固定金利選択型のワナとは?
住宅ローンの選び方..
住宅ローンで固定金利選択型を選んだ場合には、4つの落とし穴があります。1つ目は、住宅ローンの返済額が増えることです。
これは、銀行ローンの金利優遇にあります。金利優遇というのは、金利を1〜2%当初期間優遇してくれるものです。当然、期間終了後は優遇幅が小さくなります。
この「当初期間」というのがポイントになります。当初期間とは、返済開始から1回目の金利の見直しまでの期間のことです。
例えば、固定金利選択型には、2年固定、3年固定、5年固定がありますが、このうち3年固定を選んだとすると、返済が始まって3年間はずっと同じ金利で支払います。そして、3年後に金利が上がるか下がるかします。
これが1回目の見直しの時です。この1回目の見直しが終わると、最初受けていた優遇の幅が小さくなるのです。
今、住宅ローンのパンフレットなどを見ると、1%を切るような商品も出ています。この1%の金利がどうなっているのかというと…
実は、最初銀行は基本金利というもので貸し出します。それが例えば3%だとします。その3%の金利から2%優遇して実際の金利1%にしているのです。ここで2%優遇してもらっているわけですが、3年経つと優遇幅が小さくなるのです。
例えば、2%の優遇が1%になったとすると、基本金利が変わらなくて3%だったとしたら、優遇幅は1%なので実際の金利は2%になるのです。
つまり、基本金利は変わらないのに優遇幅が小さくなったわけですから、その結果返済しなければいけない利息は増えることになります。利息が増えるということは、当然、返済額も増えます。
ということで、固定金利選択型の場合、当初期間終了後に基本金利は変わらなくても、優遇幅が小さくなるので月々の返済額は増えるということになります。
2つ目のワナとは・・・
固定金利選択型の2つ目のワナは、金利は今以上には下がりにくいということです。
かつてのバブル景気の時代、この当時の住宅ローンの金利は5%以上ありました。しかも、35年ローンがなくて30年ローンでした。ですから、当然返済額も多かったのです。
例えば、当時、金利5%で2,000万円の住宅ローンを組んだとすると、月々の返済額は113,000円にもなりました。今では考えられないくらい高いですよね。
その後、10年経ったバブル崩壊後は、金利は2%ほどになりました。例えば、その時に金利2%で2,000万円の住宅ローンを35年返済で組んだ場合には、月々の返済額は66,253円になります。
金利は景気とともに上がったり下がったりします。バブルの時には金利が上がり、バブルが崩壊して金利は下がっていきました。そして、今はずっと低金利時代と言われています。では、なぜ銀行はバブル崩壊後2%の金利でお金を貸すのでしょうか?
それは、住宅ローンの金利が、銀行が日本銀行から借りた金利に上乗せして貸しているものだからです。
公定歩合という言葉を聞いたことがあると思いますが、それが基準になっているのです。そして、この低金利時代、日本銀行が銀行に貸し出す利率というのは、1%を切って0.5とかになっています。
金利で0.5%より下というと、もう0%しかなくて、0%より下というとマイナスになってしまいます。
今、少し金利が上がっていますが、どこまで上がるのかというと、バブル時代最高8.5%まで上がったことはあるのです。1%が最低で8%が最高だとすると、景気が普通の時にはどのくらいになるのか、ということを考える必要があります。
3つ目のワナとは・・・
固定金利選択型の3つ目のワナは、金利が上がると返済額も上がるということです。
例えば、2,000万円の住宅ローンを35年返済で借りた場合で考えてみます。金利が2%の時は、月々の返済額は66,252円になります。また、金利が3%の時は月々の返済額は76,970円、4%の時は月々88,554円になります。
つまり、住宅ローンを2,000万円借りると、金利が1%上がるごとに返済額は約11,000円増えることになります。景気が良くなると、給料がベースアップします。これはすごくいいことなのですが、バブルの時のベースアップでも月に5,000〜8,000千円でした。
例えば、景気が良くなって、給料が毎月8,000円上がったとします。でも、その時に金利が1%上がっていたら、住宅ローンの返済額は約11,000円上がるので、給料が上がった分が金利に取られることになります。
もちろん、固定金利選択型の固定期間が3年なのか5年なのかによって、計算は変わってきます。ですが、基本的には景気が良くなると金利が上がって、返済額も上がるということはぜひ知っておいて下さい。
4つ目のワナとは・・・
固定金利選択型の4つ目のワナは、銀行は金利が4%になると考えているということです。
実は、銀行が返済限度額を考えるときには、金利4%で100万円を35年返済で借りた時の1ヵ月当たりの返済額は4,428円というものをベースにしています。これは、「金利が4%になっても返済できるか」ということを想定してるのです。
限度額を計算する時には、まず年収から返済可能額を出します。そして、この毎月の返済可能額から、金利が4%になっても返済できるかを見ているのです。つまり、銀行は金利が4%まで上がると考えているのです。
もし、今の低金利がずっと続くと銀行が考えているとしたら、銀行はお金を貸せば貸すほどお金が儲かるわけですから、たくさん貸したいはずです。
ですが、もし金利が4%になっても、この人は返済できる能力があるのかどうか、これを返済限度額で見てお金を貸しているのです。言い換えれば、銀行は金利が4%になっても構わないし、もし金利が4%になっても返済できる人にお金を貸しているということです。
固定金利選択型のワナとは?まとめ
固定金利選択型のワナは、4つありました。
1つ目は、固定金利選択型には金利優遇がありましたが、この金利優遇は期間限定となっているということです。2つ目は、金利は今以上は下がらないので、今後は上がるか下がるだけということです。
3つ目は、2,000万円の住宅ローンを組んだ場合には、金利が1%上がるごとに、返済額が約11,000円上がるということです。ですから、もし3,000万円の住宅ローンを組んだ場合には、もっと上がります。4つ目は、銀行は金利が4%になると考えているということです。