遺族年金は非課税!受給要件と在職老齢年金の調整!中高齢寡婦加算と経過的加算!

 

 

遺族年金は非課税!

受給要件在職老齢年金の調整!

中高齢寡婦加算経過的加算

 

 

遺族年金は老齢年金を1円ももらわずに死んでしまったケースでも、必ずしも損とならないよう配慮された仕組みになっています。というのは、一定の条件を備えた家族に年金受給権が発生することになるからです。

 

この場合の遺族とは、具体的には配偶者で多くの場合で妻となります。法律上は他の遺族でも条件を満たせば受給できる可能性はあります。ですが、まずは妻です。それ以外に期間限定でそれ以外というケースもあります。

 

遺族年金は老齢年金を1円ももらわなかった人の遺族のみならず、十分もらった人の遺族にも支給されます。これは民間の生命保険の死亡保障と似ていますよね。ですが、これとは全く異なる点もあるのです。

 

 

遺族年金と生命保険との違いは?

 

それは、遺族年金には税金がかからない、非課税ということです。つまり、生命保険でもそれなりに税の優遇措置はありますが、遺族年金の場合はまったく税金がかからないのです。

 

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また、遺族年金は物価や賃金にスライドするという点でも異なります。現在はマクロ経済スライドやその改正法、あるいは政府の財政政策によって年金支給額はアップしない状況にあります。

 

ですが、仮に物価が1年で何割もアップする事態になれば、多少のブレーキはかかりつつも、遺族年金の支給額は物価の変動に対応できるようになっているのです。

 

これに対して、生命保険の死亡保障の場合には、たとえ多額の保険金を受けたとしても、大きく目減りすることになります。

 

ちなみに、一般的には妻は夫より年下で、女性の平均寿命は男性よりも長いですから、仮に妻が30代で未亡人になった場合には、遺族年金の生涯の受給総額が6000万円を超えることも珍しくないと言われています。

 

 

遺族年金が受給できるのは妻だけ?

 

遺族年金だけでなく、公的年金というものは、そもそも女性向けに設計されていることは知っておいて下さい。例えば、最近は男性の専業主夫が増えてきましたが、それでも国民年金第3号被保険者となれるのはまず女性です。

 

また年金で使われる用語に「寡婦」というものが、これは未亡人の意味です。つまり、この寡婦が入っている給付はそもそも男性を対象にしていないのです。

 

 

遺族基礎年金ももらえるのは妻だけ?

 

最近まで遺族基礎年金は、法的に「子のある女性・あるいはレアケースで子ども」だけしか支給対象になっていませんでした。

 

ですが、 妻に先立たれた夫の要望によって、ようやく平成26年4月以降に妻が死んだ場合の夫にも遺族基礎年金が支給されるようになったのです。

 

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ちなみに、60歳代前半の年金支給開始年齢繰り下げスケジュールについては、今なお厚生年金は、女性が男性より5年間分有利になっています。ただし、共済の場合は男女差はありません。

 

また、生涯の年金受給期間も女性の方が長いです。これは平均寿命の影響もありますね。

 

それから、注意点が1つ。子供のいない30歳未満の妻に支給される遺族厚生年金の支給期間は、平成19年4月以降は5年間の限定支給になっていますのでこの点には注意が必要です。

 

なぜこのような法改正が行われたのかというと、20代の子供のいない女性ならまだやり直しがきくからということのようです。

 

 

遺族基礎年金の受給要件とは?

 

続いて、遺族基礎年金の受給要件についてのお話です。遺族基礎年金の支給要件は以下のようになっています。

 

■亡くなった人の配偶者であって、子と生計を同一にしている人
■亡くなった人の子

 

前述のとおり、平成26年4月からは配偶者に夫が加えられています。公的年金が女性重視であるのは言うまでもありませんが、遺族基礎年金の支給要件を見ても、主たる救済の対象になっているのは子どものいる妻ということがわかりますよね。

 

要するに、遺族基礎年金というのは、母子家庭または父子家庭の養育費ということなのです。

 

それから、上記の支給要件の「子」とは、18歳到達年度の末日までの者、または20歳未満で1級・2級の障害者のことです。

 

つまり、いつまでもずっと支給され続けるというわけではないという点には注意が必要です。子どもが働く年齢になれば、支給は打ち切りになるのですから。ちなみに、障害者の場合は、20歳を超えると本人を対象にした年金給付が始まります。

 

これに対して遺族厚生年金は、子供の有無や年齢に関係なく継続して支給されます。つまり、亡くなった方がサラリーマンの場合でしたら、支給要件さえ満たせば、遺族基礎年金、遺族厚生年金、それぞれ両方が支給されることになります。

 

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在職老齢年金の調整はどうなる?

