認知症なら遺言書は無効?遺産相続対策のコツ!

 

 

認知症なら遺言書は無効?

遺産相続対策のコツ!

 

 

やはり遺言書を作成しようと思った時には、かなり高齢になっているケースが多いです。

 

若いうちから遺言書を作成しようという人もあまりいませんからね。そんな高齢になった時には、年相応に物忘れが激しくなってきているとか、医師から初期の認知症ですねと言われていることもあるわけです。

 

では、そいういった状況になってしまったら遺言書というのは作成できないのかというと、決してそういうわけではありません。

 

きちんと「自分にはこういう財産があって、それを誰にどういうふうに残したい」ということをしっかり考えて伝えられる能力が残っていれば、遺言書というのは作成できるからです。

 

むしろ今は、遺言書というのを作らせる方向にあります。例えば、未成年者でも15歳以上であれば遺言書は作成できます。

 

また、後見人がついているような被後見人は、家庭裁判所が財産を管理する力がないと判断した人ですが、そういう人でも意思能力を回復していて、医師2人の立ち合いがあれば遺言書は作成できることになっています。

 

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ただし、この場合は、自筆遺言ではなくて公正証書遺言にして下さい。

 

なぜかいうと、遺言書を作成する際には、公証人と証人2人、少なくとも3人が「あの時点ではしっかり遺言を作成できる能力があった」ということを見ているからです。これは後々強い証拠になりますからね。

 

 

診断書の提出を求められることも・・・

 

それから、高齢の方の遺言場合、公証人から診断書を出して下さいというケースがあります。最近は特に多いです。そうすると、医師が認知症なのか認知症でないのか、認知症だとしたらどれくらいのレベルなのかという診断書を出してもらうことになります。

 

その時には長谷川式テストというものを実施します。これは、認知症の度合いのテストです。30点満点の簡単なテストですが、そのスコアを見て認知症がどれくらい進んでいるのかというのを判断することになります。

 

私自身、少し認知症が始まっている方の遺言書のお手伝いをすることが多いのですが、かなり困ることもありました。というのは、公正証書遺言を作成する時は、公証人の前でどういう遺言書を作成するのか口で言ってもらわなければいけないからです。

 

なので、少し危ないなと思った時には、早めに行って練習したりもします。私が公証人の役をして。ただ、その時はきちんとできるのに、いざ公証人がくると忘れてしまう、あるいは「自分はまだ遺言書なんか作りたくない」などと言い始めてしまう、そういうケースもありました。

 

また、以前苦労したケースでは、相続人がいない方で、近所の人に遺産をあげたいので遺言書を作成するという話がありました。その方は公証人の前に出ると「ワンちゃんに財産を残したい」と言い始めてしまったのです。

 

この方の場合は2回チャレンジしたのですが、どちらも結局ダメでした。

 

ということで、遺言書は認知症が始まってしまっても作成できる余地はありますが、なるべくならそういったことになる前に、元気なうちに準備しておくことをおすすめします。

 

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認知症になってからでは相続対策は遅い?

 

認知症になってしまったら、ほとんどの相続対策ができなくなってしまいます。例えば、生前贈与です。いきなり息子さんとか娘さんにあげるのではなくて、お孫さんにあげてもいいですよね。

 

お孫さんの方がお若いですから、そういった方に有効活用してもらうのも1つの考え方です。本人の相続税対策にもなりますし、お金も若い世代に渡せますからね。

 

もちろんそれもいいのですが、これは財産を減らす行為ですから、その本人が認知症になってしまった場合は、勝手に他の人がやることはできません。

 

例えば、家族が勝手に認知症になった人のお金を下ろして、お孫さんに渡すということなどはできません。

 

認知症になった場合には、成年後見人という制度もありますが、成年後見人も勝手に贈与などはできません。それをやった方が相続税は安くなるという話であっても、勝手にあげるようなことはできません。

 

それから、資産の組み替えもです。例えば、現金を建物に換えましょうとか、こうしたことも資産を減らしてしまいがちなことですから、成年後見人がいても勝手にできません。

 

というように、認知症になってしまうと有効な節税対策ができないのです。

 

生命保険の活用にしても、そもそも健康でなければ入れませんから、入れない保険というのが増えてきてしまいます。保険も考え方さえ間違えなければ、使えるところでは非常に有効ですが、これもできなくなってしまいます。

 

 

認知症でも遺言書が無効にならない方法とは?

 

認知症や成年後見の方の遺言能力についてです。成年後見制度で、法定後見に付された場合は遺言ができるのでしょうか?

 

被保佐人、被補助人と認定された人は、補助人や補佐人の同意も不要で遺言ができます。では、被後見人はできるのかというと、それはできません。なぜなら、原則として判断能力を欠く常況にあるので、遺言能力がないからです。

 

ただし、時として意思能力を回復している状態であれば、医師2人以上の立ち合いのもとで、一時的にできる状態であったと遺言書に付記してならできます。

 

よく認知症になったら遺言書は書けないと誤解されます。認知症というのは非常に難しい症状なので、医師の判断で補強する場合もあります。つまり、医師に診断書を書いてもらうのです。

 

例えば、「軽度の認知症である、ただし、遺言への意見は有効なものと認める」というような内容の診断書です。このような診断書があれば、遺言書は無効であると主張された場合であっても、きちんとこれに対して対抗できます。

 

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