1年分の国民健康保険料を前納したのですが、全額を社会保険料控除にできますか?

 

事例で検討

 

 

年の途中で1年分の国民健康保険料を前納しました。この場合、支払った保険料は、全額本年の社会保険料控除にしてよいのでしょうか?

 

アドバイス

 

ご質問の場合は、支払った国民健康保険料の期間が1年以内になりますので、全額支払った年の社会保険料として控除できます。

 

 

社会保険料控除の対象になる

「支払った金額」とは?

 

その年の所得から控除することができる社会保険料の「支払った金額」というのは、その年中に支払ったすべてのものを指すとは限らないので注意してくださいね。

 

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ですから、これは、医療費の場合の「その年中に支払った医療費の金額」などとは、少し違うのです。また、納付期限が到来しているものでも、実際に支払っていない社会保険料は、含まれません。

 

 

前納した社会保険料はどうなるの

 

前納した社会保険料については、次の計算式で出した金額が、その年の支払った金額になります。

 

前納した社会保険料の総額※ × 前納した社会保険料に係るその年中に到来する納付期日の回数 ÷ 前納した社会保険料に係る納付期日の総回数

 

※前納(前払い、先払い)によって、国民健康保険料前納割引された場合には、その割引後の金額にしてください。

 

ただし、前納の期間が1年以内の場合には、その前納した社会保険料の全額を、その年の社会保険料控除の対象にしてもよいことになっていますので、ご質問のような場合は全額控除して差し支えありません。

 

仮に、未納だった前年度分の国民健康保険料を

本年に支払った場合はどうなると思いますか?

 

この場合は、本年分の社会保険料控除の対象になります。

 

 

国民健康保険の社会保険料控除は

家族で分けることはできるの?

 

国民健康保険の請求が両親と自分の分とまとめて送られてきた場合、それぞれ各人で社会保険料控除を使うことができるのでしょうか?

 

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国民健康保険というのは、世帯主宛に請求されます。ですから、家族のそれぞれが区分して社会保険料控除を受けることはできません。

 

また、世帯主の通帳から銀行引き落としとなっている場合も、世帯主以外が社会保険料控除を受けることはできないことになっています。

 

ただし、実際に世帯主以外の家族が支払いをしている場合には、現金で納付している場合に限って、その本人が社会保険料控除を受けることができます。

 

 

国民健康保険の社会保険料控除を

受けられるのは誰か?

 

国民健康保険料は世帯主の父の名前で請求がきているけれど、世帯主以外の家族がそれを支払っている場合、社会保険料控除の対象になるのでしょうか?

 

この場合、社会保険料控除の対象になります。世帯主などが生計を一つにする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合、所得控除を受けることができます。その場合、支払いは口座振替よりも納付書による現金納付の方がよいです。

 

 

国民健康保険料には

時効があるの?

 

あなたが普段納めている税金や国民健康保険料には、時効があるというのはご存知でしょうか?

 

所得税、法人税、固定資産税など各種税金の時効は5年です。国民健康保険料は、国民健康保険税なのか、国民健康保険料なのかにより時効の年数が変わってきます。

 

国民健康保険税というのは、市町村が国民健康保険に要する費用に充てるために被保険者の属する世帯の世帯主に対して課する税金のことです。

 

一方、国民健康保険料というのは、市町村が地方税法の規定によらずに国民健康保険を徴収する場合や、国民健康組合が保険料を徴収する場合のことを言います。国民健康保険税の時効は5年ですが、国民健康保険料の時効は2年です。

 

要するに、税金は5年、国民健康保険料は2年ということですね。

 

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ということは、滞納していれば時効になるので得するのでは?と思ったかもしれません。でもそれは間違いです。時効には中断という概念があって、督促状が送られてきた時点で中断されるからです。つまり、時効は中断時点から5年あるいは2年になるということなのです。

 

ですから、例外的なケースを除いては、時効を期待するようなことは考えない方がよいです。ちなみに、個人にかかる税金というのは、たとえ自己破産しても債務放棄はできませんので、必ず納付するようにしてくださいね。

 

(参考)会社を辞めた後の国民健康保険と任意継続の保険料と手続き

 

 

個人事業主の国民健康保険料は

高すぎです!

 

個人事業と法人の場合では、加入する社会保険の制度が異なります。

 

法人の場合は、いわゆる協会けんぽ(全国健康保険協会)の厚生年金ですが、個人事業の場合は、国民健康保険であり国民年金だからです。個人事業主にとって社会保険がどれぐらいの負担になるのかというのは、非常に重要なポイントになります。

 

まずどのくらいの保険料になるかというと、当然のことながら、所得が増えれば増えるほど保険料も増えていきます。この計算方法自体はかなり複雑なのでここでは省略しますが、例えば、私の市では年間の限度額が85万円です。

 

では、どれぐらいの所得があるとその限度額の85万円に達するのでしょうか?

 

例えば、家族4人、夫婦2人に子供が2人で、夫の年齢が40歳を超えていて個人事業をやっているケース。この場合、個人事業の所得が年間600万円になると、国民健康保険料の限度額85万円に達してしまいます。これはかなりの負担ですよね。

 

しかもそれに加えて、1人当たり15,590円の国民年金も払う必要がありますから。

 

夫婦2人ですと年間374,160円(15,590円×2人×12か月)にもなってしまいます。そうしますと、国民健康保険料と国民年金の負担を合計すると1,224,000円にもなるのです。これは1か月に約10万円です。個人事業主にとっては、大変な負担といえますね。

 

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