フラット35住宅ローンの仕組み
おすすめしない理由とは?
今回は、住宅会社も銀行員もおそらく教えてくれない、「なぜ多くの人が銀行ローンで申込むのか?」というお話です。住宅ローンには、「銀行ローン」と「フラット35」の2種類あるのに、なぜ銀行ローンが多く使われるのでしょうか?
1つは、銀行がフラット35をおすすめしないということがあります。もう1つは、住宅会社はフラット35だと仕事量が増えるということです。
なぜ銀行はフラット35をおすすめしないの?
これについては、銀行ローンとフラット35のお金の流れを考えるとよくわかります。銀行ローンもフラット35も、銀行を窓口にして住宅ローンを借ります。そして、あなたは銀行に対して利息と元金を毎月返済していきます。ここまでは、銀行ローンもフラット35も一緒です。
ですが、ここから先が違うのです。銀行ローンの場合は、銀行自身がお金を貸してくれるので、あなたと銀行だけの関係です。
一方、フラット35の場合は、実は銀行があなたにお金を貸しているのではありません。銀行は住宅金融支援機構という国の機関からお金を借りて、あなたにお金を貸しているのです。
そして、銀行はあなたから返済されたお金を住宅金融支援機構に返しているのです。つまり、銀行自身がお金を貸しているのか、銀行もお金を借りてきてそれを貸しているのか、ここに大きな違いがあるのです。
銀行はフラット35では儲からない?
まず銀行ローンの場合、銀行は利息を丸儲けできる仕組みです。銀行自身がお金を貸していますので当然ですよね。フラット35の場合は、銀行は住宅金融支援機構に利息も含めて返済しているため、銀行が儲かるお金は手数料だけなのです。
ここが大きく違います。では、35年分の住宅ローンの利息と手数料ではいくらくらい違うのでしょうか?
住宅ローンというのは、例えば、借入金額2,000万円で35年返済にすると総返済額は3,000万円を超えます。つまり、35年分で1,000万円近い利益が銀行に入るということです。
一方、フラット35で住宅ローンを組んでいると、その1,000万円の利益は銀行に入るのではなく、国の機関である住宅金融支援機構に入ることになります。
ということは、銀行は手数料だけなので、35年で100万円にもなりません。ですから、銀行からすると、銀行ローンを使ってもらった方が銀行が儲かるのです。
これが銀行ローンとフラット35で大きく違うところになります。そして、銀行がフラット35をおすすめしない理由、逆に言うと、これまで家を買った人が銀行ローンにした理由は、もう1つあります。
それは、フラット35の受付窓口も銀行だからです。
例えば、最初はフラット35で申し込もうと思って銀行の窓口に行って「フラット35の申し込みをしたい」と言うと、必ず銀行ローンの方がお得ですという話をしてきます。
なぜそうするのかというと、先ほどのとおり、35年分の利息が儲かるからです。35年分の利息を儲けたいから、銀行はそういう話をしてくるのです。
こうして、「銀行ローンの方がいいな」と思って変える人が多いです。そういうことで、銀行は、銀行が儲かるからフラット35をおすすめしないのです。
フラット35だと工務店の仕事が増える?
フラット35にすると住宅会社の仕事が増えます。何の仕事が増えるのかというと・・・
フラット35を使った場合は、適合証明というものを出さなければなりません。この適合証明を取得する業務が増えるということです。実際に適合証明をもらおうとすると、以下の4つの申請が必要になります。
(1)設計審査(建築確認申請時)…建築確認申請を出した時に、まず1つ審査があります。
(2)検査(中間、完了検査)…中間検査、完了検査では、建物の躯体の検査と最終の検査です。
(3)交付申請(工事完了時)…ここで適合証明を交付申請します。
(4)交付(金銭消費貸借契約時)
住宅会社はこの(1)〜(4)の手間が増えるのです。
一方、銀行ローンを使った場合には適合証明は不要ですから、上記の(1)〜(4)の作業をしなくて済みます。つまり、住宅会社はフラット35を使うことによって、仕事の内容が増えてしまうのです。
フラット35住宅ローンの仕組み
おすすめしない理由とは?まとめ
銀行がフラット35をおすすめしないのは、2つの理由からでした。
1つは、フラット35だとあまり儲からない、銀行は利益を取りたいから、できるだけ銀行ローンを組んで下さいという話をするということでした。もう1つは、住宅会社側の理由からでした。住宅会社はフラット35を使うと、適合証明を取らなければならないからです。
この2つの理由によって、住宅ローンは、銀行ローンが多く使われているというのが現状なのです。