遺産分割協議書の作成と記載方法
遺産分割協議なしの場合は?
まず遺産分割の協議というのは、当然遺産分割には必要です。また、遺産分割協議が終わった、成立したという証拠のために書類が必要ということになります。
様々な実務上の手続きにおいて、遺産分割協議書は必要になりますので、そういった意味からは、まずは遺産分割協議書は作成しなければいけないということになります。
一応、そういった法律行為というのは、書面がなくても当事者の意思で成り立つというのはあるのですが、後から覆したりという話になってしまったりすることもありますので、やはりきっちり作成することをおすすめします。
法律上は作成しなくてもよいとされていても、基本的には作成しなくてはいけないのだと認識しておくようにしたいです。
遺産分割協議書作成後に現金を渡すのは?
遺産分割協議書を作成した後に、別に現金を渡すとどんな弊害があるのでしょうか?
まず遺産分割協議をして遺産分割協議書を作成したということは、そこで遺産分割が確定しているわけです。別口で現金を渡すというのは、どういった事情かにもよりますが、基本的には相続が終わった後の別の手続きという位置づけになります。
なので、通常であれば贈与ということになります。
分割協議をして、誰かが納得できないということで、いわゆるお金を渡したという話かもしれませんが、通常は贈与という位置づけになります。
ちなみに、どうしても納得できなければ、遺産分割のやり直しという手続きも可能ですので、それで遺産分割協議書を作成するということもあります。
ただ、相続税の場合、遺産分割のやり直しというのは、一旦確定した分割の後にまたやるということですから基本的には贈与になります。そこで分割協議は確定しているという形になるからです。
そうしないと、簡単に何度でも分割ができてしまい税金が確定しませんからね。実務上租税債務が確定しないというのは困るわけです。税務上はそういった位置づけになりますので、やり直しをする場合には慎重になさって下さい。
遺産分割協議書に不動産のみ記載するのは?
通常、遺産分割協議書全体のものには、不動産だけでなく預貯金や債務などすべてのものを記載します。ただ、不動産の登記とか預貯金の名義変更とか、そのためだけに遺産分割協議書を一部だけ作成するということがあったりします。
これは、全体の財産などを他の人に一々教えたりとか、銀行などに教えたりとか、あまりそういったことは望ましくないということがあるからです。なので、一部を分割協議書に記載するということがあるのです。
ただし、その前提としてまずは全体の遺産分割協議書を作成するというのはあります。
ということで、登記とか名義変更を主として、そういったことのために一部の不動産だけを記載した協議書を作成することは実務上あるということです。
つまり、そういったもともとの相続のものと、名義変更のものと、それぞれの目的によって一部だけを作成することもあるということは頭に入れておいて下さい。
遺産分割協議なしに遺産分割協議書を作成したら?
遺産分割協議を行わないで、遺産分割協議書のみを作成して署名・押印するのはよいのでしょうか?
これはどういったことを意図しているのかにもよりますが、遺産分割協議書にハンコを押すということは、基本的に法律上はそこで協議が行われたとみなされます。ですから、そこで遺産分割協議は確定することになります。
もちろん、そこで勘違い、法律用語で錯誤があればそれはまた変わってきますが、基本的には法律的な手続きとしてそういった書類を作成しているのであれば、そこで協議は確定したということになります。
なので、それに基づいて、相続税の申告をしたり名義変更したりすることになります。