小規模宅地の減額と基礎控除の改正|相続税の特例注意点とは?

 

 

小規模宅地の減額基礎控除改正

相続税の特例注意点とは?

 

 

今回は、空き家問題の税金面に関するお話です。

 

平成27年度から増税となった相続税については新聞や雑誌などメディアでも言われていますが、実際にどのように変わっていたのかよくわからないという方も多いようです。そこでここではそれについて詳しくみていきます。

 

まず大きく変わったといえるのは2つです。

 

平成27年度から基礎控除と呼ばれるものが変更になっています。簡単に言うと、例えば4人家族、一般的にはお父さん、お母さん、お子さん2人の家庭があったとします。

 

この場合、万が一お父さんが亡くなると、その時点で相続人となる方はお母さん、お子さん2人の3人になります。

 

スポンサーリンク

 

 

このようなパターンですと、これまで相続税がかかるかかからないかの1つの判断基準として、基礎控除の範囲内なのか、あるいは超えるかというところで、一度判断ができていたものがあります。これが基礎控除と呼ばれるものです。

 

 

具体的には・・・

 

この事例ですと、お母さん、お子さん2人の3人になりますので、相続人3人に1,000万円という金額を掛けます。そうすると3,000万円(3人×1,000万円)ですよね。

 

この3,000万円に最低5,000万円の枠がありますので、3,000万円と5,000万円を足して8,000万円、この8,000万円の金額が財産の金額を超えるのか、それともそれ以内で収まるのか、というところで相続税がかかるかからないの判断をしていたというのがあります。

 

こちらが1つ4割減少しています。具体的には、5,000万円の最低限のものが3,000万円に変わっています。

 

それから先ほど3人×1,000万円というお話をしましたが、この1,000万円が600万円に変わりました。なので、先ほどの事例で言うと、4,800万円の基礎控除に平成27年度からの税制が改正されたといえます。つまり、増税になったということですね。

 

それからもう1つ、2つ目としては、最高税率が50%から55%に引き上げられました。

 

もちろん最高税率ですから相当な資産家でなければ税率の引き上げは影響しないと思いますが、やはりたくさん財産をお持ちの方にとってはかなり増税になったというのが今回の2つの主な改正点といえます。

 

 

今後はどんどん相続税は増税されるの?

 

なんでもかんでも増税というわけではありませんが、一気に相続税がかかる人が増えないような一定の手当もあります。それが少し難しいですが小規模宅地の減額という制度です。

 

スポンサーリンク

 

 

例えば、先ほどのお父さんが亡くなってという事例でしたら、お母さんは一般的には同居されています。お母さんがそのままお住まいになるという前提で、相続税の申告が必要だということになった場合どうでしょうか?

 

お母さんがご自宅にそのままお住まいになった場合、そごの自宅だけ相続税がかかるというのは非常に政策的な面、また納税者の納税意識に対する不満が出ることになります。そこで、そのお住まいの土地に対しては80%減額されるという制度があるのです。

 

例えば、1億円というお住まいの土地の評価額があった場合、2,000万円まで評価額が下げられる、つまり8,000万円分の相続税の評価額が下がる、すなわちすぐには税金がかからない、そういう制度なのです。

 

この制度が平成26年度以前は、240uまでの土地に対して小規模宅地等の特例という制度があったのですが、平成27年度からは先ほど課税対象、基礎控除が増えるお話をしましたが、増えることを想定して240uを330uまで拡大しています。

 

ですから、高額なご自宅をお持ちで相続されたとしても、一気には相続税がかからない、そういう措置が取られています。

 

 

小規模宅地等の特例の注意点は?

 

続いて、自宅の相続が軽減されるというお話です。先ほど相続税の増税というお話をしましたが、平成25年1月1日より相続税・贈与税が改正されています。

 

この相続税増税ですが、実は緩和された、やや規制が緩くなったところもあります。それが「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」という長い名称の特例です。ちなみに、実際にはこれを省略して「小規模宅地等の特例」ということが多いです。

 

簡単な概要としては、親が住んでいた住宅の宅地を相続するときに、一定の小さな面積だったら税額を控除しましょうという特例になっています。

 

スポンサーリンク

 

 

平成26年までは240u、約72坪強を上限に80%減額されていました。その面積が平成27年度から大きくなって330u、約100坪を上限に80%減額されるという改正が行われました。

 

つまり、約72坪から約100坪まで面積が緩和されるということですから、結果的には減税になっているといえます。小規模宅地等の特例は、相続税を軽減してもらうには有効な方法だと思います。ただし、3つ注意点があります。

 

 

小規模宅地等の特例の注意点とは?

 

まず1つ目、自分は適用を受けられる対象者かどうか確認する必要があります。

 

ちなみに、配偶者は無条件に対象者となります。対象となる人は、基本的にはその亡くなった人と同居していた親族が対象者となります。ただし、一定の条件を満たす別居の親族にも該当することがありますので、その条件については確認が必要です。

 

例えば、お父さんが亡くなって別居していた息子さんが相続を受けるときに、この特例を受けることもできるのですが、ただ条件としてその配偶者、つまりお母さんがいる場合はこの特例を使うことはできません。

 

小規模宅地等の特例の対象者になるかどうかについては、国税庁のホームページに詳しく記載されていますのでよく確認するようにしてください。

 

 

2つ目の注意点は・・・

 

被相続人(亡くなった人)が複数の宅地を所有していた場合、どの宅地が有利なのか検討する必要があるということです。

 

例えば、都会で面積は小さくて評価が非常に高い宅地と、逆に田舎で面積は非常に広いのだけれど評価がすごく安い宅地、この2つがあった場合にどちらで適用を受けた方が得なのかよく検討した方がよいということです。

 

スポンサーリンク

 

 

それは両方考えられますが、平成27年度から330u、つまり100坪まで適用が受けられるようになりましたので、都会で軽減を受けた方が得な場合が多いのではないかと思います。

 

 

3つ目の注意点は・・・

 

今回紹介した特定居住用宅地等以外に、亡くなった人が会社を経営していてその事業用の宅地がある場合、それを使った方が得なケースがあることです。同様に、特定同族会社事業用宅地等、これを使った方が有利な場合もあります。

 

また、賃貸物件をたくさん持っているような人が亡くなった場合、貸付事業用宅地等、これを使った方が有利な場合もあります。宅地をたくさん持っている人が亡くなった場合は、どの特例を使った方が有利なのか十分に検討してみることをおすすめします。

 

2015年1月1日の相続税・贈与税の改正は、基本的には亡くなってから相続をする相続税については増税しようという傾向にあるといえます。

 

一方、生きているうちに子供や孫にお金を与える、そういう贈与税に関しては緩和されています。つまり、お父さんやお母さん、お爺さんお婆さんのお金を使って、子や孫がお金を使うことで景気を回復させようという、そういった政府の狙いがあるものと考えられます。

 

亡くなってからの相続の相続税の増税に対して、今回紹介した小規模宅地等の特例は減税にあるといえます。

 

ということで、今回紹介した330u、約100坪まで有効に利用して相続税の軽減を受けるのが有効ですのでぜひ検討してみてください。

 

スポンサーリンク

 

関連記事(一部広告含む)