事例で検討
貸文化住宅を25戸持っているのですが、賃貸料は契約によって、前月末日払のものと翌月5日払のものがあります。
この場合、先払いのものは、貸付期間対応で収入金に計上し、後払いのものは、支払日基準で収入金に計上しても構いませんか?また、権利金は、3年の契約期間を定めているので、貸付期間対応の収益計上でもよいのでしょうか?
アドバイス
ご質問の場合、先払いのものだけを貸付期間対応で計上し、後払いのものは支払日基準で計上するという使い分けはできません。また、権利金は、文化住宅を引き渡した日か、貸付契約の効力発生の日に収益として計上しなくてはなりません。
不動産の賃貸料は
いつ収入に計上するものなのですか?
不動産等の賃貸料からの収入金額は、原則として、支払った年の総収入金額に算入することになっています。つまり、支払日基準によるということです。
例外はどのような場合ですか?
不動産の賃貸借契約では、賃貸料を前払いとすることが多く、上記の支払日基準は、必ずしも実情に即したものとはいえませんので、次のような例外も認められています。
不動産等の貸付けが事業的規模で行なわれていて、次の条件のすべてにあてはまるのであれば、現金主義の適用を受ける場合以外は、その年の貸付期間に対応するものを、その年の不動産所得の総収入金額に算入することができます。
1、帳簿書類を備えて継続的に記帳し、その記帳に基づいて不動産所得の金額を計算していること
2、不動産等の賃貸料に係る収入金額の全部について、継続的にその年の貸付期間に対応する部分の金額を、その年の総収入金額に算入する方法によって、所得金額を計算していて、かつ、帳簿上、その賃貸料に係る前受収益と未収収益の経理が行なわれていること
3、1年を超える期間の賃貸料収入については、前受収益、未収収益の明細書を確定申告書に添付していること
私の場合は
どうなりますか?
上記の例外が認められる会計処理というのは、賃貸料収入のすべてについて、貸付期間対応で計上していないと認められませんので、ご質問の場合のように、先払いの分だけを貸付期間対応で計上し、後払いのものは支払日基準で計上するといった使い分けはできません。
権利金についてはどうですか?
上記の3で、1年を超える期間の賃貸料収入についても、貸付期間対応で不動産所得の計算が認められていますが、この賃貸料には、不動産等の貸付に伴って一時的に受け取る頭金、名義書替料、更新料、礼金等は含まれないことになっています。
よって、ご質問の権利金は、文化住宅を引き渡した日か、貸付契約の効力発生の日に収益として計上しなくてはなりません。