 

在職老齢年金は老齢厚生年金と給料の調整なので、かつては在職老齢年金と遺族厚生年金とは関係ありませんでした。

 

つまり、以前でしたら、65歳以上で被保険者というケースでは、遺族厚生年金を受給している場合であっても、老齢厚生年金を受給している人が遺族厚生年金を受給するようになった場合であっても、自身の老齢基礎年金と遺族厚生年金を選択すれば、在職老齢年金制度による支給調整にひっかかることはなかったのです。

 

しかしながら、平成19年4月に法改正があって、この遺族厚生年金の受給方法が変わりました。

 

具体的には、まず自分自身の老齢厚生年金を受給して、それ以前に支給されていた遺族厚生年金との差額部分は法改正後の遺族厚生年金として支給されるようになりました。

 

それにより自分自身の老齢厚生年金は法定どおり在職老齢年金制度の調整を受けることになったのです。つまり、このケースに該当する人の年金受給額は減ることになったのです。

 

以前でしたら、遺族年金を受給している人が65歳を超えて被保険者として働いているというケースはそれほど多くありませんでした。

 

ですが今後は平均寿命の伸びもあり、それと並行して職歴も長くなると予測できますから、このようなケースに該当する人も増えてくると考えれれます。

 

 

遺族年金がもらえなくなることはあるの?

 

公的年金がもらえなくなる、失権(権利を失う)することはあります。

 

一般的に年金といえば老齢年金のことを差しますが、この老齢年金は基本的には死ぬまで一生もらえます。このように年金といえば、一旦もらい始めたらずっと継続してもらえると思われる方がほとんどだと思います。

 

ですが、例えば障害年金の場合には、決められた障害の状態でなくなれば、年金は支給されなくなります。また、遺族年金も失権しやすいです。

 

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なぜかというと・・・

 

遺族基礎年金は、妻が受給しているときに子供が大きくなればもらえなくなるからです。また遺族厚生年金であっても、年金をもらっている妻が死亡したり、再婚(結婚)したり、直系血族・直系姻族以外の養子となった場合には失権してしまうからです。

 

ちなみに、この再婚(結婚)には内縁関係も含みます。要するに、遺族年金というのは、受給権者である妻に生活していけるメドがつけば、もらえなくなるという仕組みになっているのです。

 

なお、妻が結婚前の旧姓に戻しただけで失権することはありません。引き続き、遺族厚生年金を受給することができます。

 

 

中高齢寡婦加算と経過的加算とは?

 

遺族基礎年金は、子供が高校を卒業するまで、または20歳までといった具合に期間を限定して支給されます。ただし、子供が大きくなって遺族基礎年金の支給が終了したとしても、妻に対する保障は続きます。

 

これが中高齢寡婦加算です。読み方は“ちゅうこうれいかふかさん”です。この中高齢寡婦加算は、もともと子供がいなかったケースでも支給されます。

 

具体的には、一定の条件を満たす夫が亡くなった場合、40歳以上で子供のいない妻、または夫の死亡後40歳に達した当時、そのときには子供がいたけれども、子供が大きくなってしまった妻、が受ける遺族厚生年金には、65歳になるまでの間、中高齢寡婦加算が支給されます。

 

ちなみに、平成29年度の支給額は、年額584,500円、月額48,708円でした。

 

 

中高齢寡婦加算は女性だけ?

 

そもそも「寡婦」は未亡人を意味します。なので、男性は対象外となります。また、遺族基礎年金は男性にも支給されるようになりましたが、中高齢寡婦加算は除外されています。

 

それから、妻の場合は65歳になってからも、昭和61年3月以前に国民年金に任意加入していなかった場合も、特別な加算があります。これが経過的加算と呼ばれる制度です。

 

なお、この経過的加算は、昭和61年4月1日以降60歳になるまで国民年金に加入した妻の老齢基礎年金と合わせて、中高齢寡婦加算と同じ年額の584,500円となるように生年月日に応じて支給額が決められています。

 

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