遺産分割調停とは?
不動産の現物分割の注意点は?
遺産分割調停というのは、裁判所が行う調停手続きの1つです。相続人が全員集まってそれぞれ話し合って決めるというものなのですが、それを裁判所に仲介してもらうということですね。
相続人間でそれぞれお互いによく知らないとか仲が悪いといった理由で、なかなか話がまとまらない場合に、弁護士を入れるという方法もあるわけですが、調停を使うという方法もあるということです。
弁護士を入れるよりも費用は安く済みますので、弁護士を入れる前に、あるいは入れた後にでも、調停手続きを一度検討してみることをおすすめします。
こうした調停手続きについては、裁判所のホームページにかなりわかりやすく書かれています。色々な必要書類についてもすべて書かれています。
それらの書類を取得するのはかなり大変かもしれませんが、その取得の部分だけを専門家に頼んでもいいですし、そのようにして遺産分割調停というのを申し立ててしまえば、後は裁判所が間に入って話し合いを進めてくれます。
どのようにして遺産分割の話し合いをすればいいのかわからないという人にとっても、非常によい手続きだと思いますのでぜひ検討してみて下さい。
遺産分割調停の注意点は?
ただ注意してもらいたいのは、裁判所の遺産分割調停のホームページにも書かれている次のような点です。
「なお、話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始され、裁判官が、遺産に属する物又は権利の種類及び性質その他一切の事情を考慮して、審判をすることになります。」
つまり、話し合いがまとまらず調停が不成立になると審判になってしまうということです。なので、それが嫌だという場合は、調停という手続きをせずに粘り強く交渉していくという形を取っていくことになります。
その他、遺産分割調停の注意点は?
続いて、遺産分割調停の際にどこに注意したらよいのかというお話です。
遺産分割調停というのは、特に日本では弁護士が強制的に代理人になる必要はありませんので、自分自身で起こす人もたくさんいます。またその話し合いで自分なりに書いた書面などを調停委員に渡す人もたくさんいます。
この遺産分割調停は、基本的には法定相続分に応じた遺産分割案をどうまとめるかということになりがちですので、あまり過去の恨み辛みや他の相続人からされた仕打ち、被相続人から受けた愛情の差などについて、細かなことを言えば言うほど調停は長引きますし迷走しがちです。
なので、個人的には、では実際にどうやって遺産分割を進めればいいのか、遺産分割の具体案を早い段階で出すことをおすすめします。
ちなみに、寄与分には特別受益も認められるものと認められないものとがありますので、これについても一方的な主張はなかなか相手方も応じにくいと思います。
そのため、法的な主張にこだわると調停がスムーズに進まないのが現実です。これについても、自分自身で色々とやってみて、調停の進行が止まってしまったとか、ずっと同じ議論をしているというような場合は、一度弁護士に相談されることをおすすめします。
遺産分割調停で不動産を現物分割する場合の注意点は?
遺産分割調停で不動産を現物分割する場合にも注意点があります。この現物分割というのは、現にある状態でその不動産を特定の相続人などに帰属させる方法です。
例えば、亡くなった人の土地を相続人4人のうち2人で分割するような場合は、場合によっては分筆などが必要になってきます。
そのため、先行して分筆の手続きの調整を図ったうえで、その不動産をA、B、C、DのうちA、Bに現物分割するというような調停条項をまとめる必要が出てきます。
この現物分割については、裁判所が相続人間でしっかりと協議ができていることを前提に審判などを出すケースが多いです。ですから、特に相続人間で協議ができていないような場合は、現物分割は困難になるケースがほとんどです。
この現物分割がうまくできない場合は、裁判所の審判によって換価分割、つまりその不動産を競売などによって強制的に売ってしまってその代金を分けるという方法が採用されてしまう危険もあります。
この現物分割がきちんと認められるか、実際どのように分割されるのかは非常に難しい問題ですから、手続きに悩むようでしたら一度弁護士に相談してみるとよいと思います。