FXの利益や損失の繰越をすると
家族に知られてしまうの?
次のようなケースで考えてみます。
■パートからの収入がある主婦である。
■夫は自営業で国民健康保険に加入している。
■FXの利益によっては、家族の国保や住民税に影響を与えてしまうのか?
■FXの利益や損失の繰越の確定申告をすると、家族に知られてしまうのか?
アドバイス
FXの損失を繰越する申告を行うだけでしたら、ご家族に知られてしまうことはないはずです。
自分が作成した申告書と申告書の控えを家族に見られないように気を付ける必要はありますが…。とはいえ、FXの利益を申告する場合には、その金額によっては家族に知られてしまうと思われます。
まず夫が確定申告する際に、妻の配偶者控除が使えないことを伝える必要がありますからね。あるいは、配偶者特別控除の額を伝える必要もあります。
ちなみに、もしもパートからの収入のみですでに配偶者特別控除から外れているのであれば、これによって知られてしまうことはありませんが…。それから、住民税については、影響が出るのは夫と妻の住民税なので、家族全員の住民税に影響がでるわけではないです。
最後に、国民健康保険料については、妻の所得が増えることにより、影響が出ると思われます。
FXで儲かった場合、
扶養から外れるのはいつ?
専業主婦で夫の扶養に入っている人が、FXで利益を上げて、扶養から外れることになった場合、そのタイミングはいつなのかは気になるところですよね。
扶養と一口に言っても、実際には、次のような3つの社会制度が絡んできますので、非常にわかりづらくなっているんですよね。なので、まずはそれをしっかり理解しておくと良いと思います。
@税制上の扶養制度ともいえる控除対象配偶者
A健康保険制度上の扶養ともいえる健康保険の被扶養者
B共済年金の扶養ともいえる国民年金第3号被保険者
上記の@〜Bは扶養と言っても、制度は全く違うものですので、その中身を十分に把握しておかないと、頭がこんがらかってしまうと思います。
例えば、FXで38万円以上出した場合は、単純に夫の扶養から外れるのではなくて、配偶者控除から外れるということですね。また、年収130万円以上になると、健康保険の被扶養者から外れることになるわけです。
さらに、加入している健康保険組合によっては、「FXは労働による収入ではないので130万以上でも被扶養者の判定要件には入れない。」可能性もあるわけですが、こうした細かい所得要件は、各健康保険組合によっても違っていますので確認する必要がありますね。
扶養から外れずにFXをするにはどうしたらよいのかを考える場合には、色々と詳細を調べておくと後で後悔することがないと思います。
具体的に考えると、配偶者控除の範囲内でFXをするのであれば、利益は38万円以下に抑えるようにします。
また、配偶者特別控除の範囲内でFXをするのであれば、利益は76万円未満に抑えるようにします。さらに、健康保険の被扶養者でいるのであれば、FXの利益は130万円未満に抑えるようにします※。
では、FXの利益が大きくなったことにより扶養に外れることになった場合、外れるタイミングはいつになるのでしょうか?
これについては、配偶者控除と配偶者特別控除は、12月31日時点の1年間の利益で判定することになります。
健康保険の被扶養者については、加入している健康保険組合によってもその要件は違ってきますので、ご自身が加入している組合で確認してみる必要がありますね。
ちなみに、健康保険の被扶養者から外れた場合は、年金も第3号被保険者から第1号被保険者に変わるので、それに対する手続きも必要になってきます。
※ケースによっては制限がないこともあります。