死亡退職金は遺産分割の対象?みなし相続財産とは?

 

 

みなし相続財産とは?

死亡退職金遺産分割の対象になるの?

 

 

今回は、死亡退職金の相続についてのお話です。

 

相続においては、まず何が遺産なのか、遺産の範囲が問題になります。何が遺産なのかを決めてそれをどのように分けるのか、という流れになってきますので、何が遺産に含まれるのかという点が先に争われることになります。

 

その中で死亡退職金が遺産になるのか、そもそも分割の話し合いをする遺産になるのかが争われるケースがあります。このような死亡退職金については、退職金の規定がどのようになっているのかによってその内容も変わってくることになります。

 

例えば、国家公務員のような場合には、国家公務員退職手当法があって、そこでは「遺族に支給する」とされています。

 

その遺族とは何かというところは、法律で順位が決められていますが、民法の相続の順位とは異なる記載がされていますのでこれに従うということになります。

 

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一方、地方公務員の場合は、地方公務員法で条例主義がとられているものの、この国家公務員の規定と同じように定めているところも多いです。

 

また、過去に争われたケースとして、「遺族に支給する」としていた私立学校法人の退職金規定の解釈について争われたケースがあります。

 

最判昭60.1.31では、この「遺族」というのは何かというと、民法の定める相続人とは違って、その人の収入に依拠していた人だと判断しています。つまり、遺族の生活保障を目的とするものであって、民法の相続人とは違うという判断をしているのです。

 

そのため「遺族」というような定めのときには遺産性がない、つまり遺産分割の対象となるものではなくて、それを受給するその人固有の財産であると判断しています。

 

なので、こうした規定があるかどうかをまずはチェックするというのが、死亡退職金の相続性が争われたときの最初にやるべきこととなります。

 

 

死亡保険金と死亡退職金はみなし相続財産?

 

続いて、相続税における財産の取り扱いについてお話です。

 

相続税については、通常の被相続人が所有していた財産以外に「みなし相続財産」というものがあります。このみなし相続財産は、被相続人が所有していた財産と同じように、相続税の課税対象として集計する必要のあるものです。

 

みなし相続財産の代表的なものとして、死亡保険金と死亡退職金があります。

 

死亡保険金と死亡退職金については、相続人と被相続人が生前所有していた財産ではない財産ですが、被相続人が亡くなったことに起因して、保険金であれば保険会社から支給される、退職金であれば被相続人が勤めていた会社から支給されるものです。

 

こうした財産については、みなし相続財産として相続税の計算上他の財産と同じように集計する必要があります。ただし、死亡保険金と死亡退職金については、非課税枠というものがあります。具体的には「500万円×法定相続人の数」です。

 

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最終的には相続税の計算上、この非課税枠を超えた部分が課税対象になりますが、実際に被相続人が持っていた財産以外でも、こうしたものが相続税の課税対象になるのだということには注意が必要です。

 

 

死亡退職金の課税関係は?

 

続いて、死亡退職金の課税関係についてのお話です。例えば、ある人が在職中に死亡してしまい、その死亡退職金は相続後に遺族に支払われたケースです。

 

この場合厳密に言うと、退職金という財産を残して死亡したわけではありません。ですが、人の死亡を原因として相続人が金銭を取得するため、その死亡退職金は相続財産とみなされて相続財産が課税されることになります。

 

ただし、死亡退職金についても生命保険金と同様、一定の金額の非課税枠があります。その具体的な金額は「500万円×法定相続人の数」です。

 

 

死亡退職金は遺産分割対象?

 

続いて、死亡退職金は遺産分割の対象になるのかどうかといったお話です。

 

死亡退職金というのは、主に遺族の生活を保障するということが目的となっていますので、受取人だけの財産となります。どのように分けるのかについては、公務員の場合は法律によって規定されています。

 

また会社に社内規定がある場合なら、その社内規定によることになります。

 

ただ社内規定がない場合もあります。その場合、具体的な事情によっては遺産分割の対象となるケースもあります。なお、死亡退職金は相続放棄をしていても受け取ることができますが、相続税の対象となりますので注意が必要です。

 

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