個人型確定拠出年金とは|DCのメリットとデメリット

 

 

個人型確定拠出年金(DC)とは?

メリットとデメリットについて

 

 

個人型確定拠出年金(DC)は、法律の改正があったことにより、2017年1月からほぼすべての人が利用できるようになりました。

 

なぜ、法改正があったのかというと、現行の「勤続年数や給与などをもとに決めた額を企業が責任を持って確定的に給付する」という確定給付年金(DB)だと、企業の負担が重くなる一方だったからです。

 

そこで、「個人が自分で商品を選んで運用して、その結果を自分で年金か退職金として受け取る」という確定拠出年金にどんどんシフトしていく必要がでてきたのです。

 

マイナス金利の中で、個人もそうですが、企業も運用がすごく難しくなってきているのです。とはいえ、私たちは長生きするようになっていますから、老後資金をしっかり作るというニーズは、以前にも増して高まっています。

 

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なぜ個人型確定拠出年金(DC)の利用者が少ないの?

 

実はこの個人型確定拠出年金(DC)、使っている人が非常に少ないです。実際に加入できる人は4,000万人いるはずなのですが、24万人しか加入していません。たった0.6%の人しか利用していないということです。

 

なぜこんなことになっているのかというと、1つは、販売する金融機関にとって非常に利益の薄い商品だからです。つまり、売る側が積極的に個人型確定拠出年金(DC)のPRをしていないということなのです。

 

もう1つは、名前がわかりにくいということです。個人型確定拠出年金(DC)も、前述した確定給付年金(DB)も、何が一体確定なのかということがよくわからない人にはピンとこないのです。

 

個人的には、自分が運用した結果を自分で受け取るという意味から「自主運用年金」などとすればわかりやすかったのにと思います。

 

 

個人型確定拠出年金(DC)のメリットは?

 

個人型確定拠出年金(DC)には、大きく3つのメリットがあると言われています。

 

1つ目のメリットは、掛け金(自分が拠出したお金)の全額が所得控除されるということです。自営業者の方の場合は、月68,000円まで、サラリーマンは月23,000円まで積み立てることができます。

 

例えば、35歳で年収700万円の会社員の人が、60歳までずっと最大の月23,000円を積み立てたとすると、積立金の合計は690万円(23,000円×12ヵ月×25年)、トータルで207万円の節税効果になります。

 

2つ目のメリットは、ニーサ(NISA:少額投資非課税制度)と同じで、運用期間中の値上がり益や分配金もすべて非課税になるということです。

 

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ニーサの場合は、値上がりした分に対して非課税になるわけですが、個人型確定拠出年金(DC)の場合は、それだけでなく、たとえ値上がりしなくても、所得控除があるのでニーサと比較してプラスになります。

 

3つ目のメリットは、お金を受け取る時にも公的年金控除や退職年金控除が使えることです。なので、普通に受け取って税金を取られるよりも断然有利になります。

 

 

専業主婦が個人型確定拠出年金(DC)に

加入するメリットは?

 

専業主婦には所得がありませんので所得控除が使えない、だから個人型確定拠出年金(DC)に入る意味がないとおっしゃる人もいます。

 

ですが、前述した運用期間中の値上がり益や分配金もすべて非課税になるというメリットや、お金を受け取る時にも公的年金控除や退職年金控除が使えるというメリットは、専業主婦の人でも活かすことができます。

 

 

個人型確定拠出年金(DC)のデメリットは?

