遺産分割協議と認知症|成年後見人と代理人の相続手続き!

 

 

遺産分割協議認知症

成年後見人と代理人の相続手続き!

 

 

今回は、認知症と遺産分割協議のお話です。

 

ある人が亡くなると相続が開始されます。そうすると、その人が持っていた財産が相続人に移っていくことになりますよね。

 

その際に具体的にどう分けるか、自宅は○○に、預金は○○に、株式は○○に、このように具体的にどう分けるのかというのは、どのようなルールになっていると思いますか?

 

まず遺言書があればそれに従うことになります。

 

 

では、遺言がない場合はどうするのでしょうか?

 

この場合は、相続人全員が話し合いをして、遺産を具体的にどう分けるかということを合意して、その内容を書類(遺産分割協議書)にして、それで手続きをしていきます。

 

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このとき、相続人のうちの1人がすでに認知症になってしまっている場合があります。

 

こうしたケースは最近非常に多いです。お父さんが亡くなってお母さんはまだ存命だけれど、もう何年も前に施設に入っていて、認知症もかなり進んでしまっているというようなケースです。家族が行ってももう誰だかわからない、こうしたケースです。

 

こうした場合は、お母さんはそのままでは遺産分割協議に参加するということはできませんから、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらう必要があります。

 

そして、その成年後見人がお母さんに代わって遺産分割協議をして、書類にも印鑑を押して手続きを進めていくということになります。

 

ただし、この場合、成年後見人を誰にするかという問題があります。

 

 

成年後見人とは?

 

お子さんたちがお母さんの近くに住んでいるということであれば、通常はお子さんたちが成年後見人になるはずです。

 

そうすると、お子さんたちは、お父さんの相続人であるという立場と、お母さんの成年後見人として遺産分割協議に参加するという立場とを両方兼ねるということになります。

 

すると、お子さんが自分の取り分を多くするとお母さんの持分が減る、逆にお母さんの持分を多くすると自分の取り分が減る、そういう利益が相反する関係になります。

 

これを“利益相反”と言います。利益相反の関係の場合は、成年後見人はお母さんに代わって遺産分割協議に参加することはできません。

 

ではどうするのかということですが、成年後見人はその遺産分割協議についてのみ、お母さんを代理する“特別代理人”を新たに選任してもらって、その人に遺産分割協議に参加してもらって進めていくということになっています。

 

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ケースにもよりますが、ここまでで概ね成年後見人を選任するのに2ヵ月くらいはかかります。成年後見人が選任された後に特別代理人を選任していきますので、そこからまた1ヵ月くらいかかります。このように、かなり時間のかかる手続きだということは知っておいて下さい。

 

以下では、特別代理人が選任された場合の遺産分割協議についてのお話をしていきます。

 

 

特別代理人が遺産分割協議に参加するとどうなるの?

 

上記では、遺産を分割する時に遺言書がなければ、遺産分割協議書を作成しなければいけない、また、相続人の中に認知症の人がいた場合には成年後見人を選任しなければいけない、さらに、成年後見人が相続人のうちの一人で、利益がそう反する場合には特別代理人を選任しなければいけない、というお話でした。

 

次は、特別代理人が遺産分割協議に参加する場合の煩わしさについてのお話です。

 

特別代理人を選任する時には、遺産分割協議の案を添付することになっています。家庭裁判所はその案を見たうえで特別代理人を選任してくれるます。

 

その際に家庭裁判所は、先ほどのケースでいうとお母さんの法定相続分は1/2ですから、1/2の法定相続分に相当する財産がお母さんにきちんといくかどうか、というところをチェックします。つまり、家庭裁判所が遺産分割協議の内容に口を挟んでくるわけです。

 

そうすると、お母さんの法定相続分をきちんと確保した内容の遺産分割協議しかできないことになってしまうわけです。そうなると、お子さんたちがこう分けようと思っていた内容では、もう協議ができなくなります。お母さんに一定の財産を渡さなければいけませんからね。

 

それはいいとしても、ただし、そうすると認知症の人が財産を所有することになりますから、その後の運用・処分・管理、そういったところにもかなりの煩わしさが出てきます。

 

売却をするときにも家庭裁判所に相談をしなければならず、勝手に売却することはできなくなります。

 

こうした問題は、遺言書さえあれば遺産分割協議はそもそもしなくていいわけですから、遺言書を作成すればすべて解決ということになります。

 

ですから、ぜひ相続人の中に認知症の人がいる、あるいは知的障害の人がいるという場合には、遺言書を作成しておくことをおすすめします。

 

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