遺産分割協議終了後に遺言書が見つかったら?

 

 

遺産分割協議終了後に遺言書が見つかったら?

 

 

今回は、遺産分割協議終了後に遺言書が見つかった場合、どうしたらいいのかというお話です。例えば、次のような事例で考えてみたいと思います。

 

先日お母さんが亡くなって、兄弟3人で法定相続分で分割する遺産分割協議が成立しました。ところが、その遺産分割協議がまとまったすぐ後に、被相続人の衣服の中から遺言書が見つかりました。

 

その遺言書を見ると、内容は兄に全て相続させる内容となっていました。兄は遺言に基づいてすべての財産を相続すると言っています。この場合、遺産分割協議は無効になってしまうのでしょうか?

 

こうしたケースはよくあります。このケースは、お父さんは既に亡くなっていて、今度はお母さんが亡くなったということです。

 

スポンサーリンク

 

 

当初遺言書はないとみなさん思っていたので、お母さんの遺産については、お兄さん(長男)と次男、三男、兄弟3人の相続で、それぞれ法定相続分で分けましょうとなり遺産分割協議がまとまりましたということで、ここまではよしよしという感じですね。

 

ところがその後遺言書が発見されてしまって、その中身は長男が全て相続するという記載になっていたとのこと。このとき、長男が「こういう遺言書があるのだから自分が全部いただくよ」というふうに言い出したときに、次男や三男はどうすべきかということを考えていきます。

 

このケースの場合は、まず遺産分割協議のところで成立していた、遺言書の存在を知らなかったけれども遺産分割協議を行った、これは有効であるということが言えるのかどうかということが問題になります。

 

まずこのケースの場合には、お兄さんは遺言書の内容を知らずに遺産分割協議をしていて、遺言書の中身からすると、この遺言書を知っていればおそらくこの遺産分割協議はしなかったのではないか、というように思えます。

 

また、実際に長男が「全部自分がいただきます」ということまで言っているということになると、おそらくこのケースでは遺産分割協議は無効であるということにならざるを得ないと思います。

 

遺産分割協議は無効であるという話になりますと、当然、遺言書があるので遺言に従って相続しますということになりますので、長男は「遺言書に従って全部遺産をいただきます」というように言っているのだと思われます。

 

しかしながら、民法では遺留分の減殺請求ということが認められますので、次男と三男は長男に対して遺留分の減殺請求によって、「最低限これくらいはちょうだいよ」というような話し合いをすべきだと思います。

 

ただ、長男としてはもう遺言書があるので「とにかく全部ほしい」と言って譲らないということになりますと、遺留分の減殺請求を実際には、調停や訴訟の中で争っていくことになります。

 

その場合は、実際にはかなり難しい手続きになりますから、弁護士に相談して代理人になってもらうことをおすすめします。

 

スポンサーリンク

 

 

遺言書があっても遺産分割協議が必要になるケースとは?

 

次に、遺言書があっても遺産分割協議が必要になるケースについてのお話です。

 

一般的に遺言書というのは、相続争いや相続で問題が起きないために作成されます。ですから、遺言書があるのに相続人同士の話し合い、遺産分割協議が必要になってしまっては本末転倒になってしまいます。

 

実際に遺言書の内容で、特に法律的に間違っているわけではなかったとしても、この遺産分割協議が必要になってしまって、争いのもとになってしまうケースもありますので、これについても知っておいていただくとよいと思います。

 

具体的には、包括遺贈という分け方になります。

 

遺言書の書き方には、大きく分けて2つの種類あります。

 

例えば、「自宅の不動産を長男に渡す」とか、「預貯金○○銀行○○支店口座番号△△の銀行預金を次男に相続させる」とか、そういった形で個別具体的に財産を指定するものを“特定遺贈”と言います。

 

一方、「財産総額全体の2/3を長男に、1/3を次男に相続させる」というような割合だけを指定した内容のものを“包括遺贈”と言います。

 

問題になるのは、包括遺贈の場合です・・・

 

このようなただ単に割合を指定しただけの場合には、実際に相続が起きてから、具体的に2/3の財産とはどの財産のことなのか、1/3とはどこからもらえばいいのか、という話し合いを相続人同士でしなければいけないということになっています。

 

そもそも相続争いなどにならないように、話し合いをしなかったとしてもそのまま手続きがスムーズにいくようにということで遺言書を作成したはずが、こうした割合だけを指定した遺言書を作成してしまった場合には、何ら本来の解決にはなっていないということになってしまうのです。

 

なので、こうした形で遺言書を作成する際には、書き方としては当然、個別具体的な財産を書いていくよりも、1/3とか2/3などと書いた方が書くときは楽だとは思います。

 

ですが、これでは実際に相続が起きた後、どういう流れになっていくのかを考えたら問題が残りますよね。ですから、遺言書を作成する際は、ぜひ手続きの流れを想定して、できるだけ相続人、残された家族に問題が残らないような形で作成されることをおすすめします。

 

スポンサーリンク

 

関連記事(一部広告含む)