なぜ日本円は安全資産なの?
ドルこそ安全資産?
少し前に「有事のドル買い」のところで、テロや戦争が起きたときには、ドルが買われる傾向にあるという記事を書きましたが、その意味で言うと、ドルは安全資産と言えそうです。何と言っても、ドルは世界の基軸通貨ですし、その取引量は世界ナンバーワンですからね。
でも、実は、日本円も安全資産であると言われることがあるのです。
日本は世界第3位の経済大国ではありますが、経済状況や財政状態はそれほどよくないのはご存知ですよね。取引量に至っては、ドルどころかユーロにも負けていますし。それでも日本円が安全資産だと言われるのは、やはり理由があるのです。
日本円は本当に安全資産なの?
それは、日本は投資より貯蓄の方が多いので、海外市場の影響を受けにくいからです。実際に日本の総貯蓄額は、1,400兆円もあると言われていますが、これは世界的に見てもかなりのものです。
さらに、投資より貯蓄という国民性が手伝って、国外へ資金があまり流出しないということもあるようです。
こうした事情により、通貨の価値が安定していることから安全だと言われているのです。ちなみに、日本の経常収支が黒字であることが、円の安全資産と言われる要因の1つであると言う専門家もいます。
インドルピーの見通しとは?
インドに投資しよう!
現在、インドに注目が集まっていますが、それはなぜだと思いますか?
インドというと、まだまだ発展が遅れているイメージがありますが、投資という面から考えると、それは実は良い意味で魅力的と言えるのです。インフラが整っていないということは、すなわち、今後発展していく余地が大きいとも言えるわけですからね。
インドの一人当たりGDPもまだまだ少ないですが、これも成長余地と考えれば、今後大きくなることは必然です。
また、何と言っても最大の魅力は、人口ではないでしょうか?まず、人口ピラミッドを見ますと、非常にきれいなピラミッド型をしているのです。つまり、労働力という面から見ても、将来的に安定していると考えられるわけです。
現在は世界第2位の人口ですが、増加率から考えても、中国を抜くのも時間の問題と言えます。
今後の内需の将来性を考えても、魅力的な投資先と考えられるわけです。さらに、英語が第二の公用語となっていることも大きいです。欧米との言葉の壁がないわけですから、彼らにとっては非常に魅力的な投資先と映るはずです。
それから、米国との時差もメリットと言えそうです。というのは、米国が夜の間にインドで経済活動ができるわけですから、米国企業の進出も活発になるはずです。
以上をまとめますと、インドは今後、世界一の人口になると見込まれていますし、第2の公用語が英語であることから、欧米企業の進出が容易であると考えられます。
また、インフラ投資への需要も大きいですから、内需も魅力的と言えそうです。ただし、懸念材料もあるので注意も必要になります。
まず、政府の対応が後手に回っていることから、経済発展に関しては、中国などより遅れがちです。もちろん、これについては、政策が追いついてくれさえすれば、一段と加速していく可能性があるのは言うまでもありません。
通貨のルピーに関しても、金融危機の時以外では、比較的堅調な動きをしていますので、投資先としての魅力は益々高まっていくはずです。
なぜ中国経済はバブル崩壊しないの?
最近の中国は、若干、経済状況が停滞していると言われつつも、やはり他の諸外国と比べれば、依然として良好な経済が続いています。では、なぜ中国経済はこのように良好な状態が続いているのでしょうか?
これについては、まず単純に経済成長率が高いということがあります。また、それに伴う成長への期待というものも非常に高いものがあるということが言えます。
さらに言えば、GDPは世界第3位となったものの、1人当たりのGDPはまだまだ低いですから、潜在的な成長余力があると見られていることもあります。
人口だけで言っても13億人ですから、将来的な内需を考えれば、非常に魅力的なわけです。ちなみに、今後も次のような良い循環から、こうした中国強みは続いていくものと考えられているのです。
■今後の人口については、ベビーブーム世代が今後の労働力として安定的に活用できる。
■65歳以上の高齢者の割合が低い。
■現役世代の収入拡大から、購買力もまだまだある。...など
金融危機後は8%を上回る経済成長を遂げていた中国も、現在では7%台と安定期に入っていると見る専門家もいますが、日本はまだまだマイナス成長なわけです。日中のこうした差から考えても、非常に魅力的な国に映るのではないでしょうか。
それから、中国では人件費が安いという面も、魅力的に見せる要因になっています。
少し前までは、世界中から製造業が進出していましたからね。これを背景に、中国国内の雇用が安定すれば、中国国民の購買力は高まりますから、内需もさらに拡大していくわけです。
一方、中国の通貨である人民元に関してですが、中国では人民元が政府に管理されています。
なので、中国からの輸出の際には、この人民元が通貨高になりにくいため、為替レートによる企業の収益に変化が少ないといったメリットがあり、輸出企業が進出しやすいのです。
現在の中国は、まさに企業が進出して雇用が創出され、そして内需が拡大されるといった、好循環が上手くいっているということなのでしょう。
中国経済のバブル崩壊が叫ばれて久しいですが、今後もこうした状況に変化がなければ、中国の経済の成長は続いていくものと考えられます。
ドルペッグ制とは?
ドルペッグ制という言葉は聞いたことがあるでしょうか?
一般的に、FX取引で取り扱うような主要通貨ではまずないのですが、言葉の意味くらいは抑えておいた方がよいです。このドルペッグ制というのは、自国通貨の対ドルでのレートを固定してしまうことなのです。
例えば、アルゼンチンという国がありますが、この国では、自国通貨のペソを1ドル=1ペソに固定していました。
なぜ、このようにドルペッグ制を採用するのだと思いますか?
それは、外国人投資家が投資をしやすい環境になるからなんです。わかりやすく言うと、ドルペッグ制を採っていれば、為替変動リスクを気にせずに投資できるからです。
例えば、1ドル=100円の時、米国に1万ドルを投資したとします。その後、円に戻そうと思ったときに、1ドル=105円の時と、1ドル=95円の時では、円の価格は全然違いますよね。
これが為替リスクなわけですが、ドルペッグ制でしたら、こうしたリスクとは無縁なのです。つまり、基本的に、ドルペッグ制を採っている国でしたら、投資先での利益がそのまま自国での利益になりますので、投資家にとって非常に安心感があり、それが魅力的なのです。
そうはいっても、ドルペッグの方法には、問題もあります。
というのは、ドルペッグをする場合、多くの国では、中央銀行が為替介入という形で変動を抑えるわけです。すなわち、もしも自国通貨が大きく売られたりしたら、通貨の下落を防ぐためにその国の中央銀行は、大量に自国通貨を買う必要が出てくるわけです。
ここにヘッジファンドなどが対抗してくると、その国の経済はかなりの打撃を受ける可能性があるのです。
そもそもヘッジファンドというのは、通貨が実体経済よりも強くなりすぎて高止まりしている場合には空売りを入れて、その後、下落したところで買い戻して利益を得るものなのですから。
過去にはそのようなケースが実際にありました。それが1990年代後半に起きた、タイの通貨危機です。当時、タイの通貨であるバーツがヘッジファンドによって大きく売られたんですよね。それに加えて、対外債務の大半がドル建てであったことも、拍車をかけたようです。
というのも、仮にバーツが下落すると、ドルが上昇して返済額は膨大なものになってしまうからです。こうしたこともあって、バーツを下落させることができなかったわけです。この危機により、タイ経済は大きな打撃を受けました。