死亡保険金は遺産分割財産や遺留分の対象になるの?

 

 

死亡保険金は遺産分割財産や遺留分の対象になるの?

 

 

まず遺産分割協議について、これまでのところを簡単にまとめておきます。

 

当然、相続人の間で相続財産をどのように分割するかというのを話し合うわけですが、それが“遺産分割協議”と呼ばれるものになります。この遺産分割協議で揉めたりすることがあったりするわけです。

 

そして、遺産分割協議が済んだら今度は遺産分割協議書を作成します。その遺産分割協議書は、相続した後の相続税の申告や各種銀行などの名義変更などでも必要になります。

 

ただ銀行の場合、所定の様式があって、普通に作った遺産分割協議書ではなくて銀行所定の様式で出して下さいという場合があったりします。なので、銀行ではこういった様式になってしまうことがあるのだということには注意が必要です。

 

ただ、もともと遺産分割協議で決定している内容というのは、また別にあるわけですから、それに基づいて行うということです。基本的には相続人全員でやらなければなりません。参加しない人がいると無効になったりしますので注意して下さい。

 

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また、遺産分割では対象にならない財産もありますますので、そこには注意が必要です。具体的には、保険金などはもう受取人は決まっているわけですから、これは基本的には遺産分割の対象にはならないということです。

 

ただし、明らかにおかしい金額だったり、あるいは、他の財産がほとんどなく保険金だけがものすごい比重を占めていて誰かにいくという形になっているときなど、そういった場合には少し違ったケースになることもあり得ます。

 

ですが、基本的には保険金というのは受取人が決まっていて遺産分割の対象にならないというところがあります。

 

それから、遺産分割には3種類の方法があります。1つ目は、現物でそれぞれに分けるという分割方法です。2つ目は代償分割といって、例えばある財産を長男が相続してその代わりに負債を次男に負う、というような分割方法です。

 

3つ目は、財産を売却して、売却した後に遺産を配分する分割方法があります。これを換価分割というのですが、この場合は税金がかかってきますので注意が必要になります。

 

 

死亡保険金は遺産分割財産の対象になるの?

 

死亡保険金は遺産分割の対象となるのでしょうか?これについては、死亡保険金の受取人が被相続人(亡くなった本人)ではなかった場合は、生命保険金は遺産分割財産の対象にはなりません。

 

なぜなら、生命保険金請求権というのは、相続開始時に被相続人に帰属していた財産ではなく、当初から受取人固有の権利として保険金を受け取ることが可能であると考えられていることから、遺産分割の対象となる相続財産ではないとされているからです。

 

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ただし、生命保険金の受取人が被相続人(亡くなった本人)であった場合、すなわち自分を受取人として生命保険金をかけていた場合は、生命保険金は遺産分割対象の相続財産となります。

 

少しややこしい話ですが、これはあくまでも民法上の話であって、税法上は受取人が誰であるかに関わらず、生命保険金はみなし相続財産となり相続税の課税対象となります。

 

 

死亡保険金は遺留分の対象になるの?

 

続いて、死亡保険金は遺留分の対象になるのでしょうか?

 

先ほど、死亡保険金については、本人以外を受取人にしていた場合には、遺産分割財産の対象とはならないと言いました。そのため、生命保険金は通常遺留分の計算の基礎となる財産には含まないとされています。

 

ちなみに、平成14年の最高裁の判例では、以下のように判示し遺留分減殺の対象にならないことを明らかにしています。

 

「生命保険の契約者、被相続人が死亡保険金の受取人を相続人から相続人以外の第三者に変更したというケースにおいて、死亡保険請求権は相続財産を構成するものではなく、実質的に保険契約者または被保険者の財産に属していたものとみることもできないから、上記変更行為は民法1031条に規定する遺贈または贈与に当たるものではなく、これに準ずるものとも言えない。」

 

そうしますと、今度は生命保険金が特別受益に該当するのかしないのか、が遺留分を侵害されている側の人間としては気になるところです。

 

この点については現在でも難しい問題となっていますが、平成16年10月29日の最高裁判決では、以下のような結論を出しています。

 

「原則として生命保険金は、特別受益の持ち戻しの対象とならない」

 

ちなみに、原則は特別受益に該当しませんが、それでは不公平感が解消できないことから、「相続人間の不公平間を無視できないほどの特段の事情があれば、死亡保険金も特別受益として持ち戻しの対象になる」としています。かなりややこしい話ですよね。

 

従来は、生命保険金については、特別受益として持ち戻しの対象とすべきであるという考え方が有力でした。ですが、この最高裁の判例によって、現在は余程極端な遺産分割でない限り、生命保険金は特別受益に該当しないという解釈が広まっています。

 

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