 

以上のことからすると、個人型確定拠出年金(DC)は良いことづくめのように思われるかもしれませんが、デメリットもあります。それは、ニーサと比較しても、お金を引き出す自由度が低いということです。

 

個人型確定拠出年金(DC)は、あくまでも老後の資金作りが目的なので、積み立てたお金は、原則として60歳になるまで引き出せません。

 

それ以外のデメリットとしては、金融機関による差が大きいということがあります。

 

個人型確定拠出年金(DC)は、確定拠出年金法という国の法律に基づいて実施している制度なので、受けられるサービスそのものは変わりません。ただし、商品の品ぞろえや手数料は金融機関によってかなり違ってきます。

 

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まず商品の品ぞろえについてです。

 

個人型確定拠出年金(DC)の中で使える商品としては、預貯金、保険、投資信託があります。このうち預貯金と保険は、元本確保型と言われていて、例えば株を買った時のように、相場のせいですごくお金が減ってしまったということはそもそも起こりません。

 

ちなみに、投資信託では相場による上下はあります。

 

そして、商品の品ぞろえについてですが、例えば、証券会社によっては、ほとんど似たような投資信託がズラッと揃っていることがあるのです。つまり、たくさんあるように見えるけれど、実際のところはどれを選んでもみんな一緒というようなケースがあるということなのです。

 

なので、商品の多さに惑わされることなく、自分が買いたい商品を持っている証券会社を慎重に選ぶことが大切です。

 

 

手数料のデメリットとは?

 

次に手数料についてです。

 

最初の加入時にかかる手数料は1回切りなので、それほど影響は大きくありません。一方、個人型確定拠出年金(DC)の運用期間は長いですから、毎年かかる手数料というのは非常に大きな影響を受けます。

 

今のところ一番手数料が安いと言われているスルガ銀行や、資産が50万円以上ある場合のSBI証券などは2,000円台前半となっています。しかし、地銀など高いところになると、7,000円台の後半とか4倍近くになっています。

 

ここで、手数料が高いから他の金融機関に乗り換えたいと思いますよね。

 

ところが、ここが難点で、換えられることにはなっているのですが、実際にはそう簡単にはいかないのです。いざ他の金融機関に乗り換えようと思ったら何ヵ月もかかるとか、書類を何度も出すとか、そういったことになるはずです。

 

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ちなみに、ニーサ(NISA)の時には、口座開設すると2,000円プレゼントなどありましたので、またそういったことが起こるかもしれません。

 

ですが、手数料が何倍も違って、それが何十年間にも渡ることを考えたら、目先2,000円もらえるからといって、そこを選んでしまっていいのかは疑問です。そこは慎重に選んで欲しいところです。

 

ということで、個人型確定拠出年金(DC)は使った方がお得ですが、金融機関選びは慎重になさっていただきたいです。

 

 

個人型確定拠出年金(DC)とは?まとめ

 

個人型確定拠出年金(DC)とは、老後の生活に備えて自分で掛け金を拠出し、自分で年金資産の運用方法を決められる、自分で備える年金制度のことです。

 

従来は、一部の人しか加入できなかったのですが、2017年1月以降は、公務員や主婦など、基本的に誰でも加入できるようになりました。この個人型確定拠出年金(DC)には、以下のような3つのメリットがあります。

 

■毎月の掛け金の全額が所得税控除の対象となり、所得税や住民税の負担が軽減されます。例えば、年収500万円の人が毎月掛け金を23,000円にした場合、年間で276,000円(23,000円×12ヵ月)となります。すると、年末に82,800円が控除・還付されるので、実質の掛け金が年間193,200円(276,000円−82,800円)となります。

 

■資産運用して得た運用益には課税されません。

 

■運用した資産は、原則60歳以降、年金または一時金で受け取ることができます。

 

一方、個人型確定拠出年金(DC)には、以下のようなデメリットもあります。

 

■将来の受取額は、運用成果によって異なります。

 

■個人型確定拠出年金(DC)は、老後資産形成を目的とした制度なので、原則として60歳までは引き出すことができません。ですから、将来のことも踏まえて掛け金の設定をする必要があります。

 

■口座管理手数料などがかかります。

 

あなたの人生設計にとって、個人型確定拠出年金(DC)をどう組み立てればいいのか、一度専門家に相談してみるのもよいと思います。

 

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