小規模宅地等の特例|二世帯住宅の同居親族の改正!

 

 

小規模宅地等の特例

二世帯住宅同居親族改正

 

 

今回は、小規模宅地等の特例の改正についてのお話です。

 

まず前回、被相続人が相続開始直前まで、自宅として使用していた土地については、一定の条件を満たした場合には、330uまで80%の評価減、8割引きが受けられるということでした。

 

また、この特例を受けられるのは3人いるということで、1人目は被相続人の配偶者、2人目は同居親族、3人目が別居親族でした。

 

ちなみに、同居親族は申告期限まで相続物件につき所有・居住していること、別居親族は3年以内に自己または自己の配偶者の持ち家に住んでおらず、申告期限まで相続物件を所有していること(被相続人の配偶者や法定相続人である同居親族がいない場合のみ)などの条件がありました。

 

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二世帯住宅の同居親族の改正とは?

 

近年相続税の税制改正がどんどん行われて増税の傾向にあるのですが、この小規模宅地等の特例だけは非常に要件が緩和、納税者にとっては有利な改正が行われています。そこで、ここからはその改正について解説していきます。

 

まず1つ目、どういった改正が近年あったのかというと、二世帯住宅の取り扱い、これが平成26年1月1日に改正になりました。これについて順を追って解説していきますと・・・

 

平成25年まではどういう取り扱いを受けていたのかというと、実は二世帯住宅は非常に不利な取り扱いを受けていました。

 

例えば、1階にお父さんとお母さんが住んでいて、2階に子供夫婦が住んでいます。こういった二世帯住宅があった場合に、中で行き来のできるタイプに住んでいるときには、このお父さんお母さんが亡くなった場合に子供が相続したときにはこれは同居になったのです。

 

つまり、中で行き来ができる場合は同居親族として問題ありませんでした。

 

 

同居親族の問題とは?

 

問題は1階は父母居住、2階は子供居住、これは一緒なのですが、中で行き来のできないタイプ、玄関が分かれているというような二世帯住宅に住んでいる場合です。

 

この場合には、お父さんお母さんが亡くなって子供が相続したときには別居扱いになっていたのです。

 

そうすると、先ほど小規模宅地等の特例が受けられるのは配偶者か同居をしている親族という話でしたから、別居ということになると8割引きが受けられなかったのです。

 

つまり、自宅の中で行き来ができるのか、それとも外階段なのか、それだけで税金が何千万円も変わったのです。これは大変な話ですよね。

 

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なので、これは本当にあった話なのですが、リフォーム会社に言って中の通路を通したりだとか階段作ったりすると8割引きになるものですから、そういった工事を急いでする方も実際にいました。

 

ですが、この取り扱いはあまりにもおかしいのではないかということで、平成26年1月1日からは、たとえ家の中で行き来ができなかったとしても1つ屋根の下に暮らしているのであればこれは同居とみてよい、というように税制改正が行われました。

 

この改正によって多くの二世帯住宅に住んでいる人が、やれやれこれで一安心だと思われていたのですが、実はここには大きな落とし穴ができてしまったのです。これは非常に怖いトラブルになります。

 

 

二世帯住宅の改正の落とし穴とは?

 

先ほどの家の中で行き来ができないという改正が行われるとき、前述したような二世帯住住宅があった場合、構造が変わっているだけで税金が何千万円も変わるのは気の毒だからということで、1つ屋根の下は同居とみていいですよという改正が平成26年に行われました。

 

この改正が行われるときに議論されたのが、1つ屋根の下は同居とみていいですよという話にしてしまうと、例えばマンションの101号室にお父さんお母さんが住んでいて、子供たちは505号室とか全然違う部屋に住んでいたとしても、これも1つ屋根の下に住んでいるということになってしまうということでした。

 

つまり、これを同居とみていいのかということが議論されたのです。これは同居としてはみれないですよね。これを同居としてみるのはやはりおかしいです。そこで何を考えたのかというと、この条文に一つ言葉を付け加えたのです。どういう言葉かというと・・・

 

「区分登記されている物件を除きます」という一文が条文に付け加えられたのです。この区分登記とは何かというと・・・

 

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分譲マンションというのは部屋ごとに売買されていますよね。これは何かというと、一つの部屋ごとに所有権という権利を分離させることができるのです。これを「区分登記」というように言います。

 

つまり、区分登記をされているような物件については、別々のところに住んでいたら同居とみませんよという、分譲マンションなどを対象にしたものになります。

 

 

何が問題なの?

 

これの何が問題なのかというと、実は世の中の多くの二世帯住宅は区分登記されている物件がたくさんあるということです。区分登記されている二世帯住宅というのは世の中に実はたくさんあるのです。どういうことかというと・・・

 

1階部分の持分、所有権というのはお父さんが持っていて、2階は子供が持っているというケースです。こうしたケースもあれば、どちらもお父さんが持っているというケースもあります。

 

1階と2階それぞれこの権利を分離させて登記をしている方は非常に多くいらっしゃいます。ですが、この区分登記されている二世帯住宅に住んでいる場合というのは、小規模宅地等の特例は受けられません。

 

これは、二世帯住宅であったとしても分譲マンションの101号室と505号室に住んでいるのと同じと考えられるからです。

 

一昔前の平成25年でしたら、二世帯住宅を実際に見せてもらって、中で行き来ができるかどうかで8割引きになるという判定ができました。

 

ですが、現在は登記簿謄本をしっかり取って、権利がきちんと分かれていないかということを確認しないと8割引きの特例を受けられるかどうかわからないのです。

 

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これは本当に世の中の多くの人が「受けられるものだと思っていました」とおっしゃるのですが、フタを開けてみると実は受けられないケースが非常によくあるので十分に注意をして下さい。

 

 

区分登記の判定方法は?

 

区分登記という考え方なのですが、よく間違えられてしまうのが共有登記です。区分登記は共有登記と非常によく似ています。共有というのは何かというと・・・

 

これは一つの物件に対して、例えば半分ずつ権利を入れる、一つのものに対して複数人で権利をシェアするのを共有といいます。

 

一方、区分というのはそもそも一つではないのです。権利が分かれているのです。そういったものの場合には、二世帯住宅であっても小規模宅地等の特例は受けられません。

 

これはどのように判定すればいいのかということなのですが、例えば毎年4月の終わりから5月頃に送られてくる固定資産税の明細書がありますよね。

 

固定資産税の明細書の家屋と書いてある欄に「家屋番号」というものが書かれています。その家屋番号が2つある場合には、区分登記されている可能性が極めて高いです。これがまず1つ目の判定方法です。

 

2つ目は、所有権、お父さんが1階部分、子供が2階部分、こうしたものの場合には、固定資産税の納税通知書は別々に送られてきます。お父さんに1通、子供に1通、こうした形で送られてくる場合もこれは区分登記されている可能性が極めて高いです。

 

こうした物件がありましたら、生前中に対策をすると、実はこの権利をくっつけることができます。なので、こうしたことに心当たりがある方は一度専門家に相談されることをおすすめします。

 

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