信用取引で証券会社から受け取った配当は、申告しなくてはいけませんか?

 

事例で検討

 

サラリーマンですが、副業で株式の信用取引をしています。先日、株主名簿閉鎖(決算日)5日前に買い付けたR株式に対して、証券会社から、R株式についての配当金を受け取りました。

 

これは、配当所得として申告しなくてはいけないのでしょうか?申告する場合は、配当金に20%の源泉徴収がされていたので、それを控除してもよいのでしょうか?

 

アドバイス

 

ご質問の配当金は、配当所得としての確定申告は必要ありません。また、ご質問の20%の源泉徴収は、実際の源泉徴収税額そのものではありませんので、所得税額の計算をする上で税制上控除はできません。

 

 

信用取引で配当金は

受け取れるものなのですか?

 

まず、信用取引とは、証券会社から信用の供与を受けて行なう株式の売買のことなので、たとえ信用取引によって株式を買い付けても、現引きしない限り、その株式を実際に取得するわけではありません。

 

ですから、信用取引によって株式を買い付けても、配当金を受け取ることはできません。

 

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では、私が受け取った配当金は

どのようなものなのですか?

 

証券会社は、買い付けた株式に配当が付与され、買付価額が受け取ることのできない配当含みであった場合には、これを調整するために、買い付けた人に配当落調整金を支払うこととしています。

 

また、反対に、信用取引により、売り付けた株式に配当が付与された場合には、売り付けた人から配当落調整金を徴収することとしています。

 

よって、ご質問の配当金は、信用取引によって買い付けた株式について支払いを受けた配当落調整金だと思われます。

 

 

配当落調整金は

どのように取り扱うのですか?

 

配当落調整金は、その性質に照らして、これを独立の収入や経費としてではなく、次のように取り扱うことになっています。

 

■買い付けた人が受け取った場合
・買い付けた株式の取得価額から、その金額を控除します。

 

■売り付けた人が支払った場合
・売り付けた株式の譲渡の収入金額から、その金額を控除します。

 

 

私の場合はどうなりますか?

 

ご質問の配当金は、配当所得として確定申告する必要はありません。買い付けた株式の取得価額から、税制上は証券会社から支払いを受けた金額※を控除することになります。

 

また、20%の源泉徴収税額は、配当落調整金の計算明細にすぎず、実際の源泉徴収税額ではありませんので、所得税の計算上控除することはできません。

 

※配当金−源泉徴収相当額−証券金融手数料等

 

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配当落調整金に関する改定で

これはどういう意味なのでしょうか?

「一般信用取引(日計り信用取引については売建玉のみ)における権利確定日を跨ぐ建玉の配当落調整金に係る料率を、従来の「84.685%」から「100%」徴収へ変更いたします。」

 

株式を信用取引で買うことを信用取引と言いますが、この場合には実は配当金を受け取ることができません。これは、信用買いした株というのは、実際には証券会社が管理しているからです。

 

ただ、配当金を支払わないというわけにもいきませんから、証券会社としては配当落調整金との名目で配当金の84.685%の金額を支払うことにしているのです。ちなみに、100%でなく84.685%なのは、所得税分を天引きしているからです。

 

一方、空売り(信用売り)の場合は、逆に配当落調整金が徴収されます。証券会社は信用買いした人の株を信用売りした人に貸しているわけで、株式自体は第三者に渡っているからです。

 

つまり、証券会社には配当金は入りませんので、信用売りした人に配当落調整金を支払ってもらうのです。わかりやすく言うと、信用買いした人にその徴収した配当落調整金を回しているということになります。

 

ご質問の場合は、その徴収する金額について、従来は84.685%だったものがこれからは100%になるということです。なお、配当調整金は、株式の譲渡所得の計算上株取引のマイナスと相殺されますので、特定口座の場合は、自動的に計算されることいなります。

 

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