事例検討
夫は、本年3月末にA会社を退職したのですが、8月に亡くなりました。その後A会社から、本年9月に退職金の改訂を行ったということで、改訂差額が送金されました。
この改訂差額に関しては源泉徴収がされていないのですが、税金はどうしたらよいのでしょうか?
アドバイス
死亡後に支給期が到来する退職金は、所得税は非課税になり、相続税が課税されることになります。
退職金の改訂差額とは、
どのようなものですか?
これは、退職給与規程の改訂が、既往にさかのぼって実施される場合に支給されるもので、新旧退職手当等の差額に相当する退職手当等のことです。
その改訂差額は、
どのように課税されるのですか?
通常の場合、改訂差額は、「一の勤務先を退職することにより二以上の退職手当等の支払を受ける権利を有することとなる場合」に該当しますので、改訂差額分も最初に支払を受けるべきものと同じ年の退職所得として課税されることになります。
改訂差額の支給日は
どうなるのですか?
退職金の改訂差額の支給期については、支給日が定められているものについてはその支給日になります。また、支給日が定められていない場合には、その改訂の効力が生じた日とされています。
これは、改訂差額の支給期が、その人の亡くなった後であった場合には、累積課税しないようにするためです。
私の場合は
どうなるのですか?
ご質問の場合は、ご主人が亡くなった後に改訂差額の支給期が到来しますので、死亡後に支給期が到来する退職金ということになります。
ですから、この場合は、相続税の課税価格の計算に算入されますので、所得税はかかりません。もちろん、所得税の源泉徴収もされないということになります。
よって、ご質問の場合の退職金の改訂差額は、相続税の課税価格の計算に算入されますので、所得税はかかりません。