相続放棄の手続き期間と流れ|家庭裁判所への書類は?

 

 

相続放棄手続き期間と流れ!

家庭裁判所への書類は?

 

 

今回は相続放棄の手続きについてのお話です。以前、相続というのは、ある人が亡くなったらその瞬間に当然にその人の持っていた権利義務が包括的に引き継ぎをされる制度だということを説明しました。

 

そのように包括的に当然に引き継ぎがされるということになると、財産がたくさんあるときにはそれでいいのですが、財産よりも借金がたくさんある、あるいはもう借金しかないというケースのときにも相続ということが当然に起きてしまって、この場合は借金の引き継ぎになってしまいます。

 

そこで、そういった場合に、相続したくないという人のためにこの相続放棄という制度があります。

 

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相続放棄の手続き期間と流れを事例で検討!

 

例えば、お父さんがいて長男がいて次男がいる、そういう家族がいるとします。このときにお父さんが亡くなりました。お父さんには特に財産はなくて借金が5億円あるという場合です。

 

こういった場合、何もしなければ長男と次男がこの借金5億円を引き継いでしまう、お父さんの借金を背負ってしまうことになります。

 

ただこれではたまりませんから、長男と次男は相続放棄という手続きをすることになります。この相続放棄は家庭裁判所に必要書類を出して行う手続きになります。

 

 

相続放棄の重要ポイントは?

 

相続放棄に関して重要なポイントは3つあります。

 

まず1つ目は、この相続放棄の手続きをするには期間の制限があるということです。これは民法の915条というところに書いてあります。先ほどの事例で説明すると、まず亡くなった人を被相続人といいます。また長男と次男のことを相続人といいます。

 

民法915条には何と書いてあるのかというと・・・

 

「相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に相続の放棄をしなければならない。」こういうことが書いてあります。ここで問題は、まず3ヶ月以内にしなければならないということが書いてあることです。

 

では、どこから3ヶ月なんだというと、「自己のために相続の開始があったことを知った時から」、つまり先ほどの事例で言うと、お父さんが亡くなったことを知った時から3ヶ月以内に相続の放棄をしなければダメだということになります。

 

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そうすると、例えば次男はお父さんと長年音信不通であったりして、お父さんに借金があることを知りませんでしたというような場合です。このような場合にどうなるかというところがあります。

 

こうしたケースの場合、次にような最高裁の判例があります。

 

「被相続人(お父さん)に相続財産が全く存在しないと信じるにつき相当な理由があると認められるときには、本条の熟慮期間(3ヶ月のことです)は、相続財産の全部または一部の存在を認識した時、または通常これを認識しうべき時から起算する。」

 

わかりやすくいうと、お父さんに借金があることを知った時から3ヶ月以内に相続放棄をしなければいけないということになります。

 

ということで、相続放棄という制度には期間の制限があって、それは3ヶ月だということをしっかり押さえておいてください。

 

 

相続放棄の重要ポイント2つ目は?

 

それから次に相続放棄ができなくなる場合があります。これを「法定単純承認」といいます。少し難しい言い方ですけれども、法定単純承認とは例えばどのような場合かというと・・・

 

相続人、例えば先ほどの事例でしたら、次男が相続財産の全部または一部を処分した時、この場合には相続放棄ができないということになります。

 

例えば、お父さんに5億円の借金の他にちょっとした財産があった場合です。例えば100万円くらいの預金があったという場合です。このような場合に、お父さんが亡くなった後この100万円の預金を次男が引き出して使ってしまったというケースです。

 

この場合には、もうその後は相続放棄はできませんよということです。なので、この点には注意が必要です。この法定単純承認ということがありますので、一定の行為をした場合には、たとえ3ヶ月以内であっても後で相続放棄ができないことには注意してください。

 

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相続放棄の重要ポイント3つ目は?

 

最後にもう1つ、例えば先ほどの事例で、長男と次男が2人ともお父さんの借金なんか負いたくないからと相続放棄をしたとします。そうすると法律上は、相続放棄をした場合には、その者たちは初めから相続人でなかったものとみなされるということになるわけです。

 

なので、相続放棄をすると長男と次男は初めから相続人としていなかったという扱いになります。

 

そうすると、次の次順位の相続人、この事例で言うと子供が長男と次男しかいないという場合にこの2人が相続放棄をすると、次順位というのはお父さんのそのまたお父さんお母さんということになって、こうした人たちがいなければお父さんの兄弟姉妹ということになります。

 

仮にお父さんのその上がいないと、もう亡くなってしまっていていないということになると、この事例で言うと、長男と次男が相続放棄をしてしまうと、お父さんの兄弟姉妹が今度は相続人となります。要するに、何もしなければ5億円の借金が引き継ぎという形になります。

 

ですから、この場合には長男と次男が相続放棄をしたら、その後そのことを兄弟姉妹が知ってから3ヶ月以内に相続放棄をしなければいけないということになります。この点にも注意していただく必要があります。

 

相続放棄については色々と難しい問題もありますので、そういった問題については専門家である弁護士さんにご相談されることをおすすめします。

 

 

相続放棄の手続き期間と流れのまとめ!

 

相続放棄には、まず3ヶ月という期間(熟慮期間)の制限があります。この期間は延ばしたりすることも場合によっては可能ですが、一応3ヶ月の熟慮期間があります。

 

また法定単純承認、例えば預金の払い戻しを受けて使ってしまったような場合には、もう相続放棄はできないということがあります。

 

それから子供たちが相続放棄をした後は、今度は次の順位の相続人のところにいきますから、この人たちも相続放棄をする必要が出てきます。

 

以上の3つについて押さえておくとよいと思います。

 

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