遺留分減殺の順序|相続の遺留分の計算は?

 

 

遺留分減殺順序

相続の遺留分の計算は?

 

 

遺留分というのは、一部の相続人について最低限もらえるような相続分のことです。

 

例えば、父と母、子供2人で、父が亡くなってしまったというようなケースです。そのときに、「全財産を第三者に渡す」というような遺言を残していたら、妻や子供はなかなか生活が成り立たないようなこともありますよね。

 

そこで、最低限“遺留分”というものを請求することによって、第三者に渡った相続財産を取り返せるという権利・制度があるのです。

 

こうした遺留分の制度は、亡くなった人が生前贈与や遺言による遺贈などを複数していた場合に、遺留分を請求する側はどのように請求するのかという問題があります。

 

 

遺留分減殺の順序は?

 

遺留分を請求する側がどのように請求するのかということについては、法律によって順序が決められています。ですから、複数あるときはその順序に従って、遺留分の請求をしていくというルールになっています。

 

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まずそのルールの1つ目として、遺贈と贈与が混じっている場合、このようなときに遺留分減殺請求をするときは“遺贈から”ということが決められています。

 

つまり、生前に贈与をして、その後死亡によって遺贈の効力が出てきたというようなときに、この2つによって遺留分を侵害されているというような人に関しては、先に遺贈から請求をしていくということになります。

 

2つ目のルールは、この遺贈が複数あるようなときにはどのようにするのかということです。

 

これについては、価格の割合で決めることとされています。例えば、1つ目の遺贈が3,000万円を渡す、2つ目が5,000万円を渡すというような場合には、価格の割合に従って遺留分の請求をしていくことになります。

 

そして3つ目のルールです。この遺贈を取り消しただけでは遺留分の侵害が回復されない、足りないというときには、贈与のところに遡って遺留分の減殺請求をしていくことになります。

 

さらに4つ目のルールとして、その贈与が複数ある、何回も生前贈与をしているということによって遺留分が侵害されてしまっているというときには、死亡に近い贈与から順番にやっていくということになります。

 

つまり、1つ目の贈与があって、その何年後かに2つ目の贈与があって、そして死亡によって遺贈があったというようなときに、遺贈だけで足りない場合は、贈与に対して遺留分減殺請求をしていくことになります。

 

ただし、その場合には、死亡に近いほうの贈与から請求をしていくという流れになります。

 

ということで、遺留分減殺請求にはこのように順序がありますので、ここを間違えて請求しないように注意して下さい。

 

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相続の遺留分の計算は?

 

遺留分の計算方法というのは、相続税評価額がベースではありませんので、実際の遺留分の額の算定は難しいです。

 

相続財産が現金や預貯金のみで金額がはっきりしている場合は、相続財産の総額に遺留分の割合を掛け合わせるだけで遺留分の額は簡単に計算することができます。

 

しかしながら、相続財産の中には不動産なども含まれている場合が多いですから、そう簡単にはいきません。

 

また生前贈与が多いケースなども、遺留分の計算が非常に複雑なものになりがちです。この点について、最高裁判所は次のような遺留分の計算方法を提示しています。

 

「遺留分の侵害額は、被相続人が相続開始時に有していた財産の価額にその贈与した財産価額を加え、その中から債務の全額を控除して遺留分算定の基礎となる財産額を確定し、それに法定の遺留分割合を乗ずるなどして算定した遺留分の額から、遺留分権利者が相続によって得た財産の額を控除し、同人が負担すべき相続債務の額を加算して算定する。」

 

と書かれていますがわかりにくいですよね。なので、もう少しわかりやすく説明すると・・・

 

まず、被相続人が亡くなった時点で持っていた財産に生前贈与した財産を加えます。次に、相続人に借金があった場合には、そこから借金を差し引き遺留分を計算する相続財産の額を確定します。

 

そして、遺留分割合を掛け合わせた額を算出し、そこから、遺留分を請求する人が相続や生前贈与によって得た財産の額を差し引いて、遺留分を請求する人が相続によって引き継ぐことになる債務を加算して遺留分の額を計算します。

 

ということになりますが、その遺留分を計算する相続財産の額を確定するのはなかなか大変です。なぜなら、相続税の計算は財産評価基本通達に基づいた相続税評価額がベースとなるわけですが、遺留分の計算は時価が基本となるからです。

 

例えば、相続財産に不動産が含まれている場合、不動産の相続税評価額は、時価とはかなり異なっている場合が多いです。

 

そうすると、相続人の立場により見方が異なりますから、双方で不動産鑑定を取っても鑑定評価額が一致することもまずありません。つまり、相続財産の額を確定するだけでも容易なことではないのです。

 

それから、生前贈与がある場合には贈与額を加算すると書いてありますが、それが不動産だった場合については、いつの時点の価値で加算するのか、贈与や特別受益があった、なかった、寄与分がどうのこうのと、相続人間の言い分もなかなか一致しません。

 

そうすると、実際の遺留分の額の算定は非常に難しくなります。

 

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