事例で検討
X証券会社の「特定口座(源泉徴収あり)」では年間取引額は利益になっています。一方、Y証券会社の「特定口座(源泉徴収あり)」では年間取引額が損失になっています。
この場合、確定申告をする必要があるのでしょうか?
アドバイス
どちらも「特定口座(源泉徴収あり)」を利用しているので、確定申告をする義務はありません。しかしながら、税金が還付されたり、損失を翌年以降に繰越せる可能性もありますので確定申告することをおすすめします。
事例A
X証券会社の「特定口座(源泉徴収あり)」では年間取引額が利益になり、Y証券会社の「特定口座(源泉徴収あり)」では年間取引額が損失になった場合、確定申告は必要ですか?
X証券会社の特定口座は源泉徴収ありを選択していますので、利益のでているX証券会社では正しい所得税と住民税が天引きされています。
またY証券会社の特定口座も、源泉徴収ありを選択していますが、損失で終っていますので、税金は天引きされていません。よって、どちらも特定口座は源泉徴収ありを選択していますので、確定申告をする義務はありません。
しかしながら、このままですと本来支払わなくてもよい税金を支払っている状態になっていますので、手間はかかりますが確定申告して払いすぎた税金を還付してもらうことをおすすめします。
税金の払いすぎとは
どういうことですか?
この場合は、もし2つの口座を持たないで、1つの口座で取引していたらどうなるかを考えるとわかりやすいです。
つまり、本来はX証券口座の利益とY証券口座の損失を相殺して、その相殺後の利益に対して税金がかかるのに対して、ご質問の場合は、相殺する前のX証券口座のみに税金がかけられているからです。
この場合でいえば、源泉徴収された税金から「相殺後の利益」に対する税額を差し引いた分だけ払いすぎになっているのです。よって、確定申告すればこの払い過ぎの税金を還付してもらうことができます。
ちなみに、X証券会社の利益とY証券会社の損失を通算したら「損失」になった・・・という場合もあるかもしれません。その場合には、X証券会社で天引きされた税金すべてが払いすぎになりますから全額還付してもらえることになります。
さらに、残った上場株式等の売却損失については、「上場株式等の譲渡損失の繰越控除」の適用が受けられますので、その損失は翌年以降に繰越すこともできます。
確定申告は、手間はかかりますが、翌年以降のためにもぜひしておくことをおすすめします。