相続放棄と財産処分・葬儀費用・未支給年金の受け取りの問題!

 

 

相続放棄財産処分葬儀費用

未支給年金の受け取りの問題!

 

 

今回は相続放棄の中で特に知っておいていただきたい3つのポイント、財産処分、葬儀費用の支出、未支給年金の受領についてのお話です。

 

お父さんが亡くなったのだけれど財産よりも負債の方が多いので、お子さんとしては相続放棄をしたい、でもこの相続放棄をする場合に差し当たっての問題として、遺品(財産)の処分をしてよいか、お葬式をするのに葬儀費用の支出をしてよいか、未支給の年金を受領して良いか、ということについて相談を受けることが多いです。

 

なので、今回はこの3つの点についてわかりやすく解説したいと思います。

 

 

遺品(財産)の処分したら相続放棄はできないの?

 

まず財産の処分をしてよいのかということについてですが、これは結論としては慎重にやった方がよいということになります。できれば弁護士さんなどの専門家に具体的な状況を説明して進めていった方が無難です。

 

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なぜかというと、相続人が相続財産を処分したときには「単純承認」をしたものとみなされて、後で相続放棄ができませんということになってしまうからです。

 

つまり、お父さんの遺品、相続財産を処分してしまうと、これは単純承認といって、お父さんの権利義務を全部引き継いだということになってしまって後から相続放棄ができないということになってしまいます。

 

ここで処分というのは、例えば売却してしまうというのがそうです。また捨ててしまうという事実行為も処分とみなされます。ですから、この財産の処分というのはこれに該当してくる可能性があります。

 

ただ他方で、お父さんの家のゴミを捨てるというのは許されます。これは大丈夫なわけですが、それはなぜかというと、相続財産というものではないからです。

 

それではゴミなのか相続財産なのかというのは、非常に線引きが難しい問題でもあります。この辺りは裁判例も色々とありますから、きちんと弁護士さんなどに相談をした上で、具体的な状況に合わせてリスクを考えながら進めていくことをおすすめします。

 

ちなみに、この問題に関連して非常に悩ましい問題として、お父さん名義の車がある場合、これをどうするのかといったことがあります。

 

これも非常に難しい問題ですから、そういったケースにおいてもきちんと専門家である弁護士さんなどに相談しながら進めていくことをおすすめします。

 

 

葬儀費用の支出をしたら相続放棄はできないの?

 

亡くなった人の長男が、長男のお金で葬儀費用を支出してお葬式をやるというのはもちろんOKです。それからその場合に、例えば香典が入ってきたものを長男が受け取るというのも通常問題ありません。

 

問題は、例えばお父さんの財産でもって葬儀費用を支出してよいのかということです。つまり、亡くなった人の財産でもって葬儀費用を支出してよいのかということです。こうなると非常に難しい問題になってきます。

 

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例えば前述した単純承認とみなされる処分の中には、預金の解約なども処分になるということが言われています。

 

ですから、亡くなったお父さんの例えば預金を解約してお金を作って葬儀費用として支出するというのは、非常にリスクがあるというか、後に相続放棄できないといったことになる可能性をはらむ行為だと思います。

 

なので、この場合にもやはりきちんと専門家に相談したうえで判断をしていくというのが大事です。

 

 

未支給年金の受け取りをしたら相続放棄はできないの?

 

最後に未支給年金の受け取りをした場合はどうなるのかということです。例えばお父さんが亡くなった後に、役所から相続人(遺族)のところに「未支給の年金がありますので受け取ってください」という連絡がくることがあります。これを受け取っても大丈夫なのかということです。

 

結論から申し上げますと、この未支給の年金については一般的に受け取っても相続放棄には影響しないということになっています。

 

つまり、未支給の年金というのは亡くなった人に支給されるべき年金であって、まだ支給されていないものではありますが、これは法律上は、例えば国民年金法などには「未支給の年金については一定の遺族が受け取れる」というような規定があります。

 

よって、未支給の年金の請求権というのは、相続によって亡くなった人から遺族が引き継ぐというものではなくて、このような法律によって遺族に直接認められた遺族固有の権利ということが言えます。

 

ということで、相続によって引き継ぐものではないということで、この未支給年金の受け取りについては一般的には大丈夫ということになります。なお、いずれの問題にしましても、やはり専門家に相談した上で進めていくことをおすすめします。

 

 

相続放棄をした後に遺産を持ち出してしまったら?

 

続いて、相続放棄をした後に遺産を持ち出してしまったらどうなるのかというお話です。

 

亡くなった人を偲ぶ程度に遺品を分け合うといういわゆる形見分けに関しては、相続財産に当たらず相続財産を処分したことにはならないとされています。

 

しかしながら、その遺品の中に新品同様の衣類やブランド品、あるいは高価な宝石など、形見分けの範囲を超えているケースもあるわけです。

 

その場合は、債権者に損害を与えることになりますので、相続財産を隠したとみなされ相続放棄を取り消される可能性もありますので注意して下さい。

 

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