事例検討
弁護士事務所を経営しています。G会社の委嘱により、G会社の相談室で、毎週1回、1日3時間程度、法律相談に従事し、毎月5万円の謝礼金を受け取っています。
この謝礼金は、事業所得になるのでしょうか?
アドバイス
ご質問の場合ですと、役務の提供の拘束度合いに判然としないものもありますが、謝礼金の支払状況から、雇用契約としての実態が強いので、給与所得として取り扱うのが妥当と思われます。
自由職業者が対価として受け取るものは
何所得になるのですか?
医師や弁護士などの自由職業者が、役務を提供したことについて受け取る対価は、原則としては、それが雇用契約に基づくものである場合には給与所得、委任契約に基づくものである場合には事業所得として取り扱います。
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契約が書面でされていなかったり、
判別が難しい場合は?
そのような場合には、実際に実施されている役務の提供の外観が、雇用契約と委任契約のどちらの実態にふさわしいかを見極めて、どちらの所得になるのかを判定することになると思われます。
具体的には
どうしたらよいのでしょうか?
このような所得については、役務の内容や時間などに相当の拘束があるなど、雇用契約に近い拘束があって、手当等の支払時期や金額があらかじめ一定しているなど、固定給の性格が強いものは給与所得として、それ以外は事業所得として取り扱うのが、最も合理的な方法だと考えられます。
また、医師や歯科医師の場合ですと、診療等の対価として、患者や保険者が支払う報酬がその医師や歯科医師に帰属する場合には、その委嘱料等も事業所得にするなど、収入が事業に付随するものかどうかによって判断する方法も考えられます。
よって、ご質問の場合も、役務の提供の拘束度合いには判然としないものもありますが、謝礼金の支払状況から、雇用契約としての実態が強いので、給与所得として取り扱うのが妥当と思われます。