家族信託制度のメリットとは?
民事信託で相続財産を活用!
今回は、家族信託や民事信託を活用するメリットについてのお話です。
まずは家族信託(民事信託)がどのような制度なのかということについて、3人の登場人物を使って解説していきます。委託者と呼ばれる依頼する人、受託者と呼ばれる財産を管理する人、そこから利益を受け取る受益者と呼ばれる人、この3人がいます。
家族信託(民事信託)制度を使うと、4つのメリットが受けられます。
まず1つ目のメリットは・・・
生前に、例えば、お父さん(委託者)と息子さん(受託者)で信託契約を結んでおくと、お父さんが認知症になった後も、その信託契約により財産の処分権は息子さんが持っていますので、財産の処分が自由にできることです。
現状、信託契約を結んでいないと、認知症になってしまった場合に財産の売却などが一切できなくなります。なので、こうした際に、家族信託(民事信託)制度の大きな活用のメリットがあると言えます。
2つ目のメリットは・・・
二次相続対策になるということです。
例えば、お子さんのいない夫婦の場合です。仮に旦那さんが亡くなった場合、奥さんに一度はすべて相続させるとしても、お子さんがいないので財産を下に下ろせません。
この場合、財産は先祖代々受け継いできたものであっても、そのまま奥さんが亡くなってしまえば、奥さんの家系の方に財産がいってしまいます。
ですが、先祖代々引き継いでいるものであれば、やはり子孫が残っている血筋にその相続財産を受け継いでもらいたいですよね。実際そういったニーズはかなりあります。ですから、こういったときに信託契約を結んでおくといいのです。
例えば、依頼する人が旦那さん、受益を受ける人が奥さんにしておいて、奥さんが亡くなったらその次は旦那さんの兄弟に渡して下さいとか、そういったことも1回だけではなくその後の道筋もつけることができます。
このように、家族信託(民事信託)制度は、二次相続対策としても十分に活用できるのです。
3つ目のメリットは・・・
信託契約をすることによって、相続財産の給付についての道筋をつけることができるということです。
例えば、遺言ですと財産を一気に相続させるような形になりますが、信託というものを間に挟むと、例えば年金のように毎月毎月決まった金額を少額ずつ給付してあげるような仕組みにしたりとか、お子さんが30歳になったら相続財産から少しずつ息子に対して渡してもらうとか、そういったことができます。
つまり、相続財産の給付に当たり道筋をつけることができるのです。
4つ目のメリットは・・・
不動産の共有問題を解決する手法になることです。
「不動産は共有にしてはいけない」というのはご存知かもしれません。
ただ実際には、不動産を共有にして争ってしまい、その後代替わりをすると共有者はさらに下にいくに従ってどんどん増えていきます。それによって、不動産の相続問題が非常に複雑になってしまうケースも多々あります。
こうしたところに対して、家族信託(民事信託)制度をどのように使うのかということになります。
例えば、受託して財産を管理する人は誰か1人にします。もし兄弟が3人でしたら、長男が受託者として財産の管理はするけれど、そこから賃貸収入などが発生するのなら、その収入は兄弟で均等に配分するということもできます。
従来はこうした信託の制度がないと、不動産を共有するしかなかったのですが、信託の制度を導入することによって、所有者は1人にして、その不動産から実際に利益を受ける人は共有のような形で複数入れることができます。
財産管理をする人が1人であれば、その人の単独の判断で売却などもできますので、不動産の売却処理をスムーズに行えます。
家族信託制度のメリット
民事信託で相続財産活用!まとめ
以上、家族信託(民事信託)制度は、様々なな可能性を秘めています。これら4つのメリットをまとめると・・・
1つ目は、生前に信託契約をしておくと認知症になっても財産の処分ができるということです。
2つ目は、二次相続対策です。この人が亡くなったら次はこの人、というような形で財産の行く末を決めることができます。3つ目は、年金のような定期給付も可能ということです。
4つ目は、不動産の共有問題を解決できるということです。不動産の所有者は1人に限定して共有に入れずに、そこから得られる利益を均等に配分することによって、うまく相続財産を活用することができます。
ということで、家族信託(民事信託)制度は非常にメリットがある制度なので一度検討してみることをおすすめします。