遺産分割の流れ|遺産分割協議から調停・審判まで!

 

 

遺産分割協議から調停審判まで!

遺産分割の流れは?

 

 

今回は遺産分割の流れについてのお話です。ある人が亡くなったとき、その相続はどうなるのでしょうか?どのように遺産を分けたらよいのでしょうか?

 

まず遺言書が存在するのなら、それに従って相続の手続きを行えば済みます。例えば、父親が息子一人に「不動産を含めた全ての財産を相続させる」という遺言をしていたとします。

 

その場合には、その息子さんはその遺言書を持って法務局に行けば、不動産の名義を移転する手続きができます。また、金融機関にそれを持って行けば、預貯金を解約したり名義変更したりすることができます。

 

つまり、他の相続人に署名・押印等をしてもらう必要はないのです。遺言書があればそれで済むのですね。遺言書(ゆいごんしょ)のことを「いごん」と言ったりもしますが、それがあればそういった簡単な手続きで済みます。

 

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遺言書がない場合は?

 

ところが、遺言書もなく、しかも相続人が2人以上いる場合には、そのままでは各相続財産について、名義移転といった手続きをすることはできません。なぜなら、誰がどの財産を取得するのかが決まっていないからです。

 

例えば、ある不動産があってその不動産をお兄さんが取得する、預貯金があってそれは弟が取得する、そういったことをきちんと決めなければいけないのです。

 

そこで、相続人全員が協議をしてまずはそれを決めます。そして、協議が整わない場合は家庭裁判所に行って、どの財産を誰がどう取得するのかを決める必要があります。これが遺産分割の手続きになります。

 

 

遺産分割の流れは?

 

遺産分割の流れで言いますと、まず相続人全員で協議、つまり話し合いをします。「誰がどの財産を取得するのか」といったことを話し合って、話し合いが整えば遺産分割協議書というものを作成します。

 

そしてそれに基づいて不動産の名義を変更したり、あるいは預貯金の名義を変更したりすることができます。そういった手続きができます。

 

ところが、話し合いができない、協議が整わない、という場合には、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てなければなりません。調停というのは、家庭裁判所の中で話し合いをする、そういう手続きだとイメージするとわかりやすいです。

 

そして、家庭裁判所の中で話し合いができた、つまり調停が整ったと言うのですが、調停が整った場合には、調停成立ということで、話し合いが整った内容どおりの調停調書ができあがります。それに基づいて遺産分割の手続きができることになってきます。

 

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ところが、家庭裁判所の中の話し合いもできない、協議が整わない、という場合には、最終的には家庭裁判所の裁判官に「誰がどの財産を取得するのか」ということを決めてもらうことになります。

 

もちろん、このどの段階においても弁護士が関与することはありますが、やはり協議の段階で関与するのがスムーズです。

 

 

遺産分割協議と遺産分割協議書の作成とは?

 

続いて、遺産分割の流れの中の「遺産分割協議」についてのお話です。

 

遺産分割の大きな流れとしては、法定相続人全員で話し合いをする、いわゆる「遺産分割協議」というパターンもあれば、話し合いがつかない場合に家庭裁判所に申し立てをする、家庭裁判所で話し合いをする「調停」という手続き、あるいはそれでも話がつかない場合には裁判官に決めてもらうという「審判」の手続きがあるのは前述のとおりです。

 

さて、遺産分割協議はどういうものかというと、相続財産の範囲を含めて、相続人全員による任意の話し合いで決めるものになります。

 

よくあるのは、特定の遺産について相続人それぞれが「自分が欲しい」「私が欲しい」というように争う場合です。あるいは、ある特定の財産がそもそも亡くなられた被相続人のものであると争われる場合です。

 

例えば、お父さんが亡くなったときに相続人が息子さんたち3人だったとします。

 

そしてお父さんが亡くなったところ、お父さんが持っていた、例えば美術品を長男がお父さんの生前に持ち出していたというような場合に、次男や三男が長男に対して「その美術品はお父さんのものだ、遺産じゃないか」ということで争ったというような事例もあります。

 

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このように特定のものが相続財産に含まれるのかどうか、そういう争いもあり得るのです。いずれにしましても、「どの財産が相続財産で、その財産をどういうふうに分けるのか」というのは相続人全員が了承すれば、それで自由に分けることができます。

 

例えば、法定相続分と違う分割をしても構いませんし、一人が全ての相続財産を取得するというような分け方も自由にできます。つまり、相続人全員が了承してしまえばどういう分け方をしてもOKということです。

 

 

遺産分割協議書の作成とは?

