2016年の法改正に注意！
大病院は紹介状なしなら受診科が
5000円追加負担に..
2016年も色々な税制改正や制度改正がありましたが、ここでは最も身近な医療制度の改正についてまとめてみました。
厚生労働省は、2016年4月から、紹介状なしで大病院を受診する患者に対しては、窓口で5000円の追加負担を求める制度をスタートさせるとのことです。この対象になる大病院というのは、大学病院や公立病院、あるいは赤十字病院など、およそ250の病院になる予定です。
これまででしたら、通常患者としては、診察料や検査料、もしくは手術費用などに対して3割負担（高齢者なら1割負担）すればよかったわけです。ところが2016年4月からは、患者が上記の大病院を紹介状なしで受診した場合には、それに加えて最低5000円の追加負担をすることになるのです。
大病院では、実は今でも自主的に追加負担として、例えば3000〜4000円程度を求めているところもあったりするのですが、これが最低5000円に引き上げられることになります。最低5000円ですから、病院によっては当然5000円以上になるケースも考えられます。
また、これは一応初診料ということになっているのですが、2回目以降の受診でも、例えば1000〜2000円の追加負担が求められ見込みになっています。
紹介状なしなら受診科5000円は大病院だけ？
あくまでもこの制度は、紹介状なしの場合に限定されます。
この制度改正があった背景には、例えば、軽い症状の患者さんであれば、中小規模の病院、例えば町の診療所などに受診していただくことで、大病院は重い症状の患者を中心に治療に専念できるようになるということがあります。
また、大病院だったりすると、かなり待ち時間が長かったりするのですが、この待ち時間を減らすことで、実際に大病院で働いている勤務医の方々の長時間労働を是正することも可能になってくるということもあります。
役割分担として、中小のいわゆる診療所や病院には軽度の患者さんを診てもらい、大病院には重度の患者さんに高度な治療を、というように分けることが今回の制度の目的となっています。
もちろん、地域によっては、近くに診療所がなくて大病院しかないという場所もありますので、そういったところは、今のところは対象外となっています。また、急病患者やすぐに入院が必要な患者に対しても、今回の制度では免除になります。
大病院紹介状なしなら受診科5000円には賛否両論！
この制度改正については、賛否両論があります。
例えば、ちょっと喉が痛いだけで大きい病院へ行くのはやめた方がいいから賛成とか、いっそのこと1万円にしてしまえばいいのではないかという意見もあります。その一方で、紹介状なしなら5000円の追加負担になりますから、5000円を支払えない人には病院に行くなということかとか、ある意味病人への仕打ちだという反対の意見もあります。
私個人の意見としては、ある程度の役割分担は必要だとは思います。やはり大病院には高度な治療が求めらますし、そういったきちんとした設備があるのも、それが大きい病院の利点となっていますから。なので、基本的に大病院には、重度の患者さんを中心に治療に専念していただいた方がいいかなと思います。
5000円という金額が妥当かどうかはわかりませんが、少なくとも現在よりも値段が上がるということにはなるので、そういう方向性に持っていこうという流れは作ることができると思います。
ただし、この制度が対象になる病院の線引きや選定をきちんとしないと、例えばお金を理由に病院に行けなくなる患者さんが出てくる可能性もあるので、その辺はしっかりとした議論が必要になってくるはずです。
医師の勤務状況は超激務！
日本の医療制度というのは、世界でも類を見ないほどの完成度の高さと言われていますし、医療技術も世界最高峰といっても過言ではありません。
ただ、高齢化が進んでくる中で、実際に働いている医師の勤務状況というのは、ものすごい激務だったりします。そういった意味では、この医療制度を改正していくのは、これに限らず今後も進めていくのだろうと考えられます
大病院に行くのは具体的にどんな時？
病院に行く患者側からすると、何を持って大きい病院に行くべきなのかというところはなかなかわかりづらいのが正直なところです。
例えば、自分の体が痛いとか辛いという時に、個人的な判断で大きい病院の方が何となく良さそうな気がするという心理が働くのは当然です。こうした判断で大病院に行かれる方も、当然いらっしゃるはずなので、そこの線引きは非常に判断しづらいと思います。
普段から、自分が信頼できる中小の病院との付き合いができていたら、突発的な病気になっても、気軽に行くことができるのですが…。
ただ、医師の勤務状況も大変なことになっていますし、日本は高齢化も進んでいますから、要は需要は高いのに供給が追い付いていないという状況にあるわけで、今後、より良い方向に改正されていくはずです。