共有の不動産の相続登記|相続人が行方不明の場合は?

 

 

共有不動産相続登記

相続人行方不明の場合は?

 

 

今回は、不動産の共有はやめた方がよいというお話です。

 

最近の法務局はとても親切です。例えば、相続登記を専門家に頼まなくても自分でしたいという人が訪れたときにも非常に親切に対応してくれます。

 

なので、簡単な相続登記であれば、自分で申請書の書き方を聞いて、どのような流れなのかを聞けば、登記を申請することはできるようになっています。ただこのときに、やってはいけない間違いをすることがあります。今回はその話をしていきます。

 

 

どのような間違い?

 

不動産を共有状態にしていることです。例えばお父さんが亡くなって、お母さんと長男次男が相続人だったようなケースです。この場合の法定相続分というのは、お母さんが1/2、お子さんたちが1/2を1/2ずつで分け合いますので1/4ずつということになります。

 

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ここでよくある勘違いとして、遺産というのはその割合で分けなければいけないと思っている人が非常に多いことがあります。ですから、法務局に相談に行ったときにも、そういう割合で登記したいという相談になってきます。

 

法務局は、当然それでそういう割合で登記するための手続きを教えてくれますので、そのまま登記が進んでいきます。そして登記が完了して、司法書士さんに頼まないで報酬が節約できたと喜んでいるわけです。

 

ですが、後から共有状態にしているとその問題点が徐々に明らかになってきます。

 

 

不動産の共有状態の問題点とは?

 

例えば、長男がその後母親と一緒に住むことになって、次男は遠くに家を買って住んでいるというケースです。そのようなケースで長男が二世帯住宅を建てたいという話が出たとします。

 

二世帯住宅を建てるに当たり銀行に相談に行ったら、「次男の方の名義がありますのでこれを何とかして下さい」と言われてしまいます。そこで次男に相談したら「それはオレの権利でしょ」ということになってしまいます。

 

そうすると、次男の持分をお金を支払って買い取る、あるいは贈与税を支払って贈与を受けるということになるわけです。

 

あるいは、例えば次男が「お金が欲しい、自分の持分を売りたい」というような場合、全体を売却してお金を分けたいということを言い出したときにも、長男からすると「だってオレはまだ住んでいるじゃないか」という話になってしまいます。

 

このように、足並みが揃わなくなってしまうわけです。ちなみに、相続登記をやり直すということは基本的にはできません。全員がまとめて売却をするという出口戦略が取れない限りは、共有状態というのはいつか解消しなければならないときが必ず来ます。

 

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そのときに、足並みが揃わない、あるいは費用も非常にかかる、手間も非常にかかる、もしくはもう1つ、次男が続けて亡くなって、その名義が次男の奥さん、お子さんと共有者が増えているということもあります。

 

そうなるともうグチャグチャです。共有状態というのはこうした問題があるのです。

 

 

不動産の共有状態の解決方法は?

 

ですからこの場合は、一旦お母さんが相続をして、お母さんの名義にして、お母さんが亡くなるときまでにどういう風にするのかという解決について先送りにするというのが1つの方法です。

 

あるいは、預貯金があるのであれば、預貯金を次男に渡して自宅を長男がもらうというような分け方をするという方法もあります。

 

預貯金などは全然なくて家しかないという場合で次男が納得しないのであれば、これは全体を売却してお金を分けるということも検討しなければならないと思います。

 

 

相続人が行方不明の場合の相続登記は?

 

続いて、相続人が行方不明の場合のお話です。

 

相続が開始して相続人が何人かいる、そのうちの1人がもう何年も行方不明になっている、あるいは若い頃に外国に行ったきり誰も会っていない、行き来がない年賀状も来ない、正月にも帰ってこない、そういった方がいるケースがあります。

 

そういったときに、その相続人を除外して、とりあえずこの人はいいから残りの人たちで遺産分割協議をしたいとおっしゃる方もいます。ですが、それはダメです。

 

なぜなら、遺産分割協議というのは相続人全員で遺産分割協議をしなければいけないからです。なので、一部の人を除外して遺産分割協議をするということはできません。

 

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ではどうしたらいいの?

 

これはいくつかの方法があります。まず1つ目は、戸籍や住民票を追いかけていって現住所を突きとめるということです。

 

そして現住所がわかったらそこに手紙を出してみる、あるいは訪ねてみる、それで会えたら手続きに入ってもらって進んでいくということもあると思います。

 

一方で、住民票の登録もない、あるいは昔登録した住民票があるけれど、もうそこには帰ってきてなさそうだ、そういう場合は、不在者の財産管理人という人を家庭裁判所に選任してもらいます。

 

そうすると、その不在者の財産管理人が不在者、行方不明の相続人ですね、その人に代わって遺産分割協議に参加したり、もらった財産を管理していったりということになってきます。

 

当然帰ってくる可能性がありますから、法定相続分に相当する部分の財産を確保するというような遺産分割協議の方法になってくると思います。

 

 

生きているか死んでいるかわからないケースは?

 

もう行方不明の状態が生きているのか死んでいるのかわからないというような場合、そういう状態が一定期間続いているようなケースの場合は、失踪宣告といって、もうその人が法律上は死んでしまったものとして扱うという手続きがあります。

 

そうすると、その人はもう法律上亡くなったことになりますので、代襲相続人がいればその代襲相続人が遺産分割協議に参加していくことになります。また代襲相続人がいなければ、その人を除外して遺産分割協議を進めるということができることになってきます。

 

このように方法はあるのですが、どれも手間も時間も費用もかかります。ただ遺言書があれば、遺言さえあれば、手続きなく遺言のとおりに財産を分割させることができます。

 

なので、相続人の中に行方不明の人がいるという方は、そういう手続きがあるから大丈夫と思わずに、遺言書を用意するということをおすすめしたいです。

 

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