 

そして、相続人全員が合意をした場合には、遺産分割協議書というものを作成します。

 

その遺産分割協議書に相続人全員が署名・押印して、この協議書でどういうふうに分けるのかを書いてしまっていれば、その協議書を持って法務局に行けば登記の名義を移転したり、あるいは金融機関に行ったら預貯金の名義を変更するというようなことができます。

 

重要なのは、話し合いですから自由に決めることができるのですが、逆に言えば、ある一人の相続人、いわゆる強い相続人だけが自分の都合の良いように意見を言って、他の相続人を無理やり従わせるということがよくあるということです。

 

ですから、そういう場合も含めて、やはり弁護士など専門家にまずは相談されることをおすすめします。

 

例えば「この分け方、お兄さんはこういう分け方をすると言っているのだけど、これは本当にいいのか」というような疑問を持った場合には、弁護士に相談して、果たしてそれが妥当なのかどうか、というようなアドバイスを受けることが大切になってきます。

 

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遺産分割調停と審判とは?

 

続いて、遺産分割の流れのうち「調停」と「審判」についてのお話です。遺産をどのように分けるのかということについては、まず相続人全員で話し合いをしましょう、そして話し合いが整った場合にはもうそれでいい、それが遺産分割の協議でした。

 

そして遺産分割の協議が整えば、遺産分割協議書というものを作成して、それに基づいて具体的な遺産分割をする、つまり不動産の名義を変更したり、あるいは預貯金を解約したり、あるいは株の名義変更をしたりなど、そういうことができます。

 

一方、遺産分割協議が整わないという場合にはどうするのかというと、家庭裁判所の調停、あるいは審判という手続きに移行します。

 

 

遺産分割の調停とは?

 

調停というのは、相続人全員の同意が得られない場合など、話し合いでの解決が困難な場合に、相続人は誰でも家庭裁判所に遺産分割の調停の申し立てをすることができます。

 

この家庭裁判所に遺産分割の調停とは何かというと、イメージとしては、家庭裁判所という裁判所の中で相続人全員で話し合いをする、こういう手続きだと考えてください。

 

この遺産分割の調停の申し立ては、相続人なら誰でもできます。相続人全員が申し立てをしなければいけないとか、そういう制約はありませんので。具体的に家庭裁判所の話し合いはどうするのかというと…

 

家庭裁判所が用意してくれた調停委員2名、通常は学識経験者、例えば、前に校長先生をやっていた人や元裁判官の人たちがなるのですが、そういう人たちが、通常は男女各1名ずつの2名、それプラス裁判官1名、この3名で、相続人それぞれの意見を聞いて調整し合う、それでできるだけ話し合いで解決をしていくというようにしていきます。

 

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ただ、調停というのは前述のとおりあくまでも話し合いですから、話し合いが整わなければ結局成立しません。つまり、遺産分割が成功しないということです。

 

ただ、裁判所から強制的に「こういうふうにしなさい」とか、そういう命令が出されるわけではありません。もちろん、調停委員は「こういうふうにされたらどうですか?」「こう分けたらいかがですか?」というようないわゆる調整をしてくれます。

 

ですが、それでも頑なに従わないということも法的にはできます。

 

そして「こういうふうに分けましょう」という話し合いが整った場合には、前述した遺産分割協議書というものではなく、今度は家庭裁判所の中で「こういう話し合いができました」という話し合いの中身を、家庭裁判所の調停調書というもので残します。

 

家庭裁判所の中でこの調停調書というものを作成してしまえば、最終的に何か印鑑を押してもらったりすることなく、その調書さえ持っていけば、例えば法務局に行けばそれに基づいて登記の名義を変更できますし、あるいは金融機関で預貯金の名義を変更したり解約したりすることもできます。

 

 

遺産分割の審判とは?

 

前述の遺産分割調停というのはあくまでも話し合いですから、話し合いが整わないという場合には、今度は具体的に裁判所の方で決めてもらうという、遺産分割の審判という手続きに移ります。

 

調停で話し合いが整わない場合は、調停は不成立になります。この場合には審判という手続きに移行することになります。ちなみに、審判とは何かというと、裁判所が半ば強制的に分割方法を指定する手続きです。

 

例えば、「お兄さんが不動産を全て取得しなさい、その代わりお兄さんは弟さんに代償金としていくらを払いなさい」というように裁判所が命令をすることになります。

 

要するに、裁判所が「こうしなさい」と強制的にするものだと考えてください。そして、この審判に対して不服がある場合には「異議申し立て」という手続きが残されています。

 

いずれにしましても、この審判が確定しますと、相続人は審判に基づく審判書という裁判所の命令書のようなものを持っていけば、法務局なら不動産の名義変更ができますし、金融機関なら預貯金の解約などの手続きが可能となります。

 

 

遺産分割の調停や審判は自分でできるの?

 

遺産分割の調停や審判というのは、当然ご本人たちだけで行うことができます。ただし、やはり様々な法的な知識がないと、なかなか自分の有利に進められないということはよくあります。

 

ですから、遺産分割の調停を申し立てたいとか、あるいは審判に移行してしまったという場合には、できれば早い段階で弁護士などの専門家に相談されることをおすすめします。

 

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