の不動産の分け方は?
今回は、遺産分割において不動産はどのように分ければいいのかというお話です。
前回、不動産を共有にするのはできるだけ避けてくださいというお話をしました。これは、考えもなく漫然と共有にしてしまうと、後からその共有状態を解消しなければならず、そこには非常にコストがかかるので必ず後悔するからです。
それでは、遺産に不動産が含まれている場合、それをどのように分けたらいいのかという話になります。その方法は3つあります。
まず1つ目は現物分割です。
例えば、長男が自宅を相続する、次男は預金を相続する、長女は株式を相続する、というようにそれぞれを現物として分割してバランスをとっていく方法になります。一般的にはこの現物分割が最も多いです。
2つ目は換価分割です。
遺産は自宅しかない、預金は長い闘病生活の中で全て使い果たしてしまった、葬儀代をし払ったらもうほとんど預金はない、というようなケースです。こうした自宅しかないというケースもすごく多いです。
そういう場合には、みんなが権利を主張して譲らないのであれば、当然それを共有にするということは避けた方がいいわけです。ですから、その自宅を売却して、その売却したお金をみんなで分けるという方法を取らざるを得ません。
これを換価分割といいます。お金に換えて分割するという意味です。この場合も一旦相続登記を経なければなりません。
3つ目は代償分割です。
例えば、長男が自宅に同居していてずっと自宅に住み続けたい、どうしても自分のものにしたいんだという場合で、他の兄弟が自分の権利を主張して譲らないようなときです。
そのような場合には、それぞれの相続分に応じたお金を支払って、その代わり自宅を長男のものにさせてもらいます。これを代償分割といいます。ただこの場合は、やはり長男にその資金が用意できる、その資力があるということが前提になってきます。
以上、3つの分け方があるということを押さえておいて下さい。
なお、この場合、課税の問題、登記の手続きの方法など技術的にかなり難しい問題があります。ご自身でやるのではなく専門家に相談して進めていかれることをおすすめします。