自筆証書遺言書き方!無効にならない有効な遺言書作成方法!

 

 

自筆証書遺言書き方!

無効にならない有効な遺言書作成方法!

 

 

相続の専門家に遺言の相談をすると、ほとんどの方が公正証書遺言を薦められると思います。

 

これは、公正証書遺言なら法的な不備が発生することがほぼなく、遺言書を見つけた時点で開封できるメリットがあるからです。ただ、公正証書遺言は作成する際に費用がかかるので、それネックに感じている方が多いのも事実です。

 

例えば、日本人の平均相続財産額約5,000万円を基準に考えますと、相続人が配偶者と子供2人の場合でしたら、「法定相続分どおりに相続させる」との遺言書を書くと、約10万円の手数料がかかります。

 

一方で、約10万円の費用がかかることを理由に自筆証書遺言を書いたとしても、実際には不備が見つかるケースも多く、場合によっては遺言書自体が無効となってしまうこともあります。せっかく遺言書を残しても、無効になってしまっては後の祭りですよね。

 

そこでここでは、自筆証書遺言を不備なく書く方法について解説していきます。

 

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自筆証書遺言の書き方の注意点は?

 

自筆証書遺言を書く際の注意点は8つあります。まず1つ目は、すべての文章を手書きで書くことです。自筆証書遺言というのは、読んで字の如く、自筆で書かれた遺言書のことを言います。

 

つまり、すべての文章が自筆で書かれていなければ、自筆証書遺言とは言えないのです。パソコンで書かれたものや、代筆で書かれたもの、ビデオで撮影したもの、これらはすべて無効になりますので注意が必要です。

 

 

2つ目は、相続財産がどれだけあるのかを

明確にするため財産目録を残しておくことです..

 

「相続財産くらい相続人はすべて把握しているだろう」といった思い込みは禁物です。相続人が「こんな財産があったなんて知らなかった」とならないように、すべての財産をしっかり明記した自筆の財産目録を作成します。

 

前述のとおり、自筆証書遺言はすべての文章を手書きで書かなければいけません。「財産目録ぐらいは、パソコンの方が見やすいから手書きでなくてもいいだろう」と自筆で書かないでいると、その遺言書自体が無効となってしまう可能性があります。

 

実際、財産目録がパソコンで記載されていたものであったために、自筆証書遺言の要件が欠けているとして、遺言書自体が無効とされた判例もあります。ですから、必ず自筆で書くようにして下さい。

 

さらに、財産目録の財産の記載漏れがあった際の分割の仕方も明記しておきましょう。「誰か特定の人に相続させる」と書くのか、「法定相続分どおりに分割しなさい」と書くのか、「相続人どおしで話し合いなさい」と書くのか、これは自由です。

 

相続財産の記載漏れは、非常にトラブルに発展しやすいですから、何か一言残しておくことをおすすめします。また、財産目録を思い起こしておくことは、相続対策としても非常に有効です。

 

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相続対策を立てるに当たり、自分の財産がどれだけあるのかを把握していなければ、そもそも相続対策に手を付けることができませんからね。「相続の備えをしなければ!」と考えたら、まずは財産目録を作成することから始めるとよいです。

 

 

3つ目は、不動産や預貯金などすべての財産を

正確に特定させることです..

 

遺言書を読んだすべての人が、同じ受け取り方ができるように遺言状を書く必要があります。

 

例えば、「自宅は長男の○○に相続させる」と書いたとしても、土地のことなのか、建物部分のことなのか、あるいは庭の部分はどうするのか、というように疑問が生じる余地があります。

 

なので、土地なら登記簿通り、預貯金なら金融機関名、支店名、口座番号までしっかり明記しておく必要があります。

 

 

4つ目は、相続人一人ひとりを

特定して書くことです..

 

自分が亡くなったら誰が相続人になるのかを特定させます。相続順位は、常に相続人となる者が配偶者、続いて第一順位は子供、第二順位は父母、第三順位は兄弟姉妹の順です。ですから、この順番通りに書いていきます。

 

また、法定相続人以外に財産を渡したい場合には、「相続させる」ではなく「遺贈する」と区別できるように書きます。

 

 

5つ目は、遺言書は共有で書かないことです..

