遺留分減殺請求の注意事項|遺留分の譲渡は詐害行為の対象?

 

 

遺留分の譲渡は詐害行為の対象?

遺留分減殺請求の注意事項は?

 

 

今回は、遺留分減殺請求をする場合の注意事項についてのお話です。遺留分減殺請求というのは、“争続”になるケースが非常に多いです。

 

色々なご相談をいただく中で、「遺言書が見つかったんだけど、その遺言書に書かれた内容は、自分が意図しない分割方法だった」とか、そういったことがあって遺留分減殺請求がされることが多いです。

 

このようなときにお話しているのは、まず「今後家族の縁がこれを機会に一生途切れる可能性が高いですよ、それでもやりますか?」ということです。こうしたお話をしてから、そういった相談を弁護士に依頼したりするケースもあります。

 

 

遺留分減殺請求が争いの原因になる?

 

当然、遺留分減殺請求を出すからには、出す方も真剣なのですが、それが元で家族が絶縁状態になるということもあります。なので、そういったことをまず確認してからやるようにしています。

 

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というのは、例えば遺言書があったということは、基本的には亡くなった被相続人は法定相続分で分けるというのではなくて、別の方法で分けるという意思を残されたわけです。ですから、まずはその意思を尊重してあげるというのが一番なのです。

 

一方で遺留分減殺請求というのは、その意思に反した行為になる可能性があるわけです。ですから、その辺りについては、専門家などに相談しながら安易にしないということも考えたほうがよいと思います。

 

もし仮に話し合いを持ってもらうために請求をする、こちらも真剣に考えているのだということで請求する場合もありますが、その場合には非常に気を付けた対応をする必要があります。

 

 

遺留分減殺請求をしてもトラブルにならないケースとは?

 

例えば一例ですが、遺留分減殺請求をしたのに、その後も家族仲良く続いているケースがあります。

 

この場合に何があったのかというと、やはり遺留分減殺請求をする前にきっちり相続人同士で話しをして、「ちょっと真剣に考えて欲しいので請求という行為だけをさせてもらいます」ということを告げて、しっかりと手紙を出したうえで遺留分減殺請求をしたという人がいました。

 

この場合には、きっちりと事前にもめたくないということを相手に伝えて、「仮に請求の内容が通らない場合には取り下げるということもあります」というような話も、ある程度譲歩する姿勢も見せながら請求をしています。

 

そして、もし請求が最終的に通った場合には、そのことについて実際に話し合いを再度設けたり、手紙を出したり、そういった細かい配慮がないと、この遺留分減殺請求を機に家族が絶縁状態になるということがあります。

 

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なので、請求する側からすると“権利だから”という気持ちもあるかと思いますが、これは非常に大事になる可能性もあるので注意が必要です。

 

ということで、そういったところに注意して、家族でまずは話し合いで解決できるのであればそれで解決していただくという方向で進めていっていただきたいと思います。

 

 

遺留分の第三者への譲渡は詐害行為の対象?

 

続いて、遺留分減殺請求と詐害行為についてのお話です。

 

遺留分減殺請求というのは、遺言書による遺贈等により、自分の最低限の法律的な持ち分・取り分を侵害された人が、その侵害している受贈者(遺言書によって財産を譲り受けた人)に対して、「自分の最低の取り分を返してくれ」と請求できる権利のことをいいます。

 

例えば、妻であれば、通常の法定相続分は1/2ですが、そのさらに1/2、すなわち1/4は遺留分があるということになっています。この遺留分を第三者に譲渡した場合、これは詐害行為の対象になります。

 

詐害行為というのは、債権者がいる場合にその債権者に財産を持っていかれるのを防止するために、他にその財産を移してしまうという行為のことです。このような詐害行為については、法律で禁止されています。

 

つまり、遺留分を請求できる人が、借金が多くて債権者がいるといった場合に、財産を隠すために遺留分を譲渡してしまうというケースでは、この遺留分の譲渡は詐害行為の対象になるということです。

 

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遺留分も譲渡したということは、その譲渡したという事実を遺留分を行使する人に伝えるわけですが、その伝えた時点において、遺留分を行使するということが確定的に証明されているということが、詐害行為の取消しになる判断要素の1つになります。

 

 

遺留分の放棄は詐害行為の対象になるの?

 

では、遺留分の譲渡ではなく遺留分を放棄する、自分は遺留分はいらないということを表明することも詐害行為の対象になるのでしょうか?

 

この点については、一般的に遺留分を行使しないということを表明しても、それは詐害行為の対象にはならないとされています。

 

これは、遺留分を行使する、あるいはしないというのは、「遺留分権利者の自由であって、他人に強制されるものではない」という考え方が根底にあるからです。

 

しかし、一度遺留分を行使して遺留分を請求するということを表明したということになるとまた事情が違ってきます。その場合は、確定的に表明しているということになり、遺留分請求権も1つの財産権として確定したということになります。

 

ですから、これを行使しないということになりますと、それは詐害行為の対象になる可能性が十分にあります。このように、遺留分請求権というのは、本人の意思によるという面もありますが、それが一旦行使されると1つの財産権になるという側面もあります。

 

ということで、遺留分をめぐって詐害行為の対象になるかどうかというのは非常に微妙な問題をはらんでいますので、弁護士など専門家に相談されることをおすすめします。

 

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