事例で検討
夫が先日ガンで入院し 余命3か月と宣告されました。私は夫の加入していた保険について代理して保険金を請求し、3,000万円を受領しました。
ちなみに、加入していた保険では、「被保険者の余命が6か月以内と判断される場合に、主契約の死亡保険金額の一部または全額を被保険者に支払う」となっています。 保険契約は次のとおりです。
●被保険者の余命が6か月以内と判断される場合に、主契約の死亡保険金の一部または全部(上限3,000万円)を生前給付金として支払う。
●生前給付金を支払ったときは、これと同額の死亡保険金が減額されたものとして取り扱う(死亡保険金の全部を生前給付金として支払った場合には、主契約は消滅する。)。
●生前給付金の受取人は被保険者とし、配偶者等について指定代理請求を認める。
●特約の保険料は不要とする(主契約の保険料に吸収されている。)。
この保険金には、所得税がかかるのでしょうか?
アドバイス
ご質問の生前給付金には、所得税はかかりません。
生前給付金には、
所得税はかからないのですか?
生前給付金ですが、これを死亡保険金の前払いとして取り扱った場合は、その保険金は一時所得か相続税等の課税対象になります。
しかしながら、生前給付金というのは、死亡を支払事由にしているわけではなく、疾病に基因して支払われるものですから、「疾病により重要障害の状態になったことなどにより」支払いを受けるものとして、非課税所得になることになっています。
では、「特定疾病給付保険」
については、どうですか?
「特定疾病給付保険」は、ガン、急性心筋梗塞、脳卒中の三疾病を対象にしていますが、これは、特定疾病に羅患した場合にも保険金を給付することとされています。
ですからこの保険金も、生前給付金と同じように非課税所得になります。
リビングニーズ特約は
生命保険生前給付?
現在、3人に1人がガンで死ぬと言われています。そうすると、余命宣告などを受けて最後を迎えるということも考えておく必要がありますよね。そんな最期の時を幸せに暮らすために考えられたのが「リビングニーズ特約」というものです。
このリビングニーズ特約というのは、病気やケガの種類を問わず被保険者の余命が6か月以内と診断された場合に、死亡保険金の一部または全部が生前に支払われる特約のことを言います。
具体的には、病院に余命6か月以内と診断されると、生命保険の死亡保険金の一部または全額が給付されます。ポイントは、以下の2点です。
@病気ならすべてOK
A上限は3,000万円程度のものが多い
6か月以内に死亡すると診断された病気なら、ガンでも何でもよいのです。生命保険を選択する際は、生前給付のあるこのリビングニーズ特約を考えてみるのもよいかもしれません。
生命保険を受け取ったら
相続税がかかるの?
生命保険というのは、みなし財産となります。
生命保険は亡くなった時には財産として持っているものではありません。ですが、生命保険は亡くなった後に生命保険会社から遺族に支払われ財産となるものです。ですから、みなし財産として、相続税の計算上加えなければいけないことになっているのです。
ポイントは、生命保険を掛けている人、受け取る人、生命保険を支払っている人の関係になります。これによって、相続税なのか贈与税なのかが変わってくるからです。
@被保険者=夫、受取人=妻 保険料負担者=夫
A被保険者=夫、受取人=妻 保険料負担者=子
結局、毎年の保険料を誰が支払っていたのかがポイントになります。@は夫が保険料負担者ですから、こちらは相続税の対象になります。
一方、Aの場合は子供が父親の保険料を支払っていたわけですから、こちらは相続税ではなくて贈与税になります。
以上の関係については、生命保険の証書を見るとよくわかりますので、一度チェックしてみてください。「保険料負担者」が誰なのかがポイントです。