事例で検討
店舗用住宅を新築したのですが、居住用部分の床面積が93%なので、100%を居住用として住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用を受けています。
7%は事業用に使っているので、事業所得の計算上は、建物の減価償却費8を必要経費に算入したいのですが…。
アドバイス
事業用に使用した部分が明らかに区分できる場合には、減価償却費を必要経費にできると思われます。
住宅ローン控除は、居住用部分以外にも
適用を受けられるのですか?
店舗併用住宅のように、居住用以外の部分がある場合の住宅ローン控除額は、その年の12月31日時点の住宅借入金等の金額×建物の床面積に占める居住用部分の割合をもとに計算します。
けれども、居住用部分が90%以上の場合は、あん分計算しなくても、床面積全体を基に住宅ローン控除額の計算ができることになっています。
ご質問の場合ですと、居住用の床面積がおよそ90%以上ですので、建物全体を住宅ローン控除の対象にできることになります。
住宅ローン控除の適用を受けた場合、
減価償却費などの業務上の費用は
必要経費にできなくなってしまうのですか?
いいえ、そんなことはありません。
確かに、事業所得の計算では、店舗併用住宅の減価償却費のように、業務上の費用と家屋上の費用が一体になっているものについては、業務をしていく上で直接必要なことが明らかな部分についてだけしか必要経費にできません。
しかし、必要経費になる家事関連費については、住宅ローン控除の適用の有無は問わないことになっています。ですから、業務上必要であることが明らかな部分については必要経費にできることになります。
経費は決算整理で事業主貸へ
90%振り替えなければいけないの?
店舗併用住宅の事業所得の計算においては、事業用の費用と家屋用の費用が一体になっているものについては、業務をしていく上で直接必要であることが明確な部分についてのみ必要経費にできることになっています。
ただ、必要経費になる家事関連費というのは、住宅ローン控除の適用の有無は問わないことにもなっているのです。
つまり、業務をしていく上で必要であることが明確な部分については、必要経費にしてもよいということがいえます(減価償却費も同様)。
ちなみに、事業用部分が10%以下でない場合には、住宅ローン控除の100%適用は受けられません。
もし、後々、店舗併用住宅において事業使用割合が増えた場合には、その分は必要経費になりますが、住宅ローン控除の割合も変わり、控除額は減額されることになります。