相続登記を放置した場合のデメリット|相続人が海外在住の場合は?

 

 

相続登記放置した場合のデメリット

相続人が海外在住の場合は?

 

 

相続手続きが完了した後、土地や建物の名義変更を行います。これを「相続登記」と言います。

 

相続登記は、いつまでにやらなければいけないという期限は決められていませんが、できるだけ早めにやってしまうことをおすすめします。というのは、相続登記を放置することで発生するデメリットはたくさんあるからです。

 

 

相続登記を放置した場合のデメリットとは?

 

相続登記を放置することで発生するデメリットはたくさんありますが、ここでは代表的なもの3つを紹介します。

 

1つ目は、不動産の売却や担保にできないということです。不動産を相続したとしても、相続登記を完了していないと、自分が不動産を相続していたと認めてもらえません。

 

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2つ目は、他の相続人に不動産を処分される可能性があるということです。たとえ不動産をひとりで相続したとしても、登記がなされていなかったら、他の相続人にも法定相続分の持分が認められることとなります。

 

なので、勝手に登記をしてしまって、自分の持分を売却してしまうこともあり得るわけです。つまり、登記していなかったために、最悪の場合、その不動産から追い出されてしまうということもあり得るのです。

 

3つ目は、後に相続登記ができなくなる可能性があるということです。

 

相続登記を放置している間に、相続人が死亡するといったことが続いていくと、相続人の数がどんどん増えていくことになります。相続人の数が増えていくと、面識のない人とも話し合いを進めなくてはなりません。

 

そのため話がまとまりにくくなり、人数が増えても全員と連絡がつけばいいのですが、遺産分割協議を行うために、全員から実印を集めることは不可能に近いと言えます。結果としてその不動産は、何人もの共有財産のまま永久に放置されることとなるのです。

 

ちなみに、通常でしたら、相続登記の司法書士報酬は数万円ですむところ、相続人が多いことから数十万円という金額になってしまうケースもよくあります。

 

このように、登記をしないことで発生するデメリットはどれも簡単に解決できるものではありません。不動産に限ったことではありませんが、相続財産を有効活用するためにも、早めに名義変更しておくことをおすすめします。

 

 

相続人が海外在住の場合の相続登記は?

 

続いて、相続人が海外在住の場合の事例を紹介します。今回は相続人が3人、長男、長女、次女がいました。この3人の中で特徴的だったのが長男が海外に住んでいるということでした。

 

海外在住といっても色々なケースがあるのですが、たまたま海外にいるだけで特に住所を移したわけではなくて住民票は日本にありますというケース。それから住所の登録自体が海外にあるケースです。

 

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今回はこちらのケースです。住所の登録が海外にあるということは、逆に言えば日本に住所がないということです。このように仕事の都合で海外に行って、そちらに住所の登録があって、日本には住民票がないという人も最近は多いですよね。

 

 

こうした場合にどのようなことが問題になるのかというと・・・

 

前述のとおり、今回は長男、長女、次女がいて、お母さんはすでに亡くなっていてお父さんが亡くなったというケースです。

 

まず、お父さんが持っていた不動産を相続登記しようということになったのですが、この場合、3人相続人がいるので3人で誰が相続をするのか話し合いをする必要があります。

 

ちなみに、この話し合いのことを遺産分割協議といいます。遺産をどのように分割するのかについての協議、話し合いということですね。

 

そして、この遺産分割協議をした結果、今回は長女が全て財産を相続するということになりました。口頭ではもう長女が相続するということが決まっていたようなのですが、今回改めて登記をするにあたり遺産分割協議を紙にまとめようということになりました。

 

これが遺産分割協議書ですね。遺産分割協議書を作成してということになったわけです。

 

この遺産分割協議書を作成して相続登記を申請するに当たり必要な書類として、やはりこの不動産のような大事な財産を登記するという場合には、この長男、長女、次女の3人がきちんと自分自身で話し合いに参加した、間違いないということを証明するために印鑑証明書を提出する必要があります。

 

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印鑑証明書はどこで取るの?

 

この印鑑証明書はどこに行って取るのかというと、お住まいの住民票がある住民登録がされている市区町村です。

 

このケースでは、長男は海外に住所登録がありますので日本には住民票はありません。こうした住民票がない場合には、この印鑑証明書を出してくれる役所がありませんので、長男については日本の印鑑証明書が取れないということになります。

 

ただ、そうであったとしても手続きは進めなければいけませんから、この場合には海外の在外公館、例えば領事館などでサイン証明、署名証明というものを取ってもらいます。

 

つまり、「このサインをした人は確かにこの人で間違いありませんよ」ということを領事館のようなところに印鑑証明書の代わりに取ってもらうことになります。

 

このサイン証明があれば印鑑証明書と同じような形でこの長男が関与したということがわかるので相続登記に使える書類となります。

 

ただし、在外公館は市役所のようにすぐに行ける場所にはないことが多いです。その国の中でも本当に数の限られたところにしかないので、取りに行くのに1日がかりになるということもよくあります。

 

なので、もしも印鑑証明書の代わりにサイン証明(署名証明)が必要だということがわかったら、まずは海外にお住まいの方に連絡をして下さい。「サイン証明(署名証明)が必要なんだよ」と。

 

というのは、国によって手続きが微妙に違ったりするからです。

 

なので、まずはこの長男が近くの在外公館、領事館などに電話をして「今回こういうことで遺産分割協議書にサイン証明(署名証明)がいるのだけれどどのようにすればいいのでしょうか?」ということを事前に打ち合わせをして、そして日程を合わせて在外公館に取りに行くようにします。

 

今回は長男にサイン証明(署名証明)を取ってもらい、長女と次女に印鑑証明書を取ってもらい、書類が整ったので遺産分割協議が整ったとして長女に不動産の相続登記をすることができました。

 

このように、海外に在住していて住民票が日本にはないという人については、書類を取得するのが若干大変になりますので、できるだけ余裕をもって準備をして手続きを進めることをおすすめします。

 

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