 

民法の規定で、遺言書は、2人以上の者が同一の証書で作成することはできないことになっています。

 

「ウチは夫婦仲が良いから一緒に書こう」と思って書いても、その遺言書は無効になりますから注意して下さい。なお、遺言書は15歳になれば誰でも書くことができます。

 

 

6つ目は、遺言書作成日を正確に明記することです..

 

日付は、「吉日」「末日」などを使わずに、何年何月何日まで正確に明記します。もし、平成○年○月吉日などと書いた場合には、遺言書が無効になってしまいますので注意して下さい。平成○年○月末日という表現も避けた方が無難です。

 

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かつて、日付の表記が「末日」と書いてあったことを理由に、その遺言書が有効かどうかをめぐって、裁判にまで発展したケースもありました。

 

このケースでは、末日は月の最後の日と特定できるということで、遺言書自体は無効にはなりませんでしたが、こうした混乱を避けるためにも、必ず「○年○月○日」といった書き方をするようにして下さい。

 

 

7つ目は、書面には署名押印をして、

封筒に入れて保管することです..

 

書面に署名をしてハンコを押すのは当然と思うかもしれませんが、ここで重要なのは、必ず遺言書の作成者1人だけが署名しなければならないということです。

 

遺言書本文をご自身だけで書いたとしても、最後に念のためとして共同で署名してしまうと「共同遺言」とみなされて遺言書が無効となってしまいますので注意が必要です。

 

ちなみに、押印に関してはどの印を使わなければならないといった規定はありません。

 

なので、認印でも構いませんが、実印の方が確実です。また、母音や私印でも有効という判例があるものの、これらでは遺言書が本人のものであると確認できないケースもありますので、やはり実印をおすすめします。

 

また、自筆証書遺言の場合、封印がなくても法律的には何も問題ないのですが、改変や偽造の疑いをもたれないようにするためには、しっかり封筒に入れて、封をした箇所に遺言書で使用したものと同じ押印をしておいた方がいいです。

 

そして、金庫の中など安全な場所に保管しておくようにします。なお、わかりづらい場所に遺言書を保管すると、逆に発見されない可能性が出てきますので保管場所にも注意して下さい。

 

 

8つ目は、遺言書の訂正や削除は

可能だということです..

 

遺言書を訂正する場合には、訂正箇所にくの字を書いて、原文が判読できるように二重線を引いて、本文付近に訂正文を書き加えて、訂正箇所に遺言書に押印した印で押印します。

 

そして、訂正した部分の欄外に「本行何字加入、何字削除」と表記するか、遺言書の末尾に「何行目にある○○とあるのを□□に訂正した」と訂正した趣旨を明記します。さらに、訂正した趣旨を明記した箇所に遺言者本人が署名したら、訂正作業は完了です。

 

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ちなみに、遺言書本文の一部を削除したい場合にも、訂正する時と同様の手順を踏むことで削除することができます。

 

これらの手順は厳格に決められていることなので、多少なりとも守られていない場合には、訂正・削除した箇所が無効になってしまいますので注意して下さい。

 

なお、作成した遺言書を訂正したり一部削除することは可能ですが、後々不備が見つかるケースも多々ありますので、最初から書き直した方が無難です。

 

 

自筆証書遺言書き方!無効にならない

有効な遺言書作成方法!まとめ

 

遺言書は、自筆証書遺言、公正証書遺言に関わらず、日付の新しいものが有効、つまり優先されますので、新しい書式で書かれていれば、わざわざ新しい遺言書に「以前書いた遺言書は無効とする」と書かなくても構いません。

 

以上8項目は、言われてみれば当然のことと思われるかもしれません。ですが、多くのケースでこの8項目が守られずに書かれているのが現状です。せっかく時間をかけて遺言書を書くのですから、不備なく有効な遺言書を残すようにしましょう。

 

上記8つの注意事項をきちんと守って遺言書を書いていけば、有効な遺言書として相続人へ渡すことができます。反対に、1つでも守られていないとことがあると無効な遺言書となり、相続人同士で遺産分割協議を進めなければならなくなってしまいます。

 

自筆証書遺言を作成する際、無効にならない有効な遺言書を作成するためにも、確実に上記の注意事項を守って書くようにして下さい。

 

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