平成27年相続税の基礎控除改正の影響は?
いくら払うことになるの?
今回は、相続税を実際に支払う人の割合についてのお話です。平成27年の相続税の大改正によって、基礎控除額が4割も削減されました。
具体的には、平成26年までは「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」が基礎控除額だったのですが、平成27年からは「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に変更されました。
今までは、相続税は富裕層の一部にしか関係のないものとして済まされてきましたが、そういうわけにもいかなくなってきたのです。
ちなみに、この相続税の大改正によって、納税率は4〜6%に上昇、特に人口の多い東京都では都民の約14%、さらに東京23区では約25%、つまり4人に1人の割合で相続税の申告が必要になってきているのです。
とはいえ、控除や特例を使いこなすことで相続税の申告が不要になるケースもありますので、最低限の知識は頭に入れておくようにしたいですね。なお、控除や特例は自動的に適用されるものではなく、事前に申告しなければ適用されませんので注意が必要です。
相続税はいくらくらい?
次に、相続税はいくらくらい支払うものなのかについてのお話です。
相続税は、基礎控除額の「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えた金額にかかってきます。控除や特例を使う場合は、それを適用した後の金額が基礎控除額を超えたときに相続税がかかってきます。
まず、控除額を除いた額が1,000万円の場合は、その超えた額に税率10%を掛けたものを相続税として納税します。また、基礎控除額を超える金額が1,000万円以上になると、控除額というものが発生します。
例えば、基礎控除額を除いた金額が7,500万円の場合は、税率30%、控除額700万円ですから、相続税額は1,550万円(7,500万円×30%−700万円)となります。
ちなみに、税率と控除額は以下のような表がありますので、その表を見て該当するところの数字を当てはめて計算していきます。
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@課税遺産総額 A税率 B控除額
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@1,000万円以下 A10% Bなし
@1,000万円超〜3,000万円以下 A15% B50万円
@3,000万円超〜5,000万円以下 A20% B200万円
@5,000万円超〜1億円以下 A30% B700万円
@1億円超〜2億円以下 A40% B1,700万円
@2億円超〜3億円以下 A45% B2,700万円
@3億円超〜6億円以下 A50% B4,200万円
@6億円超 A55% B7,200万円
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上記のように、表に当てはめて計算してみると、自分がどれだけの相続税を支払うのかがわかりますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
平成27年の相続税法改正のまとめ!
ここで、平成27年の相続税法改正についてまとめておきます。平成27年に相続税の基礎控除額が引き下げが行われたことについては、あなたもご存知かもしれません。
しかしながら、それ以外にも相続税に関する法律が色々と変わっています。基礎控除額の引き下げは引き締め策になりますが、中には規制緩和された法律や新設された規制緩和措置もあります。
まずは基礎控除額の引き下げについてです。
以前の相続税の基礎控除額は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」でした。これが平成27年からは「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に改正されました。つまり、4割も削減されたことになります。
税率と控除額はどのように改正されたの?
続いて、相続税の税率の引き上げと控除額についてです。
課税遺産総額2億円超〜3億円以下のところは、改正前の税率40%が45%に、控除額は1,700万円から2,700万円に、課税遺産総額3億円超〜6億円以下のところは、税率は変わらず控除額が4,700万円から4,200万円に、課税遺産総額6億円超〜のところは、改正前の税率50%が55%に、控除額は4,700万円から7,200万円に改正されました。
このように、金額の線引きが細かくなって、最高税率が5%引き上げられました。この2点が相続税改正の引き締め策になります。
一方、規制緩和措置もあります。相続人の中に未成年者や障害者がいる場合には、その分控除額が増えるという話は前述のとおりです。今回の改正では、このそれぞれの控除額が引き上げられています。
未成年者控除については、改正前は20歳になるまでの1年につき6万円が控除できましたが、改正後は10万円に控除額が引き上げられています。
障害者については、改正前は85歳になるまでの1年につき6万円(特別障害者は12万円)が控除できましたが、改正後は10万円(特別障害者は20万円)に引き上げられています。
以上の計算によって求められた金額kについては、相続財産を計算する際に差し引くことができます。
小規模宅地の特例の改正は?
小規模宅地の特例については、改正前は居住用宅地の限度面積が240uでしたが、改正後は330uに拡大されています。また、居住用と事業用の完全併用が認められるようになりました。
具体的には、居住用宅地の限度面積330uと事業用宅地の限度面積400uの合わせて730uが小規模宅地の特例に適用できるようになりました。
改正前は、両方の宅地を合わせて400uまでが適用可能でしたから、2倍近くの面積に適用できるようになったということですね。
さらに、二世帯住宅の小規模宅地の特例については、改正前は外階段があるかないか、玄関が2つあるかないか、こうした要件によって適用できるかどうかが変わっていましたが、改正後は緩和措置として、構造上区分された居住であったとしても、一定の要件を満たせば全敷地について特例の適用が可能になりました。
そして、被相続人が老人ホームなどに入居していた場合であっても、一定要件を満たせば小規模宅地の特例が適用できるようになりました。
以上が平成27年の相続税法改正のまとめになります。一般に引き締め策ばかりに目が行きがちですが、緩和措置があることも忘れないようにして下さい。