自筆証書遺言の検認手続きに注意!
遺言書の検認は必要なの?
検認は、自筆証書遺言では必須ですが、公正証書遺言では不要です。自筆証書遺言は相続が起きた時に、必ず家庭裁判所に持っていかなければいけません。家庭裁判所に行って、相続人全員の前で開封式をやるわけです。
これが検認と言われる手続きです。
もしこの検認をやらないと、自筆証書遺言は手続きに使うことができません。なので、自筆証書遺言がもし見つかったら、検認をしようかどうしようか選択の余地はありませんので、必ず検認手続きをして下さい。
自筆証書遺言は検認しなければ使い物になりませんからね。つまり、自筆証書遺言を作成するのであれば、検認はセットということです。やらなくていいということはありません。
自筆証書遺言検認手続きに注意!
注意点の1つ目は、検認手続きには時間がかかるということです。検認は家庭裁判所でやるわけです。ですから、「遺言書があったから、今すぐ家庭裁判所に行ってやって下さい」と言っても、すぐにやってくれるわけではないのです。
まずは検認をやって下さいという「申立て」をします。その申立てをするためには、色々な書類を揃えなければなりません。そこからようやく家庭裁判所に申立てをして、そこからは家庭裁判所の混み具合によります。
また、検認には相続人全員が参加する権利がありますので、相続人全員に通知する必要があります。招待状のようなイメージです。
その通知する期間というのも考慮されますから、おおむね相続が起きてから検認手続きが完了して、その遺言書が手続きに使えるようになるまでには2〜3ヵ月くらいかかると思っておいた方が無難です。
ですから、その間は銀行口座からはお金を下ろせないということです。
注意点の2つ目は、相続人全員が参加をする
権利があるということです..
例えば、奥さんと亡くなった夫の兄弟が相続人になる場合で、兄弟には遺言がなかったケースです。夫が生前、「妻が全財産相続する」という遺言書を書いておいてくれれば、兄弟は本当なら関係ないはずなのです。
ところが、検認の場合には、兄弟はそこに来る権利があるのです。相続人ではありますからね。そうすると、何が起こるのかというと、遺言書の内容を見た兄弟はおもしろくないわけです。自分たちの名前は全然出てこないわけですから。
すると「この字は弟が書いた字ではない」とか「この日付の時は認知症になっていたはずだから、あなたが無理やり書かせたんじゃないの」とか、そういった色々な文句を言わせる余地を与えてしまうのです。
公正証書遺言なら検認は不要ですから、自筆証書遺言の場合にはこうした検認のリスクがあるのだという点には注意が必要です。
自筆証書遺言検認手続きに注意!
遺言書の検認は必要なの?まとめ
自筆証書遺言に必須の検認手続きでは、相続人全員の前での開封式があります。つまり、相続人であればこれに参加できる権利を持ってしまうわけです。
例えば、奥さんと亡くなった旦那さんの兄弟が相続人だった時に、遺言書の中に「妻に全部相続させる」とあったとします。この場合、もし公正証書遺言だったら奥さん一人で手続きができてしまいます。粛々と手続きすればOKだからです。
ところが、自筆証書遺言の場合は検認手続きが必要ですから、わざわざ相続人全員で開封式をしなければいけないわけです。
亡くなった夫の兄弟も相続人ですから、裁判所から「開封式を○月○日にやりますので来てください」という連絡がいきます。そうすると、兄弟も気になりますから当然行きますよね。
そして、行って遺言書を見たら自分の名前がどこにも書いていないとなると、ここで色々なことを言う人がいるのです。
例えば、「その字は本当に本人の字?」とか「それを書いた時って、日付が書いてあるけど、もうボケてて書けなかったはずだ」とか、色々なことを言う可能性を残してしまうわけです。
もちろん、本人の字かどうかというのは、筆跡鑑定をすればわかります。でも、簡単に筆跡鑑定といっても、そんなにすぐにはできません。当然、時間がかかりますからね。そうすると、そこで手続きが止まってしまいます。
こうした余計な不安を残してしまうのが自筆証書遺言で必須の検認なのです。