生命保険金や退職金は相続財産なの?死亡保険金は相続税か所得税か?

 

 

死亡保険金は相続税か所得税か?

生命保険金退職金は相続財産なの?

 

 

生命保険金や退職金は、税法上は「みなし相続財産」と言います。みなし相続財産は、相続財産ではないという位置づけにはなりますが、相続財産とみなすということで、結論としてはほぼ相続財産と同じと考えて下さい。

 

他方、みなし相続財産が普通の相続財産と大きく違うところは、遺産分割の対象に通常の財産はなるわけですが、生命保険金や退職金はならないという点です。

 

生命保険金は受取人が指定されている場合が基本的にはほとんどです。

 

そうなると、遺産分割の対象には基本的にはならず受取人のところにお金がいきます。ただ当然、相続税の対象にはなるのです。そうしないと課税漏れになってしまいますからね。退職金の場合はそうでないケースも多々あります。

 

ただ、あまりにも他の財産がなくて保険金だけで、例えば1人の相続人に全部いってしあうとか、そういったあまりにも他の相続人に財産が全然いかなくて不公平だという場合には、そこはそのまままかり通らないケースもあります。

 

ですが、基本的には遺産分割対象ではないので、受取人にお金がいきます。

 

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ちなみに、税法上は、生命保険金と退職金は非課税枠があります。特にオーナー会社ですと、退職金というのはいわゆる事業承継対策とか相続対策で金額も大きくできるのでよく使われます。なので、そういうのも組み合わせて色々検討するということになります。

 

それから保険金も当然分割を考えたり、非課税枠もありますのでそこも合わせて検討するとよいと思います。

 

 

死亡保険金の受取人の変更と遺留分減殺請求権

 

今回は「死亡保険金の受取人を変更すると遺留分減殺請求権に影響を与えるのか」ということについて争われた事例についてのお話です。この事例は平成14年11月6日の最高裁判決になります。この最高裁判決ではどのように言っているのかというと、

 

「自己を被保険者とする生命保険契約の契約者が死亡保険金の受取人を変更する行為は、民法1031条に規定する遺贈または贈与にあたるものではなく、これに準ずるものということもできない」

 

と判断しています。民法1031条というのは、遺留分権利者またはその承継人が、遺贈や相続開始1年前に行われた贈与についても遺留分減殺請求をすることができるという規定です。

 

その「遺贈または贈与に死亡保険金の受取人を変更する行為はあたらない」という判断を最高裁は示したわけです。その理由を2つあげています。

 

まず1つ目の理由として、「死亡保険金請求権は、指定された保険金受取人が自己の固有の権利として取得するのであって、保険契約者または被保険者から承継取得するものではなく、これらの者の相続財産を構成するものではない」と言っています。

 

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2つ目の理由として、「死亡保険金請求権は、被保険者の死亡時に初めて発生するものであり、保険契約者の払い込んだ保険料と等価の関係に立つものではなく、被保険者の稼働能力に代わる給付でもないのであって、死亡保険金請求権が実質的に保険契約者または被保険者の財産に属していたものとみることもできない」と言っています。

 

そもそも死亡保険金というのは遺産ではありません。これが民法と税法との大きな違いですから、この点には注意が必要です。

 

 

生命保険を使った相続対策のメリットとは?

 

続いて、生命保険を使って相続対策をするというお話です。生命保険というのは受取人が指定できます。

 

死亡保険金は受取人の財産となるため、誰かに多くの財産を残したり、相続人以外の人に財産を残すことが可能です。また、死亡保険金には非課税枠があるので節税対策にもなります。

 

ただし、契約形態によってかかる税金が変わってくるので注意が必要です。さらに、亡くなったときに現金(死亡保険金)が受け取れることから、相続発生後に納税資金などの資金を準備することができます。

 

 

死亡保険金は相続税と所得税のどちらの対象になるの?

 

続いて、死亡保険金を受け取った時に、所得税の対象になる場合と相続税の対象になる場合についてのお話です。

 

「保険金を受け取った時にどの税金の対象になるんだっけ」とか「どういう手続きをすればいいんだっけ」という話もあるのですが、これは実は誰が保険料を払っていたのかによって取り扱いが異なってきます。

 

まずは、保険料支払いがAさん、被保険者もAさん、受取人がBさんのケースです。

 

Aさんが亡くなって、Aさんが亡くなったことで保険金がおりてきたわけですが、その受取人はBさんです。このとき誰が保険料を支払っていたのか、このケースではAさん本人、亡くなられた方ご本人が払っていた場合です。

 

この場合は相続税の対象になります。相続税の対象になるということは、他の預貯金や土地・建物などと合わせて相続税の計算に組み込まれていくということです。

 

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次に、保険料支払いがBさん、被保険者もAさん、受取人がBさんのケースです。

 

このケースは、保険金をもらった方ご自身が保険料を支払っていましたよという場合です。この場合は、相続税ではなくて所得税の計算になります。なので、確定申告でその分を申告するということになります。

 

ただし、こういった話というのは、少し事情が変わればケースバイケースになるところもあり難しいところでもあります。なので、もしお困りの際は税理士さんなど専門家に相談されることをおすすめします。

 

 

親と同居している場合の相続対策は?

 

続いて、相続対策に関する遺言書についてのお話です。

 

例えば、兄弟が2人いて、親の財産が実家の土地と建物しかなくて、しかも兄弟2人のうち兄が親と同居しているというケースはよくあると思います。このような場合、相続対策としてどのようなことを考えておくとよいのでしょうか?

 

できることなら、その実家の土地建物と同じ金額の預貯金を残して、弟の方に相続をさせるというのが一番円満に相続できる方法になります。あるいは、親自身が自分に生命保険をかけて、受取人を弟の方にするという方法もあります。

 

もし、今同居している兄の方に家を相続させたいというように考えているのであれば、兄の方に遺言書の中で「自宅の土地建物を相続させる」というように書いておきましょう。

 

当然、弟の方にも相続分をもらう権利はありますが、遺言がないときよりはその割合は減ることになります。つまり、遺言書がないよりはトラブルを少なくすることができる効果があるということです。

 

 

死亡保険金は特別受益になるの?

 

続いて、亡くなった人が一人の相続人を受取人にして生命保険をかけていた場合、その死亡保険金は特別受益に該当するのかどうかというお話です。

 

この場合、基本的には特別受益には該当しません。なぜなら、その死亡保険金は遺産分割に関係なく、受取人が受け取ることになるからです。

 

ただし、その死亡保険金以外に財産がなく、他の相続人の相続分と明らかに不公平が生じる場合には、特別受益とみなされる可能性はあります。

 

ですから、もし子供たちの間でもめて欲しくないと思われるのであれば、その保険金が特別受益とみなされることを防ぐためにも、亡くなる前にその死亡保険金を考慮した遺言書を書いておくことをおすすめします。